2020年のデビュー以来、次々に偉業を達成し続けている今もっとも注目を集めるグローバルグループ、ENHYPEN。K-POPボーイグループとして、デビューから最速で日本3都市ドームツアーを完遂した彼らは、海外アーティスト史上最速で日本2都市でのスタジアムツアーを成し遂げようとしている。


【ライブ写真ギャラリー】ENHYPEN WORLD TOUR 'WALK THE LINE' IN JAPAN -SUMMER EDITION-

世界に向けて自分たちの存在とストーリーを示した『ENHYPEN WORLD TOUR MANIFESTO』、ENHYPENとENGENEの間にある強い絆を運命の赤い糸になぞらえてコンセプティブに昇華した『ENHYPEN WORLD TOUR 'FATE'』を経て開催された、3回目のワールドツアーとなる『ENHYPEN WORLD TOUR 'WALK THE LINE'』には「運命共同体であるENHYPENとENGENEが一丸となり、新しい道を切り開いていく」という信念が込められており、セットリストは大きく分けて4つのブロックで構築。「本格的に第一歩を踏み出した過去」、「ENGENEによって自分たちの存在意義に気づかされた現在」、「ENGENEと一緒に歩む未来」といったENHYPENの軌跡が描かれていく。

『ENHYPEN WORLD TOUR 'WALK THE LINE' IN JAPAN -SUMMER EDITION-』では、ドームツアーの内容を夏のスタジアム公演に合わせてリビルド。既存曲を磨き上げると共に新曲も追加し、次なる7人の未来を魅せたのである。本稿では、ENHYPENの日本デビュー日と重なった7月6日(日)公演(at 味の素スタジアム)の要素をお届けする。

開演時刻になると、センタースクリーンの奥から黒い衣装に身を包んだメンバーが巨大な月を背にして登場。「Brought The Heat Back」を投下し、冒頭からアクセル全開のステージを展開していく。会場には柔らかくサイリウムが煌めくと共に”Yeah yeah yeah”の掛け声も鳴り響き、すでにENGENEも準備万端といった様子である。1曲目にして花火が打ちあがるばかりか、金色のテープが舞台を彩るのだ。これでテンションが上がらないわけがない。「FEVER」に引き継がれ、さらに熱を帯びていくENHYPENとENGENE。オープニングパートに相応しい、華々しい幕開けだったことはいうまでもない。


MCになると、「味の素スタジアムでの2回目の公演ですが、今日は特に僕たちにとって特別な理由があります。それは、今日が日本デビュー4周年だからです!」と口火を切るJUNGWON。続いて、メンバーひとりずつから挨拶が届けられた。NI-KIが「昨日の公演が終わって、余韻で眠れなかったんですけど、ENGENEのみなさんはいい夢をみましたか?」と赤裸々に話すと、SUNGHOONは「今日は忘れられない思い出を作ります!」とグッドサイン、JAKEは「今日はもっと楽しく遊びましょう」と瞳を輝かせた。そして、JAYの焚き付けに先導されるようにして、次なるパフォーマンスに繋がれていった。

既存の枠から抜け出そうとする決意を表現した「ParadoXXX Invasion」は、これから始まっていく物語のイントロといってもいいだろう。オールドスクールヒップホップサウンドに乗せ、投げキスを飛ばしたり雄々しい視線を飛ばしたり、それぞれの魅力を咲かせていく。HEESEUNGの「みんな叫べ~!」を合図に水しぶきが吹き上がり、会場の至るところから賑やかな声があがっていった。さらに、メッセージ性を強めるかのように、混乱する世の中で動揺せずに、未来に繋がる道を探していく姿を描写した「Future Perfect(Pass the MIC)」へ。檀上にはJUNGWONが佇み、歌を通して「一緒に進んでいこう」と投げかける。地面を震わせていく”Woah”の声は、彼らのメッセージへの呼応を力強く表していた。

ENHYPEN、ドームからスタジアムへ――「運命」を歌う7人の夏

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.

