今年に入ってから猛烈なスピードで勢力を拡大している5人組バンドPompadollS(以下、ポンパズ)が、6月29日に結成1年にして初のワンマンライブを開催した。会場は、下北沢にあるFlowers Loft。
【ライブ写真ギャラリー】PompadollSワンマンライブ
定刻を過ぎ、メンバーが登場すると、大歓声と拍手がそれを出迎える。そして、但馬馨(Dr)を中心に5人は輪になり、すっと呼吸を合わせ、そこから1曲目「海底孤城」の物語を鳴らし始めた。これは明るい曲というわけではない。五十嵐五十のボーカルも非常にクール。しかし、彼女は楽しそうな表情を隠そうともしない。今や切り込み隊長的な存在感を放つようになったサイカワタル(Ba)も弾けるような笑顔をフロアに向けている。
Photo by 和花奈 @waka_mera08
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もう、この時点でPompadollSというバンドの魅力が十分に発揮されていた。彼らは音楽的には非常に器用だし、技術力の高いプレイヤー揃い。だけど、人間的には器用になりきれないし、各メンバーのキャラクターがそのままパフォーマンスに出ている。そんな生々しさ、人間臭さ、潔さが自分は好きなのだ。これは初めて彼らのライブを観たときから変わっていない。ペース配分もクソもない。最初から全力だ。
個人的に、演奏面で最も好きなのは「怪物」。
Photo by 和花奈 @waka_mera08
そして、最新作『Fantasism』を聴いた多くのファンが気づいているように、五十嵐の表現力は前作『P.S.』よりも上がっている。それはライブにおいても同様で、「ロールシャッハの数奇な夢」では、オープニングのフレーズを歌い終えたかと思ったら、不意にニヤリ。そのあとは、従来のパワフルさに妖艶さを共存させた歌で魅了するのだった。
Photo by 和花奈 @waka_mera08
繰り返しになるが、この日はワンマンライブ。時間にも余裕があり、もっと抑えめのペースでじっくり聴かせる構成でもよかったと思う。しかし、彼らのクセなのかどうかはわからないが、5人は勢い重視でテンポよく曲をつなげていくことを選んだ。「窮鼠、猫を噛む」の前も、MCを挟むことなくボーカル五十嵐がステージを後にし、ピアノソロからドラム、ベース、ギターと順々にバンドインするというライブアレンジを披露した。これも演奏の勢いを途切れさせないためだろう。
この日最初のロングMCでは、自身初のワンマンライブに「いつか帰るところ」というタイトルを付けた理由を五十嵐が話した。内容は以下のようなものだった。
今の世の中、確実なものがほとんどない。会社に勤めていても、いつ潰れるかわからない。
このMCはライブタイトルだけでなく、続く新曲「まえがき」の曲紹介にもなっていた。話すのが下手だと自嘲する彼女が、必死に言葉を紡ぎ、フロアは真剣に耳を傾けた。そんな観客の姿を受けてか、五十嵐は「まえがき」後のMCで、自分たちのファンについて誇らしげに語った。対バンをしたバンドから「ポンパズのお客さんは楽しそうにしてくれるから、こっちも楽しいんだよね」とよく言われるそうだ。
観客の熱量の高さは、「ラストスパート、一緒に遊んでくれ、下北沢!」という煽りとともに始まった新曲「赤ずきんはエンドロールの夢をみるか?」が象徴的だった。昔からの人気曲かのように皆が大声を上げ、大シンガロングを繰り広げたのである。本編最後は、すっかり恒例のソロ回しから「スポットライト・ジャンキー」。現在のポンパズの盛り上がりは、この曲から始まったと言っていい。メンバーがステージを降りると、当たり前のようにアンコールがかかり、「魔法のランプ」を演奏し、記念すべき一日を締めた。
PompadollSの”黒幕”としてバンドを支える青木廉太郎(Gt)は、アンコール前に「全然疲れてない」と本音なのか強がりなのかわからないことを言っていた。この日、筆者の位置からは彼の姿が全く見えなかったので、パフォーマンスについて詳細には語れないのだが、但馬のシュアなドラムプレイとともに、縁の下の力持ちとしてバンドを支えているように感じた。
Photo by 和花奈 @waka_mera08
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今後、5人はさらに曲を量産するだろう。いまはまだ、バンドとしては”下書き”の状態かもしれない。しかし、今後PompadollSの物語にはドラマチックな筋書きが生まれ、鮮やかに色がついていくことだろう。しかし、みんなきっと忘れない。希望に満ち溢れたこの日を。屈託なく笑いまくったこの日を。5人が描き始めたPompadollSという名の壮大な童話は、ここから始まるのだ。
ツタロックDIG LIVE Vol.18
※PompadollSはMASSIVE STAGEに出演
2025年8月6日(水)Spotify O-EAST
料金 4900円(全自由・入場整理番号付・ドリンク別・税込)
開催時間 開場/開演/終演:12:30/13:30/20:40 ※変更可能性あり
主催・企画 CEミュージッククリエイティブ株式会社
制作 株式会社シブヤテレビジョン
協力 Rolling Stone Japan
問い合わせ 03-5458-4681 (Spotify O-EAST)
公式HP https://cccmusiclab.com/tsutarockdig18
公式SNS X: https://twitter.com/tsutarocklive
Instagram: https://www.instagram.com/tsuta_rock_live_official/
一般発売専用URL:https://eplus.jp/tsutarock/
PompadollS 1st One Man Tour 『Courtesy Call』開催決定
チケット申込みURL
https://eplus.jp/sf/detail/4356480001-P0030001P0030002P0030003?P6=001&P1=0402&P59=1&block=true
開場と同時にフロアは観客であっという間に埋まり、開演10分前にはパンパン。正直、メモを取るのも苦労するほどの混雑だ。しかし、「あと50名のお客様が入場します!」というスタッフの声にフロアはざわつく。最近のポンパズ人気を象徴するような場面だった。実はこのライブ、チケットは発売開始1分で即完売。すでに局地的に沸騰している熱が、今まさに外へと溢れ出ようとしているタイミングがこの日だったのだ。
【ライブ写真ギャラリー】PompadollSワンマンライブ
定刻を過ぎ、メンバーが登場すると、大歓声と拍手がそれを出迎える。そして、但馬馨(Dr)を中心に5人は輪になり、すっと呼吸を合わせ、そこから1曲目「海底孤城」の物語を鳴らし始めた。これは明るい曲というわけではない。五十嵐五十のボーカルも非常にクール。しかし、彼女は楽しそうな表情を隠そうともしない。今や切り込み隊長的な存在感を放つようになったサイカワタル(Ba)も弾けるような笑顔をフロアに向けている。
この場にいる全員が自分たちのライブ目当てに集まっている、というPompadollS初の出来事がメンバーを喜ばせ、興奮させていたに違いない。そう思うと、初っ端からグッとくる。しかし、演奏はタイトだ。グルーヴィーなリズムチェンジの気持ちよさが、結成1年とは思えない5人の力量を示していた。

