【画像】「俺たちの矢沢永吉」展の様子
1975年9月21日にシングル及びアルバム『I LOVE YOU, OK』をリリースしてから、今年でソロ活動50周年を迎える矢沢。今回の展覧会では、矢沢が歩んだ50年間の軌跡を辿る、ステージ衣裳、楽器、シングル・アルバムのゴールドディスク、宣伝用ポスター、直筆の譜面などが展示される。また ”俺たちの矢沢永吉”と謳われているように、展覧会に先立ちファンが所持しているコンサートチケットやグッズなど、メモリアルなお宝の募集が実施され、5000通もの応募の中から厳選された600点のグッズが展示されているのも大きな見どころとなっている。果たしてどんな時代のどんなお宝を観ることができるのか? 期待に胸を膨らませて、横浜レンガ倉庫へと向かった。

赤レンガ倉庫1号館3階ホールに入ると、モノクロ写真の矢沢が巨大なウェルカムボードと共に「どうも、ようこそいらっしゃい! 矢沢永吉です」と、本人の声でお出迎えしてくれる。ボードには直筆で「矢沢永吉展 最高!! ありがとう。」とサインが描かれている。日付を観ると2025年6月6日となっており、どうやら内覧会が始まる前に来場していたようだ。なお、この日はメディア向けの内覧会だけでなく、お宝が展示に採用され「CREW MEMBER」に選ばれた方々も招待されており、多くの人が来場していた。

では早速、展示内容を詳しく観ていこう。ウェルカムボードから左に進んだ先にあるのが、日本武道館の楽屋を再現した展示だ。矢沢が実際に楽屋で使用する様々な品が置かれており、ステージ衣装のワードローブの横には大きく描かれたセットリストが見える。「魅惑のメイク」に始まり「トレジャーハンター」、MCを挟んで「Rambling Rose」「JEALOUSY」と続きアンコールの「トラベリン・バス」で締めくくられるこのセトリ、いつの武道館ライブなのかファンならきっとわかるはず。

歩を進めると、「ステージへと続く道」となっており、リーゼントでキメた若き矢沢の雄姿が。壁に並んだパネルには、楽屋からステージへと続く階段へと向かう矢沢の姿が連続写真で捉えられており、今まさに大観衆の前に姿を見せる瞬間を臨場感たっぷりに感じることができる。

<ライブシアターエリア>
暗闇を抜けると、矢沢の歌声と共に「ライブシアター」が現れた。ステージのセンターには白いマイクスタンドが置かれ、その後ろにはダイナミックなライブ映像が流れている。この映像は、オフィシャルショップ「DIAMOND MOON」とファンクラブ限定で上映・配信が行われた、2024年のライブツアー「FIGHT ON」日本武道館公演のもの。その際の上映・配信には含まれなかった「YOKOHAMA二十才まえ」、「But No」「翼を広げて」の3曲が上映されている。
<CONCERT ARCHIVE>

ライブシアターを左に臨む「CONCERT ARCHIVE」でまず目を奪われるのが、天井からぶら下がった歴代コンサートグッズタオルだ。1984年に行われた全国ツアー「E' I'LL BE BACK SOON EIKICHI YAZAWA CONCERT TOUR '84」の緑色のタオルに始まり、年代ごとに並んでいるようだ。矢沢のコンサートには欠かせないグッズであり、ある意味演出の主役ともいえるタオルの歴史を視覚的に知ることができ、眺めているだけで楽しい壮観な展示は、今回の目玉のひとつと言える。

ギターコレクションも、楽器好きな人なら必見だろう。

ライブにまつわるアイテムが多数展示されたこのエリアは、前半のハイライト的なお宝が多い。とくに「CREW MEMBER」から集まったチケットの半券などは、丹念に見ていくとあっという間に時間が経ってしまうほど、デザインも様々で興味深い。なかにはソロデビュー間もない頃、九州・佐世保の1000人規模のキャパシティの会場に200人余りの観客しか集められなかった悔しさを忘れずに、その後のライブ活動へ闘志を燃やしたという有名なエピソード「リメンバー佐世保」にまつわる切り抜きや、矢沢が歌で世界と戦った1997年に英国ウェンブリー・スタジアムでのロックフェス「SONGS & VISIONS」のグッズといった、矢沢の反骨精神の証明ともいえる展示もあり、ファンなら必見だ。


また、キャロルにまつわるポスターやグッズも展示されている。ここでの主役は、開催前に話題となっていた、1975年4月13日に日比谷野外音楽堂で開催されたキャロルの解散コンサートで着ていた革ジャンの展示。これは、キャロル時代から愛用していた革ジャンだったが、1975年4月13日、日比谷野外音楽堂で開催されたキャロル解散コンサート「Good Bye Concert of CAROL」の後、行方がわからなくなっていたというもの。50年のときを経て、本人のもとへと帰還したというストーリーは、この展覧会が行われたからこそ実現したもの。ハンブルグ時代のビートルズに憧れて着ていたこの革ジャンは、バンドからソロの転換期を物語る超重要な展示物といえる。