VCRを経て、「本格的に第一歩を踏み出した過去」のパートに入っていく。
章の始まりを告げたのは、彼らのデビューソングである「Given-Taken」だ。貴公子のようなスタイリングは、7人の持つ上品な色気を一段と増幅。SUNOOの流し目から発せられる色香ときたら、たった一瞬で国を揺るがしてしまいそうなほどである。ユニットステージに突入してもなお、彼らの儚い美しさは留まるところを知らない。JAY・JAKE・SUNGHOONが「Lucifer」で三者三様の傷心を刹那に歌い上げると、JUNGWON・HEESEUNG・SUNOO・NI-KIは「Teeth」で無敵さと虚しさに揺れ動く心情で魅了していく。長い旅路の果てに新しいスタート地点に立ったENHYPENの複雑な感情を表した「Given-Taken」から、少年たちが葛藤する2曲へ流れていく様は、コロナ禍でデビューとなり苦難の時を過ごした彼らの道程を彷彿とさせる。

ENHYPEN、ドームからスタジアムへ――「運命」を歌う7人の夏

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そんな困難を蹴散らすかのように、姿を現すやいなやギターをかき鳴らすJAY。「自分の人生を生きていく! 口出しするな!」と叫ぶ「Blessed-Cursed」を投入し、エネルギーが漲るパフォーマンスで惹きつける。祈りやライオン、正拳突きといったアイコニックなダンスは、「これがENHYPENだ」と言わんばかりにパワフルだ。周りの声に惑わされることなく、自分たちを受け止められるようになった彼らの視線は、自分たちを愛してくれる人のほうへと向かっていく。愛していると信じていた相手への混乱した気持ちを歌った「Fatal Trouble」から、運命の相手との再会をきっかけに血で繋がった運命の存在に気づく「Bite Me」へ。いよいよ「ENGENEによって自分たちの存在意義に気づかされた現在」のパートが開幕だ。


メンバーはカジュアルなファッションに衣装チェンジ。ステージの左右からトロッコに乗りこみ、「Your Eyes Only」と「Orange Flower(You Complete Me)」を歌いながら、客席の外周を巡っていく。7人の手には水鉄砲が握られ、ENGENEをめがけて容赦なく発射。なかには飲むようにセットされていたペットボトルまで持ち出し、勢いよく水をまき散らすメンバーも。後方ステージに到着したJAKEは「ENGENEのみなさん、一緒に歌いましょう」と誘い、心地の良い大合唱を創出。夕暮れの訪れとともに、味の素スタジアムには、オレンジ色のサイリウムフラワーが穏やかに揺れていた。ここで7月29日に発売となる日本4thシングル『宵 -YOI-』のタイトルソングである「Shine On Me」を初披露。メンバーは一列に並び、スタンドマイクへ真摯に声を落としていく。SUNGHOONがマイクに両手をかけて愛しそうに歌を編めば、NI-KIはあえてマイクを手に持ち、視線を遠くへ向けながら歌唱。星のように輝く”君”を大切なENGENEと重ねるように、ひとりひとりが丁寧に想いを伝えぬいた。

ENHYPEN、ドームからスタジアムへ――「運命」を歌う7人の夏

(P)&(C) BELIFT LAB Inc.

ENHYPEN、ドームからスタジアムへ――「運命」を歌う7人の夏

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”君と見たい未来 forever”と、愛を唱えるだけでは終わらないのがENHYPEN。彼らは常に、愛情と表裏一体になっている事象や感情に楽曲を通して向き合ってきた。
だからこそ、ただ願うだけでは愛が叶わないことだって知っている。守り抜きたいものがあるのなら、固い決意が必要なのだと――。絶えず進むことを誓う「Scream」から連なる4曲は、まるで「僕は僕の道を歩んでいく。たとえ毒に侵されることがあっても傍にいる」と謳っているよう。ニューウェーブのサウンドにクールな声色が映える「Tamed-Dashed」、人差し指を口に当てながらアイソレーションする動きが印象的な「Sweet Venom」と連投。

「Go Big or Go Home」では、ステージで7人が散り散りになり、端から端まで盛り上げていく。EDMのトラックとレーザービームが織りなす空間は、まるで巨大なナイトクラブ。弾ける花火、グルーヴィーなダンス、鳴り渡る歓声といった要素を掛け合わせ、熱狂の到達点を作り出したのだった。

