いよいよ今週末に来日公演を開催するオアシス。再結成ツアーこけら落としのカーディフ公演(7月4日)、バンドの地元マンチェスターでの初日公演(7月11日)を見届けたライター・本人による、10月21日・韓国公演の現地レポートをお届けする。


2025年7月からUK&アイルランド、そして北米にてファンに感動を分かち合って来たオアシス。そして迎えるフェーズ3のアジア&オセアニアツアーを前に、バンドのオリジナルメンバーである盟友ポール・”ボーンヘッド”・アーサーズが癌治療による一時離脱がアナウンスされた。再始動の要に違いない彼の健康を祈る一方、2025年版オアシスのサウンドとして象徴的なトリオギター編成の行方はと、私は10月21日の韓国・高陽スタジアム公演に足を運んだ。

ライブ当日の朝に日本を出て韓国へ。仁川空港からスタジアム付近へ向かうバス内には、さっそくアディダスのオアシスコラボウェアを身につけるファンの姿がちらほら(私ももちろんそう)いるのが心強い。さらに会場最寄りの停留所で降りれば、視界に入る歩行者のオアシス関連アパレル着用率は一気に半分以上に増える。ド平日、しかも開演時間まで5時間以上もあるのに……と驚かされながら会場を目指した。

オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅


オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅

開演前の高陽スタジアム(筆者撮影)

高陽スタジアムは、手前の横断歩道からでも圧倒的な存在感を抱かせる巨大な垂れ幕を掲げて観客を迎えた。そして、そこに集まった参加者はおそらくボリュームゾーンが20代。イギリスではリアルタイム世代、つまりは我々中年層が、みずからの思い出や業を焚き上げるべく会場へ向かったりパブに滞留したりする景色が象徴的だったが、韓国は若さや女性比率の高さもあってにぎわいの質が違っていた。

オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅

[左]韓国の若いオアシスファン
[右]アルゼンチンからやってきたリアム風の男性(共に筆者撮影)※ご本人の許諾を得て掲載

赤ら顔のオッサンが合唱しながら周りを巻き込んで歌声の輪を広げ……という光景こそないが、韓国には牧歌的かつ熱量の高いファンコミュニケーションが花を咲かせている。XやWebコミュニティ上で「声かけてくれた人にはこれを!」と予告してお手製のステッカーなどOasisグッズを持ち寄ってみたり、リアムのMC「seoul vibes in the area」のフラッグや早くも今ツアーの映像演出「THIS IS NOT A DRILL」を自前でプリントしたタオルを掲げてみたり。
また敷地内にボーンヘッドらのパネルを置き、独自の撮影スポットまで設けられ、しかもそのブースが公式のフォトパネル同様に列を成す様子は韓国ファンダム文化の賜物だなと感心した。

オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅

「seoul vibes in the area」フラッグ(筆者撮影)

オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅

ボーンヘッドのパネル。その手前はリアムギャラガーが動物保護団体から引き取った愛犬・BUTTONS(筆者撮影)

17時前後、開演前からバイブスの高さをたぎらせる我々の耳に、スタジアム内から嬉しいサプライズが届いた。スタジアムに隣接する体育館の物販ブースに向かうべく並んでいると、突如として聞こえてきたのは「Acquiesce」の演奏。ノエルの声のみだが〈Because We Need Each Other〉と歌う声が響けば物販待機列は大いにざわつき、そのままスタジアム内からトータル5曲以上、終盤にはリアムの声も聞こえて万全の状態であることを想像させた。

コンディションという意味では、副次的ながら今回の最大トピック「ボーンヘッド不在で大丈夫か問題」もここで無事解決。日本を発つ前にはすでに英タブロイド紙が「臨時ギタリストはリアムのソロ活動にも帯同したマイク・ムーア」とすっぱ抜いており、漏れ聞こえたいくつかのギターソロパートにて雄大で鮮やかなギターサウンドが健在だと身に沁みたのだった。

親愛なるノエルギャラガーへ。マイペースな弟がリハに来なくてもNEED EACH OTHERしてくれてありがとな pic.twitter.com/mzTO6Ky3mM— 本人 (@biftech) October 21, 2025
いよいよ開演、そこにボーンヘッドの姿が

日が沈んで気温10℃を下回り、場外露店でカイロや毛布が売られる様子を横目にスタジアムに入場。47000人収容のオープンエアスタジアム、その奥にはあのボックスロゴを冠した3スクリーンのステージが鎮座している。ビールの喉越しも痛いくらいの寒さだが身を震わすほどの会場BGMと期待で高揚感は変わらない。そしてストーンズ「この世界に愛を」が流れるなか会場前方の観客から大きな声が上がり、その視線の先には入場するメンバーとフロアを指差して煽るリアムの姿が。
ほどなくして今ツアー恒例の演出から「Fuckin' in the Bushes」でいよいよ興奮の2時間がスタートした。

ステージの布陣は報道の通り、マイク・ムーアがリアムとノエルの間に立つ恰好…ではあるが、等身大ボードとしてツアーを見守るペップ監督と同様、療養中のボーンヘッドもパネルとしてメンバー達を見守る参加方式となった。遠くから見ると一列に並ぶ星の数の多さったらないし、スクリーンにノエルやマイクが映る際にあたかも本物のようにボーンヘッドが映り込むのはなかなか落ち着かないものだが、ファンコミュニティが企画したプレパーティでは彼の快気を願う寄せ書きも行われていたほどだし、韓国のファンにとっては大いに嬉しいものだろう。

