―11月6日から、2組によるアジアツアー「small indies table asia tour」が幕を開けます。前回のレーベルツアーは2021年で、あの時は、small indies tableのレーベルの先輩にあたるyonige(現在はレーベルを卒業)を含む3マンでした。あれから4年が経ち、今回、FOMAREとKOTORIの2組でツアーを周ることについて、どのように捉えていますか?
アマダ:FOMAREとKOTORIって、ファミリーじゃないですけど、同じ事務所にいて、お客さんからしてもすごい近い存在に見えていると思っていて。でも、だからこそ、対バンを控えてたって言い方もなんか違うのかもしれないけど、なんかあんまりね、ただ普通に対バンをしても面白くないというか、こういうタイミングまでずっと対バンをとっといた、みたいなのはあると思うんで、すごい楽しみです。
―今回、満を持して2組の対バンツアーが実現することに、深い感慨を抱いているファンの方は多いと思います。
アマダ:それこそ、sit(small indies table)のボスのKTR(鈴木健太郎)が、去年ぐらいから「来年こそsitツアーやろう」ってずっと言ってたんすよ。で、俺らも「やりたいです」みたいな。
横山:思っていたより急でした。そっから急加速だよね。しかも、アジア行こうぜ、みたいな。マジでやるんやって。
アマダ:昔、sitツアーを2回やってて、で、やっぱその時は、yonigeが、先輩、お姉ちゃんとしていて、その後輩としてKOTORIがいてFOMAREがいる、みたいな感じだったんですけど、yonigeがsitを卒業して、今こうやって2バンドだけになった時に、この2バンドがヘッドライナー感のある存在にちゃんとなれてるというか、ちゃんとその立ち位置にいけてることがすごい嬉しい。KOTORIとFOMAREはお客さんの被りはあるけど、最近ちょっと界隈、畑が違くなってきていて。お互いの道を歩んでいく中で、そこが重なる瞬間っていうのが、4年前とぜんぜん違うと思うんで。その化学反応みたいなのは、すごい濃いものがあるんじゃないかなって思います。
―2組とも、海外でライブをするのは今回のツアーが初めてですが、その点についてはどうですか?
アマダ:そうっすね。経験がないんで、楽しみだなって思うんですけど。
横山:でもさ、初めて行く海外で、普通に緊張していくよりかは、仲いいやつと一緒に行けるのがめっちゃ嬉しいです。
アマダ:だし、フェスとは違って、俺らのこと好きな人しか来ないわけです。なので、言語の壁とかあるけど、そこはちょっと安心してる。来日するバンドもいっぱいいて、たまに観に行ったりとかするんですけど、結局バンドが音鳴らしたらこっちもただ楽しいだけなんで。お客さんがそういう気持ちになってくれたらいいなっていうふうに思います。
―ちなみに、今回の初のアジアツアーに挑むにあたって、KTRさんから何かメッセージはありましたか?
横山:いろんな勉強になると思うし、もしかしたらぜんぜん人来ないかもしれないけど、そういうとこすらも含めて、もう一度初心に戻るというか、そういう気持ちでやってほしいって言ってもらいました。
アマダ:いろんな大人がいますけど、やっぱこういうタイミングで、ちゃんと物理的に初心に戻してくれるチームがいてくれてよかったなって思います。それに、そういうツアーをKOTORIと一緒に周れるのが本当に嬉しい。KOTORIと俺らが出会ったのは10年前ぐらいで、埼玉の越谷EASYGOINGSでスカスカの中で一緒にやったんですけど、海外なら、あの頃みたいな経験がまたできるかもしれないし、すごい成長できるきっかけになると思ってます。
―いつものライブとの大きな違いとして、日本語圏ではない、つまり、ストレートに日本語が通じないという点が挙げられると思います。日本語の歌詞の繊細なニュアンスや、パンチラインの重みがそのまま届かない環境の中で歌うことについて、ボーカリストとしてどう捉えていますか?
