ラッパー/プロデューサー/経営者として多面性を発揮し続けるSKY-HIが、ニューシングル「deaf feat. edhiii boi」を5月2日に配信リリースした。先天性難聴という自身のバックグラウンドと向き合いながら、「欠けている部分こそが強みになる」というメッセージを打ち出す今作には、BMSGの次世代ラッパー・edhiii boiが客演として参加。
さらに本作では彼がトラックプロデュースも担当し、初の楽曲提供にも挑戦している。異なる立場から同じテーマを共有した2人がどのようにこの楽曲を完成させたのか。オンラインで実施されたインタビューでは、制作秘話からライブの裏話、互いへのリスペクトまで、縦横無尽に語ってもらった。

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-「deaf feat. edhiii boi」は、ニューアルバム『Success Is The Best Revenge』に向けたシングルシリーズの第4弾なんですよね。これまで「ID feat. RYOKI (BE:FIRST), RYUKI (MAZZEL), JIMMY (PSYCHIC FEVER), FELIP」「Its OK」「No Flexin」がリリースされてきましたが、これは戦略的に発表しているものなのでしょうか?

SKY-HI:いや、最短で出せるものから出していこうという。1月から毎月シングルをリリースして、夏くらいにアルバムをリリースするというプランもあったんですけど、今は準備ができた曲からどんどん配信していこうという考え方に近いです。

-今回の「deaf feat. edhiii boi」はどういう背景から生まれた楽曲なんですか?

SKY-HI:自分のバースでラップしてる通り「先天性難聴も才能だ」みたいなことを言おうと思ってたので、それならedhiiiと作るのが良いなって。edhiiiと曲を作るのは楽しそうだなと前々から思っていたというのもあるんですけど、それとは別の脳みそで。

-先天性難聴という語りたいテーマが先にあって、それに合うのがedhiiiさんだったと。

SKY-HI:そうです。でも、フィーチャリングって正しくはそうあるべきだったりしますよね。この内容だったらあの人だな、みたいな。


-なぜそれがedhiiiさんだったのでしょう?

SKY-HI:edhiiiが自分とは逆側の耳が難聴だっていう話を聞いていたので。座る位置が決めやすくて良いね、というか(笑)。ただ、いざスタジオに入ってリリックを書き始めてから、edhiiiの難聴は先天性じゃなくて後天性であるっていうことを知ったんですよ。爆音で音楽を聴きすぎたらしくて。そうなるとちょっと違うなということで、「聞こえてない」じゃなくて「聞く気がない」edhiiiとして作ってもらったら、想像以上にそれがハマったっていう感じです。

-えっ、edhiiiさんは実際に今、耳が悪くなってきているんですか?

edhiii boi:そうですね。数値的には難聴と呼ばれる段階です。スピーカーでミックスをしてると隣の家から苦情が来るのでヘッドホンでやるんですけど、それでどんどん聴力が落ちていきました。あと、小さい頃からライブにずっと行ってて、イヤーマフとかも着けてなかったので、それもあるんじゃないかなって。

-なるほど。それがedhiiiさんのバースの<爆音が大好き でかい音聴きすぎ>というリリックに繋がるんですね。

SKY-HI:そうです。
本当に、会話の延長のような。

(※ここで、通信環境が悪く一時退室していたedhiii boiが再び入室)

SKY-HI:大丈夫ですか? 「聞く気がない」わけではない(笑)?

edhiii boi:すみません(笑)。

-edhiiiさんはこの楽曲のテーマをSKY-HIさんから受け取った時にどう思いましたか?

edhiii boi:テーマをいただいたというよりは、話し合っていくうちにまとまっていったという意識が強いんですけれど、「やっと吐き出せる」っていう感じはありましたね。自分の悩みを外に出すならポジティブにアウトプットしたかったので。社長とともに楽曲で出せるのは嬉しい形だなと思いました。

SKY-HI×edhiii boiの爆音な共鳴

-「Produced by edhiii boi」「Co-produced by SKY-HI」とクレジットされている通り、完全に2人で完結させた楽曲なんですよね。

SKY-HI:はい。スタートから完成に至るまで、1人の時間はなかったかもしれないです。

edhiii boi:なんならラフミックスまで1日で持っていきましたもんね。僕は事前に「こういう感じかな」っていう音を勝手に用意してたんですけど、スタジオでアイデアを聞いた瞬間に、一から作り直した方が早いなと思って。トラックを2、3時間でバーっと作って、リリックを乗せて、後日レコーディング。本当に早く進められました。


-edhiiiさんはどんなトラックを事前に用意してたんですか?

edhiii boi:トラップはトラップなんですけど、もうちょっと飾りが多いっていうか、手数が多い感じでした。シンセを重ねたり、アルペジオを入れたり。ただ、その要素はどんどん削られていって、結果的には現行のヒップホップっぽいシンプルなビートになり。でも、めっちゃカッコよくなったので良かったです。

-一方のSKY-HIさんは、サウンドのビジョンはあったんですか?