手書きの譜面や、ステージでの注意点などが書き込まれたライブのセットリストといった貴重な展示も。
<フォトスポット>

3階ホールの奥には、本人の愛車・ハーレーダビッドソンと、ステージで矢沢のマイクスタンドと共に記念写真が撮れるフォトスポットも用意されていた。

<COMMERCIAL ARCHIVE>

ソロデビュー以降、知名度が上がるにつれてTVCMや広告にも数多く登場した矢沢。このエリアには、そうした宣伝資料がたくさん並んでいる。「矢沢OKです。」の名セリフも鮮やかに蘇ってくる「AXIAビデオテープ」のパネルや、TaKaRa「バービカン」など、おもわず「懐かしい!」と声を出してしまうグッズも。おなじみのサントリーの缶コーヒー「BOSS」やサントリー 「ザ・プレミアム・モルツ」、さらにコカ・コーラのCMのみを集めた「COCA-COLA ROOM」もあり、矢沢の存在が身近に感じられるはず。
<RECORD ARCHIVE>

ソロデビュー曲「I LOVE YOU, OK」の白盤(テスト盤)が展示されているのがこのエリア。普通、白盤は音楽業界内でしか出回らないはずだが、今回の展覧会でお目見えしているのは、どこからか手に入れたファンの提供によるもののようだ。「俺もちょっと見に行きたいくらいだね。矢沢永吉展に。」とコーナーにあるパネルで矢沢もコメントしているほど、本人すら驚くアイテムが集まっているところは、50年以上のキャリアがなせるわざだ。
<MEDIA ARCHIVE>

メディアへの露出がまとめられたコーナーで、矢沢が度々表紙を飾っている『Rolling Stone Japan』本誌も何冊も展示されている。『Rolling Stone Japan』がいかに熱く矢沢永吉の音楽を伝え続けているのかを感じていただければ幸いだ。

1994年に矢沢が初主演したTBSドラマ『アリよさらば』台本の展示や、ドラマ本編の一部がモニターから流れているのにも注目。映像ソフト化されていない作品だけに、未見の方は当時の矢沢の演技を観ることができるこの機会をお見逃しなく。

<MEMORIES ARCHIVE>

最後の展示コーナーとなるこちらでもっとも注目したいのが、「初代E.YAZAWAタオル」だ。もともとはライブ中に汗を拭くためにスタッフが用意したタオルにロゴが入り、ステージでタオルを肩にかける姿を目にしたファンからの要望でオリジナルタオルがグッズとして制作され、いまや矢沢とファンを繋ぐ象徴になっていることはよく知られている。その元祖となるE.YAZAWAタオルは、白い生地にロゴが入ったシンプルなもので、1978年のツアーで使用されていたものなんだとか。展示の最後にこのタオルを眺めてジーンとくるファンも多いのではないだろうか。

出口付近には、再び矢沢自身の声で来場者への感謝を伝えるメッセージが。物販コーナーでは「「俺たちの矢沢永吉」展」でしか手に入らない記念タオルやTシャツが販売されている。なお、昨年発売された『Rolling Stone Japan 矢沢永吉 日本武道館150回公演記念 Special Collectors Edition』も発売されているので、是非お手にとっていただきたい。

内覧会で「EIKICHI YAZAWA 50th Year Memorial Exhibition 「俺たちの矢沢永吉」展」を観覧してみて思ったことは、「よくぞここまでの展示物が集まった!」という驚きと、見応えありまくりな各コーナーの充実具合。無我夢中で観ているうちに、気が付けば1時間半~2時間ぐらい経っていたが、まだまだ観ていたかったという気持ちになるぐらい、本当に濃い内容だった。何度でも訪れて、是非時代ごとの矢沢永吉を存分に感じて欲しい。
<イベント情報>
EIKICHI YAZAWA 50th Year Memorial Exhibition 「俺たちの矢沢永吉」展
【横浜会場】
横浜赤レンガ倉庫 1号館 (2Fスペース・3Fホール)
期間:2025年6月7日(土)~2025年6月22日(日)
開場時間:
平日 (6月9日~13日・6月16日~20日)11:00~18:00、土曜日 (6月7日・14日・21日)10:00~19:00、
日曜日 (6月8日・15日・22日)10:00~17:00 ※最終入場は閉場の1時間前
主催:ズィープラスミュージック、TBS、TBSグロウディア、ニッポン放送、TOKYO FM
【大阪会場】
大阪 堂島リバーフォーラム
期間:2025年9月12日(金)~2025年9月24日(水)
開場時間:詳細は後日発表
主催:「俺たちの矢沢永吉」展 大阪実行委員会
後援:FM COCOLO、FM802
協力:ラジオ大阪、リバティ・コンサーツ
「俺たちの矢沢永吉」展・公式サイト https://www.eikichiyazawa.com/feature/50thmemorialexhibition