ついに『ENHYPEN WORLD TOUR 'WALK THE LINE' IN JAPAN -SUMMER EDITION-』も最終章へ。この夜が永遠になることを願う「Moonstruck」から、ラストセクションとなる「ENGENEと一緒に歩む未来」に入っていく。白いシャツに煌めくグレーのベストを合わせた出で立ちは、さながら銀河の光をまとったプリンス。2着目のルックと同じようなベクトルでありながら、色味も袖の長さも軽やかになり、ブライトな未来を想起させる。
ライブバージョンのアレンジに重なる切なる歌声は、ENGENE一人ひとりの心に深々と積もっていった。

最後のMCでは、味の素スタジアムでライブした感想が、それぞれの口から語られていった。しっとりしたBGMに合わせてJAYが泣きまねを繰り出す一方で、SUNOOは言葉を選ぶようにして「一生懸命に頑張ったんですけど、少し心残りがあるステージになりました」と吐露。その後もメンバーの口から、思い思いの言葉が手渡されていく。なんとNI-KIは「今日は僕たちの(日本)デビュー4周年ということで、大したものじゃないですけど手紙を…」と話し、ポケットからワインレッドの封筒を取り出した。スクリーンには手書きの文字が並ぶ便箋が映し出され、他のメンバーはステージに座って手紙を読み上げるNI-KIの姿を見つめる。「いつも僕たちの傍で尽きることのない応援と愛をくださり、感謝の気持ちで胸がいっぱいです。これから、エンジンと作っていく思い出がどんなものになるのか、すごく気になりますし、今までよりもこれからのほうがもっともっと長いと思うので、どうかこれからも今のように僕たちの傍で見守っていただけると幸いです。僕たちもエンジンのみなさんがくださる愛に答えられるように、もっと頑張ります。エンジン本当に愛してます」とNI-KIが告げると、「泣きそう~!」「すごく感動ですね」と話すメンバー。

ENHYPEN、ドームからスタジアムへ――「運命」を歌う7人の夏

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感動的なムードに場内が漂うなか、JUNGWONが「こんな日に、そのまま過ごすわけにはいかないよね。NI-KIさんに続いて、僕も用意しました」と話し、ステージの奥からサプライズケーキが出現。
みんなで「Happy Birthday to You」を歌うと共に、ENGENEからは「4周年おめでとう!」の声も響き渡り、記念すべき日を祝ったのだった。

パフォーマンスタイムへ戻り、HEESEUNGが蝶の羽を模したデザインのピアノに腰をかけて鍵盤で指を弾ませると、ステージ上から客席の奥へ向かって風が吹き抜けたかのように、ピンク色の光が広がっていった。導かれたのは、最後まで愛する幸せと喜びを描き出した「XO(Only If You Say Yes)」。どこかリラックスした雰囲気からは、抜きの美学を感じさせる。軽やかなムードのまま「No Doubt」「Bad Desire(With or without you)」を投じて、目の前の”君”がいかに大切なのかと明言。スケールの大きな音楽と愛で味の素スタジアムを包みこんだのだった。

本編終了後は、客席がスクリーンに映し出され、ENGENEの呼びかけにより「Shine On Me」や「Highway 1009」の合唱が巻き起こる。その流れに乗るようにして、『DARK MOON(黒の月)』のキャラクターに導かれ、「Forget Me Not」のシンガロンへ。想いをたっぷり詰めこまれた歌声が、味の素スタジアムを満たしていった。

すると、スクリーンにはENHYPENがカムバック。メンバーからの「ENGENE、僕たちと一生共にする準備ができたら大きな声で、ENHYPENって叫んで」というお願いにENGENEが特大の歓声で応えると、HEESEUNGは「僕と約束したからね。ずっと一緒だよ」と念押し。「Blossom」のイントロが流れ、スムーズにアンコールへ流れこんでいった。JAKEがストレートな熱を言葉にこめれば、SUNGHOONは愛しい人を思うように情景を紡いでいく。SUNOOが「一緒に歌えて、とても幸せです。もう1曲行ってみましょうか。今日は声が枯れるまで盛り上がりましょう!」とリードし、ドロップされたのは「Always」と「SHOUT OUT」。再びトロッコに乗りこんで、お互いに水を掛け合って無邪気にふざけ合いながら、ENGENEへもコンタクトを送っていく。最後は「Paranormal」でライブを結び、全25曲を全力で駆け抜けたのだった。
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