SKY-HI:ないって言ったら嘘になりますけど、それよりは会って話してから生まれたものの方が多いです。edhiii boiのパソコンを繋いだ状態で、色んな曲を聴きながら「最近はどういうのがカッコいいかね?」みたいな会話をして、その延長で制作しました。今回、ビートメイクに関してはedhiii boiが全権を握っていて。

-では、edhiiiさんが制作を進めつつ、SKY-HIさんが意見を挟んでいくような流れで?

SKY-HI:はい。普段、考えこそしても誰かとの会話には出ないようなことを話しながら制作したので、楽しかったですね。edhiiiに「そっちの鍵盤に行くと、こういうコードになるけど大丈夫?」とか言いながら。

edhiii boi:僕はいつも部屋に一人でこもって制作をしてるので、SKY-HIさんの言葉がたまに理解できなくて。「ここはマイナーだから、こっちにしてみてよ」とか言われるんですけど、わかんない(笑)。
でも「わかんない」って言うと次から一緒にできなくなるかもと思って必死に頑張るんですけど、全然当たらなくて。

SKY-HI:可哀想だ。可哀想すぎる(笑)。

edhiii boi:「こうですかね?」「いや、違うね」って言われて、結局はSKY-HIさんにマウスを渡すっていう(笑)。「やってもたー!」と思って、すぐにNovel Coreチームのドラムの(佐藤)響さんに「色々教えてください」って連絡しました。楽譜も読めないので。

-edhiiiさんは、音楽理論を完全にすっ飛ばして独学でやってきたわけですからね。

edhiii boi:そうですね。耳だけでやってきたんで。

-そういったedhiiiさんのいわば職人的な制作を間近で見るのは、SKY-HIさんにとっても新鮮だったんじゃないでしょうか?

SKY-HI:そうですね、楽しかった。「あんまり言い過ぎてもアレだよな」と思いながら。すごく集中した濃い時間だったけど、実際の時間は短かったんじゃないかな。


-SKY-HIさんとedhiiiさんがサシで共作するのは初めてのことだと思いますが、edhiiiさんとしては制作中どのような思いでしたか?

edhiii boi:待ちに待っていたので、「今か!」って言う感じはしたんですけど、何より配信予定までの期間が短かったので、嬉しかったのと同時に間に合うかどうかの焦りはありました。だから、スタジオに入ってから数時間でビートが出来て、歌詞が乗っかった瞬間に、「勝ったー!」と思いましたね。自信満々で、早くリリースしたいなって。すぐに「MVは作らないんですか!?」って聞いたり、めっちゃテンション上がってました。一人でも、何回も爆音で聴いて。

-それぐらいのケミストリーがあるなら、これからもたくさんの作品を生み出せそうですね。

SKY-HI:今回は明確に共通のテーマがありましたけど、テーマありきではなくedhiiiありきで作ってみても楽しそうだなと思います。edhiiiに歌ってもらいたいことは無限にあるし、edhiiiに合いそうなビートもたくさんあるので。街中で服や帽子を見つけた時に「これ、あの人に似合いそうだな」と思うことってありますけど、アーティスト性が明確に確立されてる人はそういうのが浮かびやすいっていうか。「こういう曲をやったら面白そう」が浮かびやすいのがedhiii boiなので。時間があればやってみたいことは色々あります。

-「deaf feat. edhiii boi」がそういった動きの布石になるかもしれないし、意義のある作品になりましたね。


SKY-HI:はい。あとはやっぱり、ライブが楽しかったです。

-ああ、5月3日の『VIVA LA ROCK 2025』で披露したんですよね。

edhiii boi:イントロでの立ち位置をめっちゃ間違えて、僕一人だけ死ぬほど端に立っててSKY-HIさんに笑われました。すみません。

SKY-HI:ライブ中に癒されましたね(笑)。変わらなくていいなと。

-実際、ライブでの感触はいかがでした?

