【画像】TEAM SHACHI、関東ラストワンマン(全34枚)
チームしゃちほことしてデビューしてから今年の12月で13年8カ月となる活動に終止符を打つことを発表した彼女たちの関東ラストワンマンとなる公演。全席種ソールドアウトとなった会場内は、メモリアルな一夜を前に大きな期待と少しの寂しさが混じりあう独特の空気に包まれていた。

そんな中、開演15分前にオープニングアクトとして登場したのが所属事務所の先輩グループである、ももいろクローバーZだった。完全なるサプライズに会場内がどよめく中、「Z伝説 ~ファンファーレは止まらない~」、そしてチームしゃちほこ「雨天決行」カバーを立て続けに披露。多忙なスケジュールを縫って駆けつけたももクロの全力のパフォーマンスにオーディエンスも全力で応え、フロアの空気は一気にヒートアップ。短時間ながらも十分すぎるほどに会場を温めたももクロは、TEAM SHACHIへの大きな愛を置き土産にステージを後にした。
オープニングアクトの余韻が醒めぬままフロアの灯りが消え、ステージ上の巨大ビジョンには映像が流れる。TEAM SHACHIのメンバーそれぞれが「東京は闘う場所だった」「このライブを伝説にしたい」「TEAM SHACHIの集大成を見せる」……と心境を語っていき、そして画面に「伝説を見届けろ」という言葉が堂々と映し出されると、レースを多用したエレガントな衣装に身を包んだ秋本帆華、咲良菜緒、大黒柚姫、坂本遥奈が、凛々しい表情でステージに立った。バンド民、ブラス民をバックに従えた4人は、TEAM SHACHIへの改名時に作られた「DREAMER」を力強く歌い上げると、間髪入れずに必殺の爆上げチューン「抱きしめてアンセム」を投下。チームしゃちほこ時代からライブの名場面を生み続けた正真正銘の”アンセム”を2曲目にもってくる構成からは、この先もこんなもんじゃない盛り上がりが待っているぞという、ライブ強者としての揺るぎない自信が感じ取れるようだ。

