昨年10月に11thアルバム『SUPERCHARGED』をリリースしたオフスプリング。現在、「SUPERCHARGED WORLDWIDE IN '25」と名付けられたワールドツアーで世界を回っているが、2025年4月に来日を果たし、4月26日、27日の東京ガーデンシアター、4月29日のAichi Sky ExpoホールA、4月30日のGLION ARENA KOBEの4公演では、圧倒的なパワーでオフスプリングの真骨頂とも言えるライブを見せつけた。
4月27日のライブ直前のヌードルズ(Gt)をキャッチして、インタビューを行うことになった。

The Offspringが語るパンクが教えてくれたこと、グリーン・デイとの友情、来日公演の舞台裏

ヌードルズ(Gt)。2025年4月26日、東京ガーデンシアターにて

オフスプリング来日公演の舞台裏

ー昨夜(4月26日)のライブはどうでしたか?

ヌードルズ:素晴らしかったよ! 観客も素晴らしかった。

ー『SUPERCHARGED』収録曲の「Come To Brazil」はプレイしませんでしたね。

ヌードルズ:しなかった。日本でもやった方がいいのかな?(笑)今夜のセットリストには入ってないけど、名古屋か神戸で試してみようかな。

6月25日に公開された「Come To Brazil」MV(※日本公演では披露されなかった)

ーアンコール曲は「You're Gonna Go Far, Kid」と「Self Esteem」でしたが、「Self Esteem」が最後というのが意外でした。

ヌードルズ:でも「Self Esteem」は、日本ではそれほど受けが良くないんだよね。昔からそうなんだけど、何故なんだろう? 他の国でやると、みんな飛び跳ねてクレイジーになるんだけど、日本でやると今ひとつなんだよね。今夜も「Self Esteem」をやって反応を見てみるけど、どうだろう? どこの国でも「Self Esteem」はアンコールのラストの曲にしてるんだけどね。

ー90年代に『Smash』が大ヒットして以来、日本のファンが好きなのは、「Come Out And Play」「Bad Habit」「What Happened to You?」というイメージですね。

ヌードルズ:今夜はその辺の曲はどれもやるよ。
「What Happened to You?」はしょっちゅうやるわけじゃないけど、日本でやるといつも盛り上がるイメージがあるね。「Bad Habit」はよくやるし、「Come Out And Play」はマストだね。

ー「Come Out And Play」をラストの方ではなく、2曲目にやるんですね。

ヌードルズ:今夜は違ってて、「Come Out And Play」は1曲目にプレイする。2曲目は「All I Want」なんだ。そこはいろいろ変えてトライしてるんだ。曲順を変えることで、どういう流れになるのかを見てみたいから。

ー1曲目から「Come Out And Play」だと、間違いなく盛り上がりますね。

ヌードルズ:最初の2曲で思い切りみんなの心をつかんでから、「Want You Bad」をやって、前のアルバムから「Let the Bad Times Rol」をやって、さらに何曲やってから、ニュー・アルバムからのシングル曲「Make It All Right」をやる予定だ。「Original Prankster」とかもやるよ。そう言えば、昔、「Come Out And Play」のブレイク部分で、日本のお客さんは何かを叫んでたよね。最近ではイヤモニをつけてるから、叫んでるかどうかもわからないんだけど。


ー「○ァック・ユー」って叫んでたんですよ。曲の歌詞とは関連性がないんですけど(笑)。

ヌードルズ:覚えてるよ。ウケるなあ(笑)。

ー昨夜は「One Fine Day」もプレイしましたよね。

ヌードルズ:今回のツアーで「One Fine Day」を初めてプレイしたのは昨夜なんだ。この曲は普段あまりやらないんだけど、日本でやるとかなり受けがいいんだ。「One Fine Day」は僕からすると、イギリスのパブのパンク・ロックって感じがするな。

ーMCタイムで、あなたはディープ・パープルの「Smoke on the Water」のギター・リフを弾いて、ブラック・サバスの「Iron Man」、KISSの「Detroit Rock City」と、クラシック・ロックのカバーも少しやりましたよね。

ヌードルズ:そうそう! その前に僕はゴジラのテーマ曲をギターで弾いたんだけど、全くリアクションがなかったなあ(笑)。今夜もやってみるつもりだけど。「Smoke on the Water」の方が少しはウケたかな。
ブラック・サバス、KISSの曲もやってスゴく楽しかったね。KISSの曲ではジョナとギターでハモってみたり、トッド(・モース)のベースの見せドころもあったね。それに、クラシック音楽のグリーグの「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿にて」も弾いたし、全員揃ってラモーンズの「Blitzkrieg Bop」のカバーもやった。今夜もまたやるつもりだ。

