【写真を見る】Rolling Stone Japan vol.31に掲載された撮り下ろしカット
この公演は、8月8日にリリースされた4作目のオリジナルアルバム『METAL FORTH』の世界観を体現する場でもあった。ポピー(Poppy)、トム・モレロ(Tom Morello)、エレクトリック・コールボーイ(Electric Callboy)、ブラッディウッド(Bloodywood)、スローター・トゥ・プリヴェイル(Slaughter to Prevail)、ポリフィア(Polyphia)、スピリットボックス(Spiritbox)といった世界各地のアーティストとのコラボレーションが並ぶ本作は、BABYMETALが”第二期”として突き進む「メタルのその先」を明確に示す内容となっている。
2023年~2024年の2年間で25カ国・約100公演を巡り、累計動員数は100万人超。KNOTFEST AUSTRALIAやFOX_FEST、アジア・欧州・南北米ツアーといった場を通じて、新生3人体制のBABYMETALはその立ち位置を世界基準へと確実に押し上げた。もはや”日本発の異色メタルユニット”という枠を超えた、グローバルなアイコンとしての存在感を放っている。
そんな現在進行形のBABYMETALに話を聞いた。海外のファンから届く生の声、狂熱の南米ツアー、そして『METAL FORTH』で更新された新たなメタル像まで──ここからは、SU-METAL、MOAMETAL、MOMOMETALの3人が語る、BABYMETALの「今」をお届けする。
これからのメタルは私たちが作っていく
ー今年1月からスタートしたTOKYO FM『メタラジ!』では、世界各国からたくさんのお便りが届いていますね。海外ファンの生の声に触れてみて、いかがですか?
SU-METAL 私たちが行ったことのないところも含めて色々な国からおたよりが来るので、ラジオ局の方も驚いてました。そもそもこれまでファンの声を聞く機会自体が少なかったですし、「BABYMETALを聴いてギターを始めました」「BABYMETALのライブをきっかけに一人で旅をするようになりました」とか、ラジオをやってなかったら知ることのない反応に触れられるのは嬉しいですね。
ー中でも、初めてのライブ参加がBABYMETALだと語っていたアルゼンチンの15歳の女の子が印象に残っていて。
MOAMETAL 私たちがBABYMETALを結成した頃に生まれた子だと思うとビックリですよね。
MOMOMETAL 「BABYMETALの音楽に勇気付けられてます」「BABYMETALを聴いて音楽の概念が変わった」みたいなコメントを下さる方もいて。そういった影響を与えられてるんだっていうのを、みなさんの言葉で実感できるのは嬉しいです。
ー2023年は25カ国を回ってヘッドラインツアーの総動員数が24万人超、2024年は22カ国を回ってスペシャルゲスト出演の公演を除いた総動員数が約101万人と、すさまじい規模感で世界中を沸かせてきました。この3人の新生BABYMETALとして、怒涛のワールドツアーを経験して手に入れたものってなんだと思いますか?
SU-METAL それこそラジオでの反響もですけど、お母さんの影響でBABYMETALを聴き始めた子が高校生になってようやく自分のお金でライブに行けるようになったとか、そういう声をよく聞くようになって。メタルという音楽自体が若い子にも親しみやすいものに変わっているということがすごく嬉しいですし、私たちがそのきっかけを作れているんだと感じる瞬間が増えてきているのが、ツアーを回っていて感じる変化ですね。
MOAMETAL 何よりこの3人でツアーを回れたっていう経験自体が大きいことだと思っていて。もちろん不安定な時期もあったけど、それでも100本近いツアーを回れたっていう達成感が、私にとっては一番の糧です。ほとんどの公演がソールドアウトでしたし、どの国に行っても求めてもらえて、この3人を待っていてくれる人がいるっていうことを知れた2年間で、これからもっともっと強くありたいなと思えるようになりました。
ーMOMOMETALさんはいかがですか? 加入から現在まで、ものすごく濃密な時間だったと思いますが。
MOMOMETAL 3人の仲が本当に深まった気がしていて。2年ちょっととは思えないぐらいの分厚い関係になってきているのがすごく嬉しいです。世界を回る中で新しい人に知ってもらえる機会も増えて、今のBABYMETALを楽しんでもらえることが、自信に繋がってます。
MOAMETAL めちゃくちゃ苦楽をともにしてるからこそ、苦しいことも一人じゃないって思えるのが大きくて。
MOMOMETAL そうだね。
MOAMETAL ボーカルとダンサーっていう立場の違いもありますけど、それでもみんなで同じ壁を乗り越えてるんだなって思うと、それだけでこのチームで良かったって思える。そういうことが増えましたね。
SU-METAL うんうん。
ー『メタラジ!』では新しい学校のリーダーズと海外ツアー中の身体のケアについて話していましたけれど、ツアー中やステージの前後に欠かせないルーティンってありますか?