コール&レスポンスを挟んだ3曲目に、決して平坦ではなかったグループの苦楽を共に乗り越えてきた1曲「START」を歌い上げ、”僕らの物語は終わらない”とタフ民(ファン)と心を一つにしたTEAM SHACHI。ファンファーレのようなイントロから始まる「かなた」を皮切りに、楽屋弁当への異常な愛を綴った「あなたのトリコ~究極の愛~」、メンバーの幼少期のポートレートが次々と映し出された「カントリーガール」と、ポップな楽曲でキュートな魅力を振り撒いていく。
幕間に入り、ステージ上のビジョンには再び4人のインタビュー映像が流れ始める。「今はめちゃくちゃ寂しいし、もうちょっと時間が欲しいというのが正直なところ」(大黒)、「実感は少しずつ湧いてきているけど、シャチでなくなった時の自分はまだ想像がつかない。だから今まで通り楽しく、後悔がないように過ごしています」(咲良)と率直な想いを吐露しながら、「苦手なことや辛いことも、メンバーやスタッフ、ファンの方がいるからそう感じないことが多かった。苦手なところも得意になれるように、みんなで歩んでこれた」(大黒)と、13年の活動の中での変化や成長を訥々と語っていく……と思いきや、「遠くから見ても私とわかるように大きなライブはずっとポニーテールでやると決めて。シャチのライブって勢いよく頭を振るので、男性のみなさんが想像したことない強さで結ぶんです。そうしたらヘアメイクさんに『頭皮強いね』って言われるようになって、あ、私って頭皮強くなったんだって思いました」(秋本)と、思いがけぬ角度からのエピソードも飛びしてきたりと、やっぱシャチメン最高だなと呟いてしまう場面も。そして「結果だけを見られるんじゃなく、これまでの過程をしっかりと見て、メンバーがどう思うかまでをタフ民が考えてくれているのがすごく嬉しかった。そんなファンのみんながいたからこそ、メンバーもこれだけ長く仲良くいられたし、ここまで続けられたのかなって思います」(坂本)、「アイドルってどう進むのが正解か私たちもわからないから、探り探りでやってきた。だけど、シャチに出会って自分の人生が変わったとか、ライブですごいパワーをもらえるって言ってもらえた時に、『これは間違ってなかったんだな』と思って。そういう言葉がすごく支えになりました。涙を流すより声を出せ!みたいな感じで、最後までシャチらしくやりたいです」(秋本)と、これまで応援してくれたことへの感謝を述べると、会場じゅうが拍手の渦に包まれた。
鳴り止まない拍手の中、衣装チェンジした4人が再びステージに姿を現し、「プロフェッショナル思春期」を歌い始める。エレガントとアグレッシヴ、そしてキュートでクールでワチャワチャ。それらがごちゃ混ぜになったような、まさにシャチの魅力を詰め込んだこの曲からチームしゃちほこ時代の楽曲パートへと突入。「エンジョイ人生」では、4人のメンバーカラーだけでなく、ピンクとイエローも加わった6つの特大バルーンがフロアに投げ入れらた。6色のバルーンがオーディエンスの頭上で跳ねる中、ステージ上では間奏中にメンバー個々の好きなところを告白し合うというラブリーな演出が展開。そして「首都移転計画」「いいくらし」と初期を彩ったダンスチューンでエモーショナルな盛り上がりをみせ、さらに2014年発表のメジャー4thシングル「シャンプーハット」をクールに歌い、メンバー4人のいつまでも変わらない魅力/年齢を重ねて開花した魅力を多面的に表現していた。
ライブも中盤に差し掛かり、再びMCへ。ここで咲良が「だれかのために何かをしたり、生きることっていうのは、自分のためになってる。それって私たちTEAM SHACHIとタフ民の関係性においても言えることなのかなって思います。そういった日々の積み重ねで、今日のこの立川でのライブも迎えられたんだろうなって。愛を込めて歌わせていただきます」と語り、2024年発表のフルアルバム『笑う門には服着る』のラストを飾ったギターポップ「だれかのために生きる今日を」を、メンバー4人があふれる感謝とともに丁寧に歌い上げた。
会場が暗転し、愛に満ちた和やかな空気が一変。

ブラス民とバンド民による熱の入ったインスト・セッションをはさんで、いよいよライブも終盤へ突入。マーチングのようなブラスとリズムが印象的なイントロから、ヘヴィロックとEDMサウンドが融合したような重厚なサウンドの「HORIZON」でカッコいいシャチを見せつけると、続く「Rocket Queen feat. MCU」ではラップ民ことKICK THE CAN CREWのMCUが駆けつけた。ジャケットの下に”手羽先キミドリ”のTシャツを着込んだ(しかし箱推しを主張する)MCUは、さすがベテランといえよう巧妙なラップでフロアを釘付けにしてステージを後にした。”人生全てを捧げる覚悟”とアイドルロードの完遂を宣言する「FANTASTIC MIRAI」でさらにギアを上げると、TEAM SHACHI改名時に作られて秋本帆華が作詞に参加した思い出深い曲でもある「ROSE FIGHTERS」を披露。曲の途中で、ステージの天井から大量すぎる紙吹雪がまるで雪崩のようにメンバーの頭上に降り注ぎ、歌ってる途中で思わず笑ってしまうという場面も。床を転げ回りながら、紙吹雪をメンバー同士で掛けあってワチャワチャしているのが、これぞシャチ!といった感じで、いつまでもこの光景が続いてほしいと思ったのは筆者だけではないだろう。色とりどりの紙吹雪がステージを埋め尽くす中で続いて歌ったのが「colors」だった。チームしゃちほこ時代の武道館公演をはじめ大事な場面で大切に歌い続けてきた、シャチメンにとっても、そして長く応援してきたファンにとっても思い入れの深い1曲だ。
会場全体が余韻に浸っている中、秋本が「次が最後の曲です。シャチはこの夏、この曲とともに駆け抜けてきました。最後にドッカンドッカンと大きな花火を上げてください!」と語ると、7月にリリースされた新曲「翔け抜けてスターマイン」を歌い始める。チームしゃちほこ結成時から数多くの楽曲を提供してきた浅野尚志が作詞・作曲・編曲を手がけたこの曲には、これまで彼女たちが歌ってきた名曲たちのタイトルやフレーズがふんだんに散りばめられている。その一つ一つにまつわる思い出や感動が、聴き手の心の中でさまざまな色と光を放ちながら、打ち上げ花火のようにキラキラと弾けていく。それでいて楽曲自体は明るく元気で楽しい、いつものシャチそのもの。踊りながら、笑いながら、そしてなぜか涙もこぼれてきてしまう入魂の1曲で、関東ラストワンマンの本編は終了した。
熱い熱いシャチコールが長く続いて、グッズのTシャツをリメイクした衣装に着替えたTEAM SHACHIがステージに戻ってきた。大黒が「まだまだ私たちと沸きたいってことー!? 次の曲で残った体力を全部消費できるー!? あと3分で声帯も全部潰せるー!?」と煽りに煽って「沸き曲」へ突入。激しいダンスでメンバーもタフ民もヘトヘトになりながら、途中のクイズコーナーも楽しみつつ、路上デビューから4016日目のライブはいよいよ終わりに近づいていく。そして最後の曲を前に、メンバー一人一人から感想が語られた。