SKY-HI:バンドサウンドが合う現行のラップミュージックって少なくないと思うんですけど、この曲もバンドやロックカルチャーのマナーが加わると、ノリも鳴りもだいぶ変わって。フロアバンガーな盛り上がる楽曲になりました。

edhiii boi:楽曲を作りながら抱いていたイメージに近い空気感で楽しかったですね。そもそも、生バンドでダンサーもいる状態でライブをやることがあんまりないし、自分の作ったビートがアリーナで流れてて、SKY-HIさんと一緒に歌えてるっていうので、興奮が大きかったです。もちろん単純にビバラのステージに立てたことも嬉しかったですし、色んなワクワクがあって、良い意味で緊張せず、気持ち良くやれました。

-edhiiiさんのバースはかなりはっちゃけていてアグレッシブですよね。

edhiii boi:フックは静かに入るって決めてたので、そこから解放された瞬間に吐き出してやろうと思って。がなってる部分をライブでは逆に抜いてみるっていうこともできたので、気持ち良かったです。

ー改めて、edhiiiさんはアーティスト・SKY-HIと楽曲制作やライブをともにしてみていかがでしたか?

edhiii boi:やっぱり、自分にアーティストとしての環境をくださったのはSKY-HIさんですし、アーティストとしてのSKY-HIさんも尊敬してますから、この曲は自分にとってすごく大事なタイミングだと思うんですよ。そんな曲でedhiii boiらしさを全力で出せるようなテーマをくださって、自分も100%のリリックが書けましたし、SKY-HIさんのバースも全力のSKY-HIで。お互いの100%を出せて良かったです。やりたいことを全力でやらせていただけているのは本当に嬉しいですよね。ただ正直、上物のベースやシンセはほとんどSKY-HIさんにアドバイスしてもらいながらやりましたけど。

SKY-HI:でも、打ち込んだのは全部edhiiiですから。

edhiii boi:でも、歌詞を書いてくれたのはSKY-HIさんですから。

SKY-HI:文字に落とし込んだのは俺だけど、edhiiiが喋ってることをそのまま歌詞にしただけだから。オーバープロデューシングは全くなかった感覚です。下駄を履かせるようなことは一切してない。edhiiiが持ってる魅力やスキルが十分に出せるように手助けはしたけど、edhiiiが持ってないものを渡すって言う作業はしてないので。edhiiiに元々あった魅力故のものですね。

edhiii boi:こうやって全力で言っていただけるの、嬉しいです。やっぱBMSGって最高だなと。

SKY-HI:ははは(笑)。

-3月15日にZepp Shinjukuで開催された『edhiii boi Oneman Live "大人になんてなりたくない"』でも実感しましたが、ここに来てedhiiiさんのアーティスト性がいよいよ明確になってきたなと思います。SKY-HIさんから見て、今のアーティスト・edhiii boiはどこが面白いと思いますか?

SKY-HI:今はもう、アルバム一枚っていうより、何か一曲を聴いたら、edhiii boiがどんなアーティストかだけではなく、どんな人かまでわかるところに来てる気がしてるんですけど。その上で……素直さじゃないですかね。あるいは、素直さが出せるようになったから、より面白くなってきてる。例えば「deaf feat. edhiii boi」では<マジでヤバいね だけどそれも可愛げ 字が綺麗 自炊だってしてるたまにね>っていうラインがめちゃくちゃ好きなんですけど。人間誰しもが持つ弱点、「決して強くない」とかのレベルじゃなくて、「弱い」「脆い」の部分が出れば出るほど魅力が出てくるっていうのが、すごく面白いと思います。

SKY-HI×edhiii boiが語る、“欠落”のビートとリアリティ

edhiii boi

-一方のedhiiiさんは、アーティスト・SKY-HIの凄さや魅力をどんなところに実感しますか?