MOAMETAL めっちゃ当たり前のことだけど、ストレッチはライブ前に1時間くらい絶対やるようにしてます。あと、ライブ終わりはアスリートみたいにアイシングしてます(笑)。
SU-METAL どんなに寒くても15分はやるよね。でも私が気を付けてるのは、絶対に身体を冷やさないこと。
MOAMETAL あー、生姜紅茶!
SU-METAL そうそう(笑)。熱い国でも絶対に作ります。
MOAMETAL 普段はMOMOMETALと私の方が寒がりなタイプなんですけど、ツアー中はSU-METALが一人でダウンを着てて。
SU-METAL 一度ぐらい高い状態にいないと不安になるんですよね。だから、ちょっと汗かいてるくらいの状態をずっと保ったりする。冷える方が怖いので。
MOMOMETAL あと、私とMOAMETALはなるべく食べたものを消化させた状態で本番に出るようにしてます。
MOAMETAL 「あーもう限界、お腹空いた!」って言いながらね。
MOMOMETAL そのくらいがベストパフォーマンスに繋がりますね。
MOAMETAL それとこの2、3年でお水の大切さがわかって、硬度とpH値を調査するようになりました。ペットボトルのラベルを見て、「うーん、pH値が6.◯◯だからこれは違うね」とか言いながら(笑)。
ーpH値によってコンディションに影響が出るんですか?
MOAMETAL たぶん身体への溶け方が違って、硬度やpH値が高すぎると脇腹が痛くなるんですよね。
SU-METAL 硬水だと飲んでる時に喉に引っかかるんだよね。
MOAMETAL あと、どう見てもスティルウォーターなのに開けたら炭酸水だったりとか。
MOMOMETAL それめっちゃある(笑)。
MOAMETAL 「プシュー!」ってなった瞬間、3人で「あーっ!」って(笑)。
SU-METAL 楽屋で何種類か飲み比べたりして。
MOAMETAL そうして決めたお水でも、いざステージで飲んでみたらあまり合わなかったりするんですよ。一番良いお水を探してます。
ーお水の話を掘り下げても面白そうですが(笑)、ニューアルバム『METAL FORTH』について聞かせてください。Rolling Stone Japanでは「FOX_FEST」開催時にKOBAMETALさんへの取材を行いましたが、その際に伺った話とリンクするポイントが多々ある作品だなと。KOBAMETALさんは「FOX_FEST」開催の意図について「BABYMETALが次のシーンをどう作って、若い世代の方や同世代の人たちとどう盛り上げていけるかが、この第二期BABYMETALのテーマなのかな、と感じるようになって。そのスタートとして、『FOX_FEST』でチャレンジしてみようということになりました」と語ってらっしゃいましたが、そのテーマを一枚の作品にまとめたのが本作なんじゃないかと思います。
SU-METAL そうですね。BABYMETALが若い世代に聴いてもらえるようになっただけじゃなく、そもそもメタル自体のジャンルレス化が進んでいる気がしていて。私たち自身も「メタルの世界で認められたい!」っていう思いで突き進んできたけれど、気付いたらその後ろに道が出来ていた。BABYMETALが新しいメタルとして認めてもらって今があるし、せっかくメタルがジャンルレスになっているからには、これまでのメタルを引き継ぎながらもっと面白い音楽を見つけていきたいという思いがあります。今回はたくさんのアーティストにフィーチャリングで参加していただきましたけど、そのほとんどが私たちと同年代、もしくはそれより後にデビューした、これからのメタルを担っていく方々なので。『METAL FORTH』という名の通り、これからのメタルを私たちが作っていくんだという意思表示のアルバムになったと感じています。
ー濃密な全10曲になっていますが、みなさんがそれぞれ特に好きなポイントは?