ブライアン・メイ、エド・シーランらとの共演

ークラシック・ロックと言えば、昨年5月にクイーンのブライアン・メイとライブで共演をしましたよね。

ヌードルズ:クイーンはもちろん大好きだし、ラジオでもいつもかかってたんだ。ブライアン・メイと一緒にギターを弾くなんて、昔の自分からすると夢にも思わなかったことだよ。ブライアンは毎年スターマスというフェスティバルを開催してるんだ。そのフェスのことは、デクスター(・ホーランド)が何年か前に教えてくれて。天文学と音楽のフェスで、ブライアンが科学者の仲間と一緒にやってるんだ。昨年は僕たちも出演させてもらえることになって。普通のライブセットもあるんだけど、ブライアンにも出てきてもらって、一緒にプレイしてもらおうと思ってね。
それでスロバキア・フィルハーモニー管弦楽団も交えて、ブライアンと共に「Gone Away」をプレイしたんだけど、あれは現実とは思えなかったね。僕たちはさらにブライアンに「あなたの曲を1曲プレイしてもいいですか?」って聞いて。それでクイーンの曲「Stone Cold Crazy」を一緒にやったんだけど、あれは最高だった。ブライアンはレジェンドでロックスターで、本当に素敵なジェントルマンだったよ。僕はサウンドチェックの段階で、ブライアンと一緒にジャムを始めたんだけど、僕はAコードを弾いてるだけで最高だった。彼と共演できたのは本当に光栄なことだよ。

ー昨年はエド・シーランやヤングブラッドともライブで共演していますね。

ヌードルズ:エド・シーランが初めて買ったレコードは、2000年の『Conspiracy of One』らしいんだ。彼がまだ9歳の時だよ。彼の声は聴けばすぐに彼だとわかるような特別な声だよね。僕たちが共演した時も、デクスターの声とエドの声は違うんだけど、二人が合わさった時はいい感じでハマったんだ。ヤングブラッドのエネルギーは凄まじかったね。
僕たちは彼のエネルギーについていくのがやっとだったけど、ベストを尽くした。そういうアーティストと一緒にやると上がるよね。でも、それはファンも同じことなんだ。シンガロングしたり、ジャンプしたりしてるファンを見てると、僕たちもエネルギーをたくさんもらえるんだ。

ー今回のツアーの共演にシンプル・プランを選んだ理由は何かあるのですか?

ヌードルズ:特に何も考えてなかったね。シンプル・プランとは何度もライブで共演しているし、共演して面白いだけの音楽的な違いもあるし、同時に客層がかぶっている部分だってある。実際、一緒にツアーをしてみて、スゴく上手く行ってるんだ。世界一ナイスなヤツらだし、ライブだって最高だ。曲だけ聴くとポップなんだけど、ライブだとけっこうヘヴィだったりする。チャック(・コモー)なんて驚異的なドラマーだよ。ばっちりカマしてくるし、最高のロック・ショーをやってくれてる。それに、僕の娘は前からシンプル・プランとかSum 41のファンだったんだ。


ーちなみに、ライブは楽しいですか? 今でも緊張したりしますか?

ヌードルズ:今でも演奏を楽しんでやれてるよ。それに今でもライブ前は緊張する。でもビールを2杯飲めばOKだ(笑)。今もライブでは動き回るから、いい運動になるね。僕は普段もアクティブに動いてるのが好きだから、ランニングもたまにやるし、自転車にも乗るし、ハイキングにも行くし、サーフィンもやる。サーフィンは大好きだし、自分を良い状態に保ってくれるんだ。デクスターはハーフアイアンマンをやってるけど、僕にはできないな(笑)。

パンクが教えてくれたこと、グリーン・デイとの友情

ーパンク・ロックとの最初の出会いは何でした?

ヌードルズ:2枚のレコードだね。セックス・ピストルズの『Never Mind the Bollocks』とThe Dickiesの白いヴァイナルのEPだ。「Paranoid」もそこに入ってたんじゃないかな。The Dickiesはユーモアがあって面白い感じだったけど、ピストルズはとにかく怒ってた。どちらのバンドも大好きになったけどね。ユーモアも好きだし、激しさや怒りも好きだったんだ。僕自身たまにムカつくことだってあるからね(笑)。

ーパンク・ロックの良いところは何だと思いますか?

ヌードルズ:さっき話してたクラシック・ロックのリードギタリストのように、演奏が上手いミュージシャンである必要はないっていうのを、パンク・ロックは教えてくれたね。あと、パンク・ロックが素晴らしいのは、変わり者と言われる人たちを受け入れてくれたことだ。

The Offspringが語るパンクが教えてくれたこと、グリーン・デイとの友情、来日公演の舞台裏

2025年4月26日、東京ガーデンシアターにて

ーオフスプリングがシーンに登場した時、当時の他のパンク・バンドと比べると、メロディやリリックのアプローチが違いましたよね。そこは意識してたのですか?