edhiii boi:楽曲においては、ラップのスキルやフローはもちろんですけど、リリックが魅力だと思います。久々に聴き直す楽曲も最近の新曲も、リリックを読んで「救われた」って感じることが多いので。でも、それよりもとにかくライブが一番凄いなと。本当に、お客さん一人一人と魂がつながっているような時間で。SKY-HIさんと事務所やプライベートで会う頻度は多いですけど、それでもライブにいくと毎回ファンとして心を掴まれるっていう。正直、友達や先輩のライブに行ってそう感じることってあんまりなくて、「かましてるなぁ」「凄いなぁ」ぐらいなんですけど、SKY-HIさんのライブは常に初心の気持ちで「うわー!ヤバかったー!」ってなるので。やっぱりSKY-HIは凄い。大尊敬でございます。

SKY-HI:最後に急に矢印の向きが変わりましたね。あー面白い(笑)。

「原点回帰」ではなく「集大成」へと向かっていくSKY-HI

-ちなみに、SKY-HIさんは現在ヒップホップアルバム『Success Is The Best Revenge』を制作中なんですよね。ラッパー・SKY-HIとしての集大成的な作品を作ろうと思ったのはどのタイミングだったのでしょう? 昨年『SKY-HI TOUR 2024』のファイナルで披露された楽曲「タイトル未定」もきっかけになっているのかなと思ったのですが。

SKY-HI:いやあ、どうなんでしょうね。仰る通り、「タイトル未定」が出来たのでこの曲が生まれた意味のあるアルバムを作りたくなったという流れなんですけど。正直なところ、僕は良くも悪くも曲を作ることに関して野心的ではないんですよ。それに音楽をやる以外の時間が膨大になってきてもいますし。僕にとっては、曲を作るっていうのは日記を付けたりメディテーションしたりすることに近いんです。スタジオに行ってリリックを書く時間を持つことで、自分が何を思っているかがわかるっていうか。「タイトル未定」も最初からああいう内容にしようとしていたわけではまったくない。でも書いた後に、「ああ俺、こういうことを考えてたんだ」って、感情が大きく動いたので、これは何か意味がある作品を作んなきゃなって。人間として、精算の時期に入ってることを感じて。だからアルバムには書き残しのないようにしないといけないと思ってます。

SKY-HI×edhiii boiが語る、“欠落”のビートとリアリティ

SKY-HI

-ただラップアルバムを作るというよりも、SKY-HIさんの胸中を打ち明けるような作品に?

SKY-HI:最初は前者だったんですけどね。純然たるラップミュージックをアルバムとして表現したのはいつだろうと考えてみると2018年くらいまで遡ってしまうので、今の本気でラップアルバムを作ろうっていう考えが先にありました。それが「原点回帰」ではなく「集大成」へと向かっていった。作った楽曲がそこまで連れていってくれた。

-昔に戻るわけではなく、今のヒップホップを見据えたアルバムになるのでしょうか。

SKY-HI:そうですね。考え方によってはそれが長所かもしれないんですけど、自分がアーティストとして一番やれてなかったのは「剪定作業」なんですよね。アーティストが売れるタイミングって、やるべきことを絞っているときだと思うんです。「このアーティストといえばこれ」っていう分かりやすさがないと届かない。ホースの先が広いとたくさんの水が出るけど、絞ってないと遠くまで水が飛ばないので。それを理解してるにもかかわらず、僕はその真逆の生き方をしてしまっている。故にプロデューシングも含めて色んなものを作れるし、知見や経験が幅広いのが固有な特徴だけど、逆説的にそれが弱点でもあったりして、未だに何周目かの自分探しをしてるんです。その中で、「めちゃくちゃラップしよう」っていう地点に辿り着けたのは幸せですね。

-第1弾シングルとしてリリースされた「ID feat. RYOKI (BE:FIRST), RYUKI (MAZZEL), JIMMY (PSYCHIC FEVER), FELIP」はistさんがプロデュースしたんですよね。

SKY-HI:istが久々に連絡をくれたと思ったら、合いそうなビートを送ってくれて。

-「Its OK」はChaki Zuluさん、「No Flexin」はXanseiさんがプロデュースということで、今後世に出るものも含めて、様々なパターンの楽曲が収められた作品になりそうですね。

SKY-HI:はい。ただ、「No Flexin」「deaf feat. edhiii boi」は楽しく作らせてもらったんですけど、「ID feat. RYOKI (BE:FIRST), RYUKI (MAZZEL), JIMMY (PSYCHIC FEVER), FELIP」「Its OK」も含めて他の曲は強いものが多いので、今はブーンバップとかをやりたくなっちゃってます(笑)。まだアルバム完成前ですけれど。

-アルバムは年内にはリリースできる予定なんですか?