MOMOMETAL 私は「KxAxWxAxIxI」。溢れ出るヒップホッパー感というか……ヒップホップの気だるさがあるかと思いきや、コンピューターっぽさもあって、またもや「なんじゃこりゃ系」ですよね。「BxMxC」に似たテイストがありつつも新しいタイプの曲だなと思います。振り付けも所々しか決められてなくてフリーパートが多いですし、歌詞自体もフリーにレコーディングしたんですよ。唇を鳴らしたり、ただ「フーフー!」って言ったり。自分でも何が使われるのかわからない状態で録った細かい素材で一曲が出来上がったので、面白かったです。
ー確かに、あのラフさは今までなかったですね。
MOAMETAL 過去一ラフな曲ですね。よく一つの曲にまとまったなって。
MOMOMETAL 踊っても体力が奪われなくて、疲れないです(笑)。
ーSU-METALさんはいかがですか?
SU-METAL 一番好きな楽曲で言うと、「Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)」ですかね。スローター・トゥ・プリヴェイルっていうゴリゴリなバンドとBABYMETALが組んだ時に、こんなに変な曲が出来るんだっていう面白さ。これがBABYMETALの一番の魅力だと思うんですよね。アレックス(・テリブル)がデスボで「イチ、ニ、サン!」って一生懸命歌ってる(笑)。それができるのがBABYMETALだなと思うし、これだけカオスな曲が揃ってる中で、一番ベビメタっぽいのが「Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)」だと思います。
ーMOAMETALさんは?
MOAMETAL ポイントというよりはアルバム全体を通して、BABYMETALというものがよくわかる作品になったなと思います。コラボした相手が作ってくれている楽曲も多いですけれど、きっと「BABYMETALっていうのはこういうものだ」っていうのをわかってないと私たちらしい楽曲って作れないじゃないですか。でもみなさん、私たちの15年の活動を理解してくれてるから、BABYMETALの良さを出そうとしてくれてるのがすごく伝わってくる。「外側から見たBABYMETALってこうなんだ」というのを知ることもできたし。今のBABYMETALが詰まっていて、初めて聴く人も昔から応援してくれてる人も楽しんでもらえる一枚になりました。
ー「from me to u (feat. Poppy)」で元ブリング・ミー・ザ・ホライズンのジョーダン・フィッシュと再び制作をともにしているのも熱いトピックです。ジョーダンとの直接的なやりとりはあったんでしょうか?
SU-METAL ジョーダンから「ここはこう歌ってほしい」っていうガイドを受けながらレコーディングしました。母音を抜くと英語っぽさが増して、アンドロイド感が出るんですよ。それに対して二人(MOAMETALとMOMOMETAL)の可愛いパートがあったりして、「メタル/可愛い」「現在/未来」「Poppy/BABYMETAL」って、様々な対極にあるものが融合した面白い曲になりました。ジョーダンはBABYMETALのことをよくわかってるから、合いの手のニュアンスも上手く足し引きしてくれてます。
ー「メタり!!(feat. Tom Morello)」「RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)」は既発曲ですが改めて触れておきたいです。今やライブでは欠かせない2曲になっていますよね。
MOAMETAL これがなかったら今のライブの盛り上がりはないって言えるくらい、大事な2曲ですね。「メタり!! (feat. Tom Morello)」はレイジっぽさがすごく生きていて、BABYMETALの作品にあのトム・モレロが入ってきたっていうスペシャル感があるんですけど、「RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)」に関しては二組で一緒に作ったっていう感覚が強いなと思ってます。ライブでの盛り上がり方も全然違いますし、それぞれの色があって面白いです。
ー「メタり!! (feat. Tom Morello)」はMOMOMETALさんにとって加入後初の楽曲でしたから、思い入れも深いんじゃないでしょうか?