オアシス来日直前、熱狂の韓国公演レポ ボーンヘッドも「見守った」若きファンと新体制の邂逅

[左]マイク・ムーアの後ろに映り込むボーンヘッドのパネル
[右]ノエル・ギャラガーの後ろに映り込むボーンヘッドのパネル(共に筆者撮影)

韓国のオーディエンスはオープニングナンバーと段階的に熱を帯びていき、その歓声はマンチェスターの咆哮とは趣が異なるフレッシュさがある。日本と同じく2009年ぶりとなる凱旋だが、おそらくオアシスとしては初見である人が多いのだろう。「Some Might Say」のイントロに、「Supersonic」のリフに驚きのような歓声が上がる。開始からしばらくは着座していたスタンド席の観客は、恒例のポズナンで一度立ち上がってからはもう喜びを抑えてなんかいられないという調子で、あまりに観客が背を向けたままで楽しみ続けるあまり、言い出しっぺのリアムが前向きに戻るよう促したほどだった。「Oasis Live '25」に通底する祝祭空間のバイブスに加え会場を支配する若いエネルギーはこちらのテンションも大いにブーストされる。

最初ほとんど座ってたけどリアムギャラガーから「ポズナンしよっさ」と誘われそのまま気持ちよくなって一体感がどこまでも続いてしまい「ちょっもう戻れよ」と後でつっこまれる韓国oasisファン、ずっと好きです #oasislive25 pic.twitter.com/57urKsshSb— 本人 (@biftech) October 21, 2025
バンド側はトリプルギターによるウォールオブサウンドがやはり健在で、細かなところではノエル&ボーンヘッドでリレー的にリードを弾き合っていた部分をノエル&ゲムが肩代わりするなどの調整があったようにも見えた。「チームOasis」の一体感もフェーズ3を迎えてまたひとつ上がった印象で、アイコンタクトなどステージ上のやり取りが増え、映像演出も1にギャラガーズ2にVJだったスクリーンには1曲目からアンディ&ゲム、そしてボーンヘッド所有から引き継いだと思しきギターの数々を鳴らすマイクの姿もしっかり両脇のスクリーンにフィーチャーされる。ノエルのメンバー紹介時にマイクが呼ばれ、その際ボーンヘッド(概念)にも体を向ける様子など、バンドとしてのオアシスをあらゆる意味で堪能した。

客席の若いエネルギーが生み出した祝祭空間

仕上がった演者と期待感を隠さないオーディエンスの周波数が合わさり、ノエルコーナーでは「오아시스(オアシス)」コールが自然発生。
それを眺めるノエルオッパも満足そうに「よう」と応える。そして始まった「Talk Tonight」はイントロの段階から客席が無数のスマホライトが輝き、ライブのハイライトを描く。ふと会場を見渡すと、いつの間にかスタンディングフロアではまとまったり離れたり各々が楽しむピースフルな空間が生まれ、おそらく見知らぬ者同士でも手を繋いで円になって踊るシーンがそこかしこに現れていた。 オアシスを聴き始めて30年、ここまで「Half The World Away」にふさわしい情景を私は見たことがない。

오아시스コールです。オーアーシス!て言うのな! #oasislive25 pic.twitter.com/09DZstLioP— 本人 (@biftech) October 21, 2025【朗報】韓国oasis強火勢リルバイリルでサークルヘドバン解禁 pic.twitter.com/YQfnwPZMKm— 本人 (@biftech) October 21, 2025
フレッシュな興奮の時間はいつまでも続き、リアムもタンバリンやマラカスを頭に乗せてじっくりと見据えたり胸に拳を当てて敬意を表したりしている。「Stand By Me」のサビに合わせて咆哮してノエルとの合唱をオーディエンスに委ねつつ、彼自身の喉も北米公演では少しダメージを受けているように感じたのが今回までの数日のインターバルによって最後まで途切れぬ快活さを取り戻していた。

何度目かの大きな「오아시스」コールでアンコールを迎え、「Dont Look Back in Anger」では感動のみならずラストのサビ部分をいたずらに何度も何度も繰り返し歌わせる茶目っけも。そして夢見心地のような「Champagne Supernova」と、東京ではおそらく見られないだろう打ち上げ花火(3分ぐらい続いたのではないだろうか)の共演を眺めながら、陶酔のあまり「ああーこの日のライブを作品化してネブワースに相当する金字塔にしてくれー!」と口から出そうになる好演は終了した。

きっと韓国の幸運なファンはこの日を語り草にするだろう。そして、このクオリティからさらにアンサンブルを馴染ませた楽団が東京ドームでパフォーマンスを繰り広げようものなら、その時間はもう初体験層も追憶世代も、スタンスも超えて全員がこれまで味わったことのない感動を得るに違いない。最高の週末が、いよいよ始まる。


臨時ギタリスト編成でも全然大丈夫感のあるシャンペンスーパーノヴァのソロそして東京ドームでは拝めない花火大会の模様です!!!!!!#oasislive25 pic.twitter.com/HIaUEI2i4H— 本人 (@biftech) October 21, 2025この投稿をInstagramで見るOasis(@oasis)がシェアした投稿
■本人(ホンニン)
都内在住の40代男性。サラリーマン業と育児に日常をすりつぶされながら、時折ライブやフェスに足を運んでその様子を記録するインターネットユーザーとしても活動している。著書に育児エッセイ本「こうしておれは父になる(のか)」(イースト・プレス)。フジロックには初年度に参加して以来、毎年欠かさず足を運んでいる。
https://x.com/biftech

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