SKY-HI:本当は夏に考えてたんですけど、まあ年内だったら許してほしいなって感じですね(笑)。

-ここからは、お互いのパーソナルな印象についても聞かせてください。SKY-HIさんがedhiiiさんをアーティストとしてではなく仲間や後輩として見た時に、「こいつ最高だな」と思う部分はどこですか?

SKY-HI:甘え方に遠慮がないところ。「SKY-HIさん、使ってないマイクあったら無期限で貸してくれませんか?」って言うから貸してあげたのに、ちょっとしたら「マイクありがとうございます。でも、プリアンプがあったらもっとレベル高く録れると思うんですけど」とか言って。最近は洗濯機とかも。

edhiii boi:積極的に制作を頑張っております(笑)。

-逆にedhiiiさんは、SKY-HIさんのどんなところが「最高だな」と思いますか。

SKY-HI:「なんでもくれるところ」とか言い出したらどうしよう。

edhiii boi:とは言いませんけど(笑)。Zepp Shinjukuのワンマンライブが終わった後に「もう18になったんだから容赦しないよ」って言われて、反省会で本当に全部を伝えてくれたんですよ。「ここは良くなかったね」「ここはめっちゃ良かった」って、フラットに言ってもらえて。それがめっちゃ嬉しかったし、学びになりました。ちょっと落ち込みもしましたけど。

SKY-HI:ははは(笑)。

edhiii boi:その後一週間くらいは思い出して、「俺って音楽向いてるのかな」って考えてました。

SKY-HI:そこまで? 心配になってくるな(笑)。

-でも、社長がそれだけ言ってくれるっていうのも大事なことですから。

edhiii boi:はい。というか、今までは「SKY-HIさん」としての言葉だったけど、その時は「SKY-HI」として言ってくれたのが嬉しかったです。BMSG POSSEとして動き出した時もそうでしたけど、徐々にSKY-HIさんとアーティスト同士として関われてるなって感じることが増えてきて。今まで見たことなかったSKY-HIさんの一面に触れたり、僕からもフラットにSKY-HIさんに悩みを相談できたりする機会が多くなってきて、すごく嬉しいです。

SKY-HI:最近はもう、僕に怒られないっていうのを自覚してる感じがありますね。

edhiii boi:いやいや、そんなことは一切ないです。

SKY-HI:「この人、俺のこと好きだから多分大丈夫だぞ」って言う。

edhiii boi:すいません、ちょっと電波が悪くて聞こえなかったです(笑)。

-SKY-HIさんは、SKY-HIとしての自分とそれ以外の自分を使い分けてるんですか?

SKY-HI:使い分けてるってことはないですけど、edhiiiとは事務所の社長や先輩としてではなくアーティスト同士でしかできないようなレベルの会話をしてるっていうのはわかります。ライブで大事にすべきこととか、edhiiiのやりたいことがもっと効果的に伝わる方法とか。アーティストの魅力を生かすには照明やPAやバンドの力を借りることが不可欠だからこそ、その力の借り方とか。反省は「ここだと照明が当たらないよね」みたいなことから始まるんですけど、僕としてもそんな話を具体的に教えるのはプロデュースしてるグループを除くと初めてに近い経験なので。無意識にやっていたライブ作りという作業に、edhiiiが新しい意味を加えてくれているように感じます。

-そういった周囲と手を取りながらのライブ作りも、ある意味セルフプロデュースの一環ですもんね。

SKY-HI:この記事も上野さん(※インタビュアー)を筆頭に色んな方の手元を通って、色んな力を借りながら世の中に届くと思うんですけど、そこに無自覚になったら終わりっていうか。ライブをする時も、俺の仕事は「ステージに立つこと」じゃなくて「ちゃんと照らしてもらうこと」「ちゃんと声を届けること」「ちゃんとお客さんとコミュニケーションを取ること」。アーティストはあくまでフォワード、シュートを打つ役割だから、出してもらってるパスや、目指すべきゴールに自覚的になれるかどうかでパフォーマンスの質はだいぶ変わると思います。

-今回の「deaf feat. edhiii boi」のように、BMSGの若手とアーティストとして共演できる時期に入ってきたというのは、SKY-HIさんにとっても感慨深いのでは?