MOMOMETAL はい。ライブを経てお客さんと一緒に作り上げていった曲でもあるので。(楽曲中盤のオーディエンスにジャンプを促すパートについて)最初は私たちが先導してお客さんを座らせていたんですけれど、今はお客さんがお客さんを誘導してくれるというか。どんどん熱が上がっているなっていう印象があります。
ー振り付けの面白さに加えてトム・モレロがビジョンに登場するというギミックもあって、以前のインタビューでMOAMETALさんが語っていた通り耳でも目でも楽しめる楽曲になっていますよね。
MOAMETAL いつか本当に共演できたらねっていう話もしてるんです。また「FOX_FEST」のようなイベントができたらぜひ出演していただきたいですね。
攻撃的な光ではなく、一瞬の光が照らしてくれるもの
ー「Sunset Kiss (feat. Polyphia)」は、先ほどMOAMETALさんが仰った通り、ポリフィアのメンバーがBABYMETALのことをよく理解した上で参加した曲なんじゃないかと。「FOX_FEST」開催時の対談ではティム・ヘンソンが「今度はポリフィアの曲でBABYMETALにゲスト出演してもらえないか」と投げかけていましたが、あのやりとりをきっかけに生まれたのがこの曲なんでしょうか?
SU-METAL いや、それはまた別の曲で、実はこっちの方が早く始まってたんです。だから、BABYMETALが作った曲にポリフィアが加わったっていう感じなんですよね。デモの段階では縦ノリのグルーヴで、そういう楽曲を歌った経験があまりなかったから私も上手く掴めず、「なんか違うなあ」「何かが足りないなあ」と思ってたんです。そんな時に彼らのギターが届いて。Aメロの、あれはアコギなのかな? あのパートに衝撃を受けました。横ノリのグルーヴがかなり引き出されてたから、それに合わせてメロディラインを全部作り直して。彼らのギターが道を見出してくれました。
ー確かに、BABYMETALに対するリスペクトが伝わってくるギタープレイだなと感じます。
SU-METAL ギターソロもめちゃくちゃカッコいいけど、「ギターソロしてます!」って雰囲気じゃなく、サラッと。
MOAMETAL あの二人だから弾けるソロだよね。立ち姿がイケメンで、音からもそれを感じる(笑)。
MOMOMETAL 影すらもカッコいいって感じだもんね。
SU-METAL ちゃんとバックに徹してくれてるのに、それでも存在感があるっていう不思議。
MOAMETAL トム・モレロさんもそうだけど、ポリフィアの二人も自分だけの音を確立してるのがすごい。BABYMETALとの親和性は「Brand New Day (feat. Tim Henson and Scott LePage)」の時点であったけど、さらに濃密になった気がしますね。
ー「White Flame -白炎-」は「Divine Attack -神撃-」に続くSU-METALさん作詞の楽曲ですね。勇壮な「Divine Attack -神撃-」よりも大きく包み込むようなスケールがあります。〈さんさんと照らせよもっと こぼれてく眩しさを 集めて踊るよ〉といったフレーズからは祝祭感が漂っていますが、どんなことを考えながら書いた歌詞なのでしょうか。
SU-METAL この楽曲は白い太陽がモチーフになっています。デモを聴いた時に、特にギターのサウンドから、もやがかかっているけれど明るい感じがするなと思って。メタルで描かれがちなのは攻撃的な光だけど、そうじゃない光もあるなっていう。一瞬の光が照らしてくれるものを捕まえたいんだけど、それは捕まえられないからこそ美しいものなのかもしれない。そういうことを書きたくて。
ー作詞に関しては自身の成長や進化を感じますか?