横山:僕はいつもどおりかな。言語の壁については、コロナ禍の時に深く向き合ったことがあって。
―母音というか、フローで歌っていますよね。
横山:そう、フローじゃないですか。そこに関してはけっこう僕は意識してて、だから、あんま言葉を詰めないようにしてて。そこの部分では大丈夫かなっていうのがあるから、それがどこまで通用するんだろうみたいな、ワクワクしかないです。
―歌のフローもそうですし、それこそメンバーの皆さんのサウンドの熱さや鋭さなども含め、言語の壁を越えて伝わることはきっととても多いと思います。
横山:お互い、曲の中に喜怒哀楽がちゃんとあるので、それはかなり向こうの人たちにも伝わりやすいんじゃないかなと思いますね。
左から、アマダシンスケ、横山優也(Photo by kawado)
―アマダさんはいかがですか?
アマダ:俺は、すごい気を抜いてライブをやってみようかなって。日本の人たちに対しては、言語が伝わるからこそ、歌詞もですけど、ライブのMCを含めていっぱい伝えたいなってやっぱ思うし、自分たちはそれを大切にできてるバンドだと思っています。そこが海外では、0になるって言い方は違うかもしれないですけど、さっきのフローだったり母音だったりで、メロディーがギリ通用する世界線、みたいな感じだと思うんで。だから、逆に気を抜いて、とにかく向こうのライブハウスのお客さんのノリを観に行くというか、こっちもお客さんみたいな感じでライブしに行きたいなって思ってますね。
―それもいい心構えかもしれないですね。異文化交流というか、お互いのカルチャーを知るっていう意味で。
アマダ:また行きたいなって思ってほしいなと思います。
―ここからは、2025年の振り返りと来年以降の抱負について聞いていきたいと思います。はじめに、アマダさんからお願いします。
アマダ:僕らは、今年結成10周年を迎え、11年目が始まったんですよ。10周年の集大成として9月にGメッセでワンマンをやることを目標に走ってきた中で、メンバーが脱退してしまって。だからといって0に戻ったわけではないんですけど、でも、そっからやっぱちょっと進みづらくはなってしまって。ただ、2人体制でなんとかライブをやっている中で、お客さんが僕らに対して、2人になったけどちゃんとバンドとしてやってくれる、って信じてくれて、ライブ来てくれて、そのことにすごい感謝しました。本当に、バンドって当たり前にできないんだなっていうことに10年経って気付けたというか。信じてくれるお客さんがいるので、来年は、もうほんと、そういう人たちの期待を、ちゃんとね、もっと安心感で返してあげれる1年にしたいなっていうふうにものすごく思いますね。
アマダシンスケ(Photo by kawado)
横山:僕も、昨年夏、ここからって時にドラマーが辞めた身なんで、もう痛いほど分かって。
アマダ:もう、1本1本のライブが超大切ですね。前より、ライブ1本に対しての気持ちや感謝は、ほんとに強くなりました。
―横山さんとしては、2025年のFOMAREの躍進、または、成長や変化を、どう見ていましたか?