ヌードルズ:そこはデクスターがやったことだね。僕たちは疎外感を感じてたし、この世界の中で自分たちの道を見つけようともがいてた若い男たちだった。両親とか学校とか社会が望む方向性はあるんだけど、本当にそれでいいのか?って自問自答をしてたんだ。そこから自分ならではの道を見つけていくわけで。デクスターがリリックで書いてたことはそういうことだった。

ー1994年に『Smash』が大ヒットして、オフスプリングは新しいパンクを代表する存在になりましたよね。同時期にグリーン・デイもそういう存在になりましたが、当時彼らのことをどう見ていました? エピタフのレーベルメイトであるバンドはあなたの友達ですが、グリーン・デイはベイエリアのバンドですよね。彼らはライバルでしたか?

ヌードルズ:少しだけライバルではあったね。彼らのことは知ってたし、僕自身はグリーン・デイのファンでもある。ツアーだって2回ほど一緒だった。僕が初めてマイクとビリー・ジョーとハングアウトしたのは、まだグリーン・デイの前のバンドの時で、マイクはボーカルで、ビリー・ジョーはギターだった。マスコミは「グリーン・デイ vs オフスプリング」って書きたがるんだけど、僕たちは友達なんだよ(笑)。ペニーワイズも友達だし、ランシドも友達だし、どのバンドもスゴくいいバンドだ。NOFXも友達だけど、彼らはラジオプレイを拒否したり、他とは違うことをやってきたと思うね。どのバンドもどのバンドマンも大好きだし、特にエピタフにいたバンドとは友達だと思ってるからね。

The Offspringが語るパンクが教えてくれたこと、グリーン・デイとの友情、来日公演の舞台裏

2025年4月26日、東京ガーデンシアターにて

ーパンク・ロックをルーツにしているバンドって、最初の2枚ぐらいのアルバムがベストだったりしますよね。オフスプリングがこれほど長い間クリエイティビティをフレッシュにキープし続けて、同時に常に若いファンにも支持されているのには、何か秘訣があるのでしょうか?

ヌードルズ:パンク・ロックって言っちゃダメだよ(笑)。ロック・バンドって言わなきゃ。ボストンなんて最初のアルバムは最高だったよね。でもローリング・ストーンズはずっと最高なままだ。僕たちはボストンよりもストーンズのような存在でいたいね(笑)。でも、大変と言えば大変だよ。自分が今やってることがイケてかどうかなんてわからないから。もし秘訣があるとしたら、やり続けることかな。そうすることでアイデアもサウンドもフレッシュなままキープできるからね。それに、僕たちはこのバンドを根本から変えようとはしてないし。エクスペリメントするにしても、アルバムで1~2曲、ちょっとテイストの違う曲を作るぐらいだ。だからどの曲もオフスプリングらしく聴こえると思うよ。今回のアルバムの曲でも、他とは違うのは「Come To Brazil」ぐらいじゃないかな。この曲はスラッシュメタル寄りという感じだから。あとは、「Get Some」。この曲はモントローズっぽいところがあるからね。

ーしかもオフスプリングって、常に若いファンがいるし、年を重ねても更新されているイメージがありますね。

ヌードルズ:そうだね。それはわかってる。ステージ上にいる僕たちはどんどん歳をとっていくのに、最前列のお客さんはずっと同じ年齢層なんだ。それは自分たちでも驚いてるところなんだ。

ーそれは何故だと思います?

ヌードルズ:音楽の持つエネルギーじゃないかな。若々しいエネルギーが若いファンにアピールできてるんだと思う。

ー「Youre Gonna Go Far, Kid」なんて、今の若い子たちにめちゃくちゃ人気がありますよね。

ヌードルズ:そうなんだ。もう17年も前の曲なのに。だけど、「Come Out And Play」と「Self Esteem」なんて31年前の曲だよ(笑)。お客さんの多くはまだこの世に生まれてもないんだ。うちのドラマーのブランドンだって、『Smash』が出て数カ月後に生まれてるくらいだ。

ーオフスプリングはもはやあなたにとっては人生みたいなものですよね。

ヌードルズ:もちろんオフスプリングは自分の人生として楽しんでるし、今でもワクワクしてやれてるのが最高だ。もちろん今までに大変な状況だってあったよ。でも文句なんて言えないんだ。それ以上に素晴らしいものがあるからね。

※オフスプリングは本日6月27日、『SUPERCHARGED』収録の人気曲「Looking Out For #1」の新バージョン2曲をリリース。〈Ska Version〉はオリジナルのアップビートなフィーリングを保ちつつ、パーカッションとホーンを追加。〈Dublin Version〉はバンドが「これがもっとポップな影響を受けたトラックだったらどうだろう?」と想像しながら制作したもの
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