SU-METAL どうなんでしょう。詞を書くのは毎回難しいなと思いますけど、実は「White Flame -白炎-」は「Divine Attack -神撃-」よりも前に作っていて、こっちが作詞をするきっかけになった曲なんですよね。長い間眠り続けていて、テーマもメロディラインも何度も変わりながら完成しました。
ーなるほど。表には出ていなくても、歌詞の断片は日頃から書いていたりするんですか?
SU-METAL 元々モヤモヤした時にバーって気持ちを書くタイプの人なので、それが溜まってはいるのかな。でもその思いを楽曲に落とし込むのは全然別物だし、言葉にするのが上手な方ではないと思います。
MOAMETAL 上手よ。
MOMOMETAL めっちゃ上手。
MOAMETAL 本を読んでも、感想ってなかなか言えないじゃないですか。MOMOMETALと私は「面白かった! 最高だから読んで」って感じ。だけどSU-METALはちゃんとそれを説明できる。言語化する能力を日頃から培ってるから、作詞能力があるんだと思います。だって私たちは、この取材のタイミングでアルバムのクレジットを見て、初めてSU-METALが作詞してることを知ったので。そのぐらい馴染んでる。
MOMOMETAL すごいです(拍手)。
ー今作は、フィーチャリングアーティストの歌唱が多いからこそ歌詞も面白いですよね。和洋折衷な歌詞はこれまでもありましたけれど、「Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)」では和露(ロシア)、「Kon! Kon! (feat. Bloodywood)」では和印(インド)と、クロスオーバーした世界観をサウンドだけではなく歌詞でも描いているのが最高でした。「Kon! Kon! (feat. Bloodywood)」の歌詞を翻訳してみると、〈バパン(打楽器)の音が鳴る この法螺貝が鳴り響く この戦いが繰り広げられる 勝利が第一 勝利の色〉……。
MOMOMETAL 私たちも今初めて意味を知りました(笑)。
MOAMETAL 多分、お互い歌ってる内容を理解してない(笑)。
SU-METAL めっちゃ面白いね。ブラッディウッドは真剣な歌詞を歌っていて。
ー「Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)」のアレックスのパートは、〈陽が昇り、光を放つ。炎よ! 太陽が昇る、すべての旗を掲げよ!〉と、詩的な感じです。
MOAMETAL ロシア感あるね。
SU-METAL 「イチ、ニ、サン!」とか歌ってもらって、なんか申し訳ない(笑)。
MOMOMETAL お互いに何を歌ってるのか知らない方が良いのかもしれない(笑)。
ー「MyQueen(feat.Spiritbox)」の歌詞もエモーショナルですし、「Algorism」は違うベクトルですが、サウンドと相まって歌詞が耳に残ります。
SU-METAL 「Algorism」は今回レコーディングで一番苦戦した曲でした。早いリズムの中で、全部小節の頭のリズムを食っていきつつジャストでハメないといけない。血流が流れるようなギターの波をボーカルで止めたくないから、疾走感を出しつつ、アクセントをちゃんと意識しないといけない。「Algorism」では悲しさや悔しさの中にも強さを持っていることを表現したかったんですよ。でも、かなり母音を抜いて歌う「Sunset Kiss (feat. Polyphia)」と並行して録ってたから、わけがわからなくなってしまって。息を吸う音やロングトーンを切る音も細かく入っているので、そこにも注目しながら聴いてほしいし、カラオケでも歌ってみてほしいです。私もライブで歌えるかわからなくて、途中で燃料切れしちゃうかもしれないけど(笑)。
ーSU-METALさんとしてはボーカル面でもチャレンジングなアルバムになったと。
SU-METAL そうですね。それこそ3rdでは、色んな歌い方にチャレンジしつつもどこかで必ずSU-METALに戻ってこようという意識があったんですけど、今回はそのラインを一度飛び出してもいいんじゃないかと思いながら歌いました。かなり学びの多いレコーディングでした。