SKY-HI:所属アーティストだからとか関係なく、曲のテーマを考えてる時に「edhiiiの顔が浮かぶね」「edhiiiの声が聴こえるね」と思えるのは、強いアーティスト性を打ち出せているということだと思うし、二つの喜びがありますよね。単純に尊敬できるアーティストと楽しく曲作りができるということと、中学生から見守ってきたedhiiiがここまで成長してくれたこと。

-「deaf feat. edhiii boi」は今後も折を見てライブで披露されるのでしょうか?

SKY-HI:やりたいし、やると思います。これも二つのモチベーションがあって、まずは他に被る人が見当たらないようなedhiiiの特異性をしっかりとみんなに伝えたい。それと、立ち位置を間違えちゃったりすることも含めて(笑)、edhiiiと一緒にやるのは普通に楽しいので。またやれる機会が多くあれば嬉しいなと思います。

edhiii boi:そうですね。立ち位置だけは間違えないように頑張りたいです。

SKY-HI:全然動かなくなっちゃったりして。

-ちなみに、「deaf feat. edhiii boi」のMVには二人が足ツボマッサージを受けるシーンが収められていますが、あれは実際に施術されているんですか?

SKY-HI:はい。俺は本当に痛くて我慢しながら撮影したんですけど、edhiiiはオーバーアクティングだったっていう疑惑が出てます。

edhiii boi:本当のことをいうと、僕は全然痛くなかったんですよ。

-えっ!?

edhiii boi:疲れてなかったってことなんですかね。ただただこそばゆくて。でも、SKY-HIさんはリハの時点で「イテテテ!」とか言ってるから、「この段階から演技に入るタイプなんだ!」と思ってました。

-edhiiiさんの悶絶が印象に残ってたんですけど、演技だったんですね。

SKY-HI:そうみたいです。どう思います(笑)?

-役者に向いてるということが実証されたんじゃないですかね。

SKY-HI:確かに。

edhiii boi:そうですね。最近は役者という肩書きでやらせてもらってますんで(笑)。

-ぜひ、リスナーの皆さんにはMVも繰り返し見てもらって。

edhiii boi:そうですね。(Instagramの)リールが100万回再生されたらブーツを買ってもらう約束なので。

SKY-HI:雨の中の撮影でブーツがダメージを受けたことにヘコんでたので、「衣装代っていうことで新しく買ってあげてもいいよ」って話したら、「いやいや、僕が選んで履いていったものなので。そこまで迷惑かけるわけにはいかないです!」って言うから、edhiiiも大人になったんだなって。

edhiii boi:そうですよ。

SKY-HI:でもその2分後に、「何かを頑張ったご褒美っていう形で買ってもらえないですかね」みたいな(笑)。

edhiii boi:最悪だ、この話が外部に漏れてしまった。

SKY-HI:なので、リールが100万回再生されたら買ってあげることにしました。

-今(取材時)92万回再生なので、もう少しですね。

SKY-HI:あと8万……ワンチャン、身内で頑張ったらいっちゃうんじゃないかな。

edhiii boi:だから僕もインスタで告知していきたいんですけど、あんまりやるとSKY-HIさんに「こいつ必死に再生数を上げようとしてるな」って思われるのが嫌で(笑)。

SKY-HI:まあ、必死に再生数増やそうとしてくれるのは嬉しいことだけどね。

edhiii boi:そうですね、早く100万行ってほしいです(食い気味に)。

SKY-HI:でもなぁ。BMSGには未成年のアーティストもいるから、彼らには最低限の配慮をしないといけないと思っているんですけど、とはいえ全アーティストに対して甘すぎるんじゃないかなって不安になることもあるんですよね。その度にスタッフに聞いてみると、「それが良いところじゃないですか」って返してくれるんですけど、この間「俺、edhiiiに甘すぎるかな」って聞いたら、「edhiiiくんに関してはその通りですね」って言われました(笑)。

edhiii boi:俺、この後事務所のサウナに行こうと思ってたんですけど、怖くて行けないですね。どんな目で見られてるのか。

SKY-HI:これは、そう思ってない時のedhiiiですね(笑)。

edhiii boi:ヤバいヤバい(笑)。

Edited by Masahiro Saito

SKY-HI×edhiii boiが語る、“欠落”のビートとリアリティ

SKY-HI Digital Single
「deaf feat. edhiii boi」
配信中
Streaming & Download:
https://sky-hi.lnk.to/deaf
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