坂本遥奈「本当に楽しい時間はあっという間ですね。関東のラストワンマンライブっていうことで、このライブが終わってからの自分のテンションや雰囲気って、その時にしかわからないから。自分的にもどうなるんだろうっていうのが、自分としては楽しみでもありました。でも、ステージに上がる前に映像が流れてる後ろで待っている時からドキドキしてたけど、始まってみれば楽しさがあって笑顔があって、ライブ中も爆笑があったりして。メンバーと一緒に、そしてスタッフ民やタフ民と作り上げるこの空間。これこそがシャチの楽しさだなって。寂しい気持ちももちろんあるけど、なんか無敵モードになれちゃうっていうか。そんなグループに入れたことが幸せだなって、本当に思いました。
結成当初は中学生で、家族や地元のみんなから送り出してもらって、毎週の様に新幹線に乗って東京まで来て。関東にはたくさんお世話になったし、嬉しい思いも、苦しい思いも、悔しい思いも、この場所で自分自身も成長させてもらった。大好きなみんなと、この大切な場所で、こんな最高の気持ちになれるライブができて、私はすごく幸せでした。今日来てくれたみなさん、本当にありがとうございました」

咲良菜緒「みなさん、今日は立川ステージガーデンにお越しいただきまして、本当にありがとうございます。
あとはメンバーみんなやタフ民はもちろん、スタッフ民に家族、友達、そして今日のステージを支えてくれた先輩のももクロちゃんも、バンド民、ブラス民、ラップ民のゆーしくん(MCU)、本当にいろんな方々が愛を持ってシャチを守ってきてくれたからこそ、私たちは安心していろんな活動してこれたし、こうやって本当に愛にあふれた空間ができているんだなと思って。感謝の気持ちでいっぱいです。私たち、本当にこんなに愛されてるんですよ!って自信をもって言えるグループです。
今日がシャチの見納めという方もきっといると思いますが、こんなグループいたなとか、めちゃめちゃ最後までアホアホしてたなとか、ちょっとでも記憶に残ってたら嬉しいです。でも、私たちのアイドルロードはまだ3カ月ありますので、ぜひぜひ最後まで楽しみましょう!」