未来のエンターテインメントに繋いでいきたい
ー昨年は東京公演でブリング・ミー・ザ・ホライズンとBODYSLAMのステージにゲスト出演して、今年はBABYMETALとして正式に出演しますね。グローバルなグループとしての歩みを進める上でも、ベビメタとサマソニは切っても切れない関係にあると思います。
SU-METAL サマーソニックさんには、2012年にフードコートのステージに立ってから毎年のように出演させていただいていて、他のステージを観て「次はここでやってみたい」と思ったりとか、ある意味勉強もさせてもらったし、だんだん会場が大きくなっていく体験をさせてもらって。サマーソニックがないと夏を終えられないというか。
MOAMETAL 出演しない年にも観に行ったもんね。
SU-METAL そうそう。毎年実家に帰るみたいな感覚で。私たちを成長させてくれたフェスでもあるし、気持ちとしても大きな存在になってます。個人的には、去年ヘッドライナーだったブリング・ミー・ザ・ホライズンさんのライブに出演させてもらって、私たちもいつかはフェスのメインステージでヘッドライナーをやりたいなっていう思いが芽生えました。日本人アーティストだと今までBzさんしかやったことのないサマソニのヘッドライナーのショーを、ブリング・ミー・ザ・ホライズンに便乗する形で体験して(笑)、新たな夢ができました。そういう意味で、去年のサマソニは一つの大きなタイミングでした。
MOAMETAL ブリングミーがサマソニのトリを務めたのは、私の夢も叶ったような感覚でした。もっと小さなステージから始まったところを見ていたので、彼らが日本で、世界で認められている様子をあんな特等席で観られて本当に嬉しかったです。だからこそ、やっぱり私もサマソニのメインステージのトリを死ぬまでにやりたいなと思いました。その夢を叶えたら、静かに眠れます(笑)。
SU-METAL やめて(笑)。
ー昨年は「SUMMER SONIC BANGKOK」のBODYSLAMのステージにもF.HEROとともにゲスト出演して、今年はBABYMETALとして初出演します。
MOAMETAL 去年がバンコクでの初開催でしたけど、面白いイベントでした。あと、F.HEROさんのすごさを知って。タイの出演者みんなと友達なんですよ。色んな人を紹介してくれたんだけど、私たちは人見知りなので「あっ……はじめまして」みたいな(笑)。今年こそは人見知りをやめて自分たちから話しかけられるように頑張ります。
ー5月は「BABYMETAL WORLD TOUR 2025 UK & EUROPE」、6~7月は「BABYMETAL NORTH AMERICA 2025 TOUR」を回ります。UK・O2アリーナでのワンマンは日本人初ですし、北米もサマーシーズン真っ只中の開催ということで、ツアーの規模・内容ともに今やトップを走るグローバルアーティストと言えるわけですが、2025年の今、日本から世界に向けて何を伝えていきたいですか?
SU-METAL 私たちがやってることって本当にずっと変わってなくて、新しいメタル、面白いメタルを作りたいっていう一心でチャレンジし続けてきました。その結果、メタルとポップの架け橋、日本と世界の架け橋のようなものになれてきてるし、これからは時代の架け橋にもなれたらいいなと思ってるんですけど。その中で、何を伝えたいかというと……音楽の可能性みたいなものなのかもしれないです。日本人だって世界に行けるし、日本語だって世界に通用するし、女の子だってメタルができる。やっぱり、ライブって年齢も性別も生まれ育った環境も関係ないじゃないですか。みんなが熱狂して、そこにすべてを吐き出して。あの瞬間って、メタルみたいな激しい音楽だからこそ生まれるものでもあると思うし。その面白さはこれからも大事にしていきたいですし、若い世代や日本人の方も含めて、BABYMETALの存在が何かに挑戦したいと思ってる人たちの希望になればいいなと思います。
ーMOMOMETALさんは3人の中で最もグループを客観視できる立場でもあると思いますが、いかがですか?