Photo by 和花奈 @waka_mera08

Photo by 和花奈 @waka_mera08
もう、この時点でPompadollSというバンドの魅力が十分に発揮されていた。彼らは音楽的には非常に器用だし、技術力の高いプレイヤー揃い。だけど、人間的には器用になりきれないし、各メンバーのキャラクターがそのままパフォーマンスに出ている。そんな生々しさ、人間臭さ、潔さが自分は好きなのだ。これは初めて彼らのライブを観たときから変わっていない。ペース配分もクソもない。最初から全力だ。
個人的に、演奏面で最も好きなのは「怪物」。
ここで味わえるバンドアンサンブルがもっとも気持ちいい。特に、間奏からラスサビ~アウトロへとつながる展開がたまらないし、5人の演奏のメリハリが存分に堪能できる。ここでは小松里菜のピアノをピックアップしよう。この曲における彼女のプレイはけっこう派手なのだが、だからといって大きく主張するわけではない。その代わり、アンサンブルを裏でしっかり支えつつ、楽曲の端々までしっかり彼女のエッセンスが効いている。小松は藝大出身のプレイヤーで、技術的に秀でているのはいうまでもない。バンドがバンドなら主役になっていてもおかしくない存在だ。しかし、PompadollSにおいてはあくまでもバンドの1/5としての役割を果たしている。これがPompadollSのサウンドがシンプルな「ピアノロック」にならない理由で、5人の総合力と楽曲力で勝負をしている証明となる。

Photo by 和花奈 @waka_mera08
そして、最新作『Fantasism』を聴いた多くのファンが気づいているように、五十嵐の表現力は前作『P.S.』よりも上がっている。それはライブにおいても同様で、「ロールシャッハの数奇な夢」では、オープニングのフレーズを歌い終えたかと思ったら、不意にニヤリ。そのあとは、従来のパワフルさに妖艶さを共存させた歌で魅了するのだった。
ストレートな表現が魅力の彼女としては珍しい場面だった。ちなみにこの日、『Fantasism』の収録曲は全曲披露した。リリースされたばかりにもかかわらず、だ。