大黒柚姫「今日来てくださったみなさん、配信を見てくださってるみなさん。みんなが私たちを愛してくれているように、私たちもみんなのことを負けないぐらいに愛してます。今日は関東ラストワンマンライブなんでけど、実際にはまだ12月まであるじゃないですか。だからラストワンマンっていうのをいい意味で取っ払って、シャチのがむしゃら感とか、バカやってる姿とか、みんなが好きでいてくれるTEAM SHACHIを最大限に見せたいなと思って、今日のライブに挑みました。もちろんね、曲のところどころでこういう思い出もあったなとか、それぞれの思いがあるから、ちょっと涙があふれてきちゃう瞬間とかもあったと思うけど、でもおかしいじゃん? 関東ラストワンマンに、この紙吹雪の量とか意味わかんないじゃん?(笑)。だから今まで通り私たちが好きなシャチ、みんなが好きなシャチで今日を迎えられたことが本当に幸せだなって思います。
あと3カ月あります。そしてラストライブが、真冬の野外っていうね。もう、本当にもうそれだけでも伝説が作れそうだし、私たちもまだまだいろんなイベントだったりとか控えてるから、1個ずつ伝説を作っていきたいです。そして、みんなが走馬灯を見る時、90パーセントぐらいシャチの思い出で埋まった走馬灯を見てくれたらすごく嬉しい(笑)。シャチのことを最近好きになったよって方とかもいらっしゃると思うんだけど、長さとかそういうのも関係ないぐらい、今までで1番濃い時間を過ごしたいなと思っています。そして一緒にお揃いの走馬灯を作りましょう! ……って、そんな先のこと言われてもだよね。みんなには長生きしてほしいから。とにかく、素敵な思い出を一緒にたくさん作れたら嬉しいなと思います。今日は本当にありがとうございました!」

秋本帆華「今この場に立って伝えたい気持ちというのは、ありがとうっていう感謝しかないです。本当にありがとうございます。アイドル始めてからずっとやりたいことをやらせてもらえて、挑戦したいことも悔いなく挑戦させてもらえたこの環境に、とても感謝していて。私たちはやりたい放題やって、めちゃくちゃなことをやっても、すべて受け止めてくれたタフ民には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ずっと支えてくれてありがとう。
デビューから13年半以上経つけど、振り返ってみると短かったってことはなくて、ちゃんと長かったです。うまくいかなかったことや悔しいなって思うこともあったけれど、この人生において、本当に心から頑張りたいって思えたのも、心から悔しいとか負けたくないって思えたのも、このシャチが初めてでした。そんな気持ちを、ここにいるメンバーとスタッフさんと、タフ民と、このチームでここまで駆け抜けてくることができて、本当に……(言葉に詰まる)、本当に幸せ者でしたーーー!
この先の3カ月で私たちはもっともっと伝説を更新していきたいですし、私たちはこれからもパフォーマンスだったり言葉でしっかりと感謝の気持ちや、今の思いを伝えていきたいなって思います。だから、ぜひこの言葉や思いが届く距離にいてもらえると嬉しいです。今日は本当にありがとうございました」
秋本は深く一礼をしたまま客席に見えないように涙をさっと拭うと、満面の笑みで顔を上げ、最後の曲について語り始めた。「2月末に解散を発表してから今日まで、本当いろんな言葉をいただきました。中には、寂しいよって言葉もいただいて。そんな時に、私たちもどんな顔をしていいんだろうって分からない時があったんです。だけど、今から歌うTEAM SHACHIにとって最後の曲は、とってもシャチらしい曲になっていますし、私たち自身も、きっとみんなもシャチには最後こうあってほしいなって思ってくれるんじゃないのかな。私たちTEAM SHACHIとみんなとの、これからの曲です」(秋本)。そして、今日のライブ最後の曲となる「晴れ晴れ」を、文字通り晴れやかな表情で歌い上げて、2時間半に及ぶ関東ラストワンマンライブは幕を下ろした。

TEAM SHACHIにとっての最後のオリジナル曲となる「晴れ晴れ」を含む、EP「DERA Journey!!!!」は、9月22日(月)より配信を開始。また、最後のMVとなる「晴れ晴れ」のオフィシャルMVもYouTubeで公開中だ。そしてTEAM SHACHIはこの後も数々のイベント出演を行いながら、12月13日(土)に愛知・名古屋城 二の丸広場にて開催する、ラストワンマンライブ「TEAM SHACHI 最終SHOW ~晴れ晴れ~」まで、孤高のアイドルロードを駆け抜けてゆく。
現在、本公演の模様が2025年9月30日(火)18:00まで17LIVEでアーカイブ配信されている。
文/宮内 健
17LIVE特設サイト https://jp.17.live/news/campaign/45212/