MOMOMETAL 私もBABYMETALに加入してからメタルの世界を知ったので、まだわからないこともたくさんあるんですけど……。メタルの中の色んなジャンルや、メタル×色んな国の音楽、たとえば民族楽器との組み合わせとかを、世界に発信していきたいですし、新しい世代の希望になれるような存在でありたいです。加入以来いろんなステージを経て、それこそ若いファンの存在にも触れたことで、より一層未来のエンターテインメントに繋いでいきたいという思いが強くなりました。
ー素晴らしいですね。
SU-METAL 素晴らしいです!
ーでは、最後にMOAMETALさん。
MOAMETAL 私は何か大きいことを成し遂げたいとは正直考えてなくて、とにかくみんながハッピーならそれが一番だなと思ってます。今回のアルバム制作も、制作陣が楽しくて私たちが幸せならそれでいいと思ったし。楽曲を聴いて「何この変な音楽!」と思って元気になってくれる人がいたらそれだけでいい。だから胸を張って伝えたいことは特になくて、みんなで同じ音楽をやって、一緒に肩を組んでいられれば。今の時代、ライブってスマホを手放して心から何かを楽しむことができる唯一の場所だと思っているので。

Styling by Shohei Kashima (W INC.)
Hair and Make-up by aya watanabe

BABYMETAL
『METAL FORTH』
ユニバーサル ミュージック
発売中
【日本盤形態・価格・収録内容】
◾️METAL FORTH 【通常盤】UICC-10058
価格:3,000円+税
仕様:ジュエルケース
◾️METAL FORTH 【デラックス・エディション】UICC-90016
価格:4,000円+税
仕様:7インチ紙ジャケット / ジャケット・ステッカー3枚&フォトカード6枚封入 / ポスターブックレット(歌詞掲載)
試聴・購入はこちら:https://umj.lnk.to/BABYMETAL_METALFORTH
=収録曲=
1. from me to u (feat. Poppy)
2. RATATATA (BABYMETAL x Electric Callboy)
3. Song 3 (BABYMETAL x Slaughter to Prevail)
4. Kon! Kon! (feat. Bloodywood)
5. KxAxWxAxIxI
6. Sunset Kiss (feat. Polyphia)
7. My Queen (feat. Spiritbox)
8. Algorism
9. メタり!! (feat. Tom Morello)
10. White Flame -白炎-
<ライブ情報>
SUMMER SONIC 2025
東京出演:8月16日 (土) 幕張メッセ
大阪出演:8月17日 (日) 万博記念公園
SUMMER SONIC BANGKOK 2025
8月24日(日) タイ/IMPACT CHALLENGER HALL 1-3
聖飢魔II vs BABYMETAL
~悪魔が来たりてベビメタる~
8月30日(土)、31日(日) Kアリーナ横浜
BABYMETAL WORLD TOUR
2025-2026 IN ASIA
9月26日 (金) 韓国・釜山/
Busan International Rock Festival
9月30日 (火) 香港/AsiaWorld-Arena
10月2日 (木) 台湾・台北/ZEPP NEW TAIPEI
10月4日 (土) シンガポール/
F1 SINGAPORE GRAND PRIX
10月6日 (月) マレーシア・クアラルンプール/
Zepp Kuala Lumpur
10月8日 (水) フィリピン・マニラ/
Araneta Coliseum
BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026
SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN
LEGEND – METAL FORTH
2026年1月10日(土)OPEN 16:00/START 17:30
2026年1月11日(日)OPEN 14:00/START 15:30
会場:さいたまスーパーアリーナ
「BABYMETAL WORLD TOUR 2025-2026 SPECIAL ARENA SHOW IN JAPAN LEGEND – METAL FORTH」特設サイト https://babymetal.com/legend-metalforth
BABYMETAL Official Website http://www.babymetal.com