Photo by 和花奈 @waka_mera08
繰り返しになるが、この日はワンマンライブ。時間にも余裕があり、もっと抑えめのペースでじっくり聴かせる構成でもよかったと思う。しかし、彼らのクセなのかどうかはわからないが、5人は勢い重視でテンポよく曲をつなげていくことを選んだ。「窮鼠、猫を噛む」の前も、MCを挟むことなくボーカル五十嵐がステージを後にし、ピアノソロからドラム、ベース、ギターと順々にバンドインするというライブアレンジを披露した。これも演奏の勢いを途切れさせないためだろう。
この日最初のロングMCでは、自身初のワンマンライブに「いつか帰るところ」というタイトルを付けた理由を五十嵐が話した。内容は以下のようなものだった。
今の世の中、確実なものがほとんどない。会社に勤めていても、いつ潰れるかわからない。
好きな人がいても、お互いにその気持ちがいつまで続くかわからない。そんな不確実だらけの世界で生きていくには、どうしても強くならなきゃいけない瞬間がある。その強さを手に入れるためには、一度、いい意味で孤独になる勇気が必要なんだと思う。でも、自分の心をちゃんと認識するには、実は他人と関わることも必要で、自分一人では見えないものも、人と交わる中で気づけたりする。ちょっと矛盾する話だけど、だからこそ強くなるためには人と交わらなきゃいけない。ライブっていうのはその究極の形で、みんなで演奏するというのは人と人が交わっている証。だから、このライブを「いつか帰るところ」にしたいと思った。みんなが一人にならなきゃいけないときに勇気を持てるように、今日という日をみんなにとってお守りみたいな一日にしましょう。
このMCはライブタイトルだけでなく、続く新曲「まえがき」の曲紹介にもなっていた。話すのが下手だと自嘲する彼女が、必死に言葉を紡ぎ、フロアは真剣に耳を傾けた。そんな観客の姿を受けてか、五十嵐は「まえがき」後のMCで、自分たちのファンについて誇らしげに語った。対バンをしたバンドから「ポンパズのお客さんは楽しそうにしてくれるから、こっちも楽しいんだよね」とよく言われるそうだ。
それはなかなかできないことだし、才能だと思う、と讃えた彼女は、さらに続けた。「今後、どんどん会場がデカくなると思うんですよ。(今日みたいに)一人ひとりの顔が見えるのはレアだと思うから、みんなの顔をしっかり見て演奏したいなと思います」かなり強気な発言だったが、決して思い上がっているわけではないと思った。実際、ライブの最後に告知された秋の東名阪ツアーの先行抽選予約には、現時点でかなりの申し込みがあるという。そういう意味では、200人キャパの今回のワンマンはたしかにかなり貴重だった。
観客の熱量の高さは、「ラストスパート、一緒に遊んでくれ、下北沢!」という煽りとともに始まった新曲「赤ずきんはエンドロールの夢をみるか?」が象徴的だった。昔からの人気曲かのように皆が大声を上げ、大シンガロングを繰り広げたのである。本編最後は、すっかり恒例のソロ回しから「スポットライト・ジャンキー」。現在のポンパズの盛り上がりは、この曲から始まったと言っていい。メンバーがステージを降りると、当たり前のようにアンコールがかかり、「魔法のランプ」を演奏し、記念すべき一日を締めた。
PompadollSの”黒幕”としてバンドを支える青木廉太郎(Gt)は、アンコール前に「全然疲れてない」と本音なのか強がりなのかわからないことを言っていた。この日、筆者の位置からは彼の姿が全く見えなかったので、パフォーマンスについて詳細には語れないのだが、但馬のシュアなドラムプレイとともに、縁の下の力持ちとしてバンドを支えているように感じた。
本当にいいバランスだと思う。

Photo by 和花奈 @waka_mera08

Photo by 和花奈 @waka_mera08
今後、5人はさらに曲を量産するだろう。いまはまだ、バンドとしては”下書き”の状態かもしれない。しかし、今後PompadollSの物語にはドラマチックな筋書きが生まれ、鮮やかに色がついていくことだろう。しかし、みんなきっと忘れない。希望に満ち溢れたこの日を。屈託なく笑いまくったこの日を。5人が描き始めたPompadollSという名の壮大な童話は、ここから始まるのだ。
ツタロックDIG LIVE Vol.18
※PompadollSはMASSIVE STAGEに出演

2025年8月6日(水)Spotify O-EAST
料金 4900円(全自由・入場整理番号付・ドリンク別・税込)
開催時間 開場/開演/終演:12:30/13:30/20:40 ※変更可能性あり
主催・企画 CEミュージッククリエイティブ株式会社
制作 株式会社シブヤテレビジョン
協力 Rolling Stone Japan
問い合わせ 03-5458-4681 (Spotify O-EAST)
公式HP https://cccmusiclab.com/tsutarockdig18
公式SNS X: https://twitter.com/tsutarocklive
Instagram: https://www.instagram.com/tsuta_rock_live_official/
一般発売専用URL:https://eplus.jp/tsutarock/
PompadollS 1st One Man Tour 『Courtesy Call』開催決定

チケット申込みURL
https://eplus.jp/sf/detail/4356480001-P0030001P0030002P0030003?P6=001&P1=0402&P59=1&block=true
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