横山:いや、すげえなと思いましたよ。まず、10周年ツアーもさ、すっごいソールドアウト出てたやん。それに、群馬のGメッセでワンマンやるのも本当にすごいなって思うし。もうそこまでいってんだと思って。そりゃ、武道館いくよなって感じで。本当にすごいなと思います。純粋に嬉しい。俺らもやりたい気持ちはもちろんあるんすけど、それは自分たちのペースでいいと思ってるんで。焦りとかもないし。もっとライバル系のバンドだったら、なんであいつらがって思ったかもしれないんですけど、そこがすごいフラットで、本当にいい意味で、すげえじゃんって言えるっすね。
アマダ:めちゃくちゃ嬉しいっす。僕もKOTORIに対しては、人生で言ったら小学校とか中学校を共にしたバンドみたいな感じだと思うんで。だから何があっても嬉しいし、逆に、ちょっとネガティブなことがあったらめちゃくちゃ心配になるし。そういう関係性でいれるバンドって、たぶんこれから先出てこないと思うんで。今こうやって一緒にいれてるのが嬉しい。KOTORIに対して思うのは、実は意外とめちゃくちゃ器用だと思ってて。器用っていうか、みんながやれないことをできてる、というか。アンダーグラウンドとオーバーグラウンドの境界線にずっといながら、ちゃんとアンダーグラウンドのお客さんをオーバーにもってきてるし、逆に、オーバーグラウンドの、例えば大きなフェスを中心に行くお客さん、普段から音楽をすごい深掘りするわけじゃないお客さんたちを、ちゃんとすっごい小さな地下のライブハウスに連れ込めてる、と思ってて。そういうバンドって、もしかしたら他にもいくつかいるかもしれないんですけど、でも、この規模感でやってるバンドは他に絶対いないと思うんです。
横山:やってるじゃん。
アマダ:いやいや。今の俺らが、KOTORIがやっているようなアンダーグラウンドのシーンにいきなり行ったところで、今のKOTORIみたいなライブはできないし。ちょっと1歩距離を感じてしまう、というか。でも、KOTORIはちゃんと自分のものにしちゃってる。
―KOTORIをきっかけに好きなバンドが増えて、その後、初めてライブハウスに足を運んだファンの方も多いと思います。それこそ、オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを越境するきっかけになっている、というか。
横山:僕が思うのは、もし1個のバンドだけがすごい好きだったら、その人が言ってることだけが正解になってしまって、宗教チックになっちゃう。なので、そうじゃなくて、たくさんのバンドを観てほしくて。僕らが昔からやってる「TORI ROCK FESTIVAL」にアンダーグラウンドなバンドをたくさん呼んだりするのは、単純に、僕が好きなバンドを知ってほしいからで。お客さんも、そのバンドを好きの1個にしてほしい。いっぱい知ってほしいという、ただほんとにそれだけなんです。
―次に、KOTORIの2025年の振り返りをお願いします。
横山:先ほどシンスケが、ドラマーが脱退した話をしていましたけど、KOTORIは、昨年夏にドラマーが脱退してそこから新体制で走り始めて、今年はちょっとずつ慣れてきて、チームも固まってきたんで、相当なことがなければ今までどおり楽しく好きにできる、というタームに入った年だったんですけど。ほんとに、人に助けられてるなっていうのがまず1個と。その前提で、なんかね、今までより、お客さんが愛おしいというか、ライブってこんな楽しいんだなって純粋に思いました。それまでは、評価を下げないために一生懸命やんなきゃいけないなって思ってたんですけど、今はそうじゃなくて、あまり気にせずに好きなことを楽しいままにできるようになったって思っています。それは、絶対的に支えてくれる人が、信頼できる人がいっぱいできたからで。2025年は、そうした信頼関係を再認識した1年でした。
横山優也(Photo by kawado)
―とても重要な気付きを得られたと思いますが、そう気付くことができたきっかけがあれば教えてください。
横山:新しくサポートドラマーを入れてライブをし始めたばかりの時は、正直、誰がドラムを叩いたとしても、「あいつの時のほうがよかった」って言われると思ってたんですよ。自分の中でも、昨年でKOTORIが完成したなって思っていたこともあって、すごい不安を抱えながら新体制でライブをやり続けていて。でも、意外と普通だったというか、そういう声はなくて。ただ自分だけがそう思ってるだけだったのかなって。それで、他の人を信じていいんだって思ったのがきっかけっすかね。
―みんな、新体制のKOTORIをフラットに応援してくれた、と。
横山:KOTORIという生き物を、みんなが生かそうとしてくれてる感じがすごいして。周りの人たちが、餌を与えてくれたり、こいつらをどうにかっていう感じで、なるべく生きやすいようにいろいろ支えてくれてる。今、そういう感覚になってます。
―その気付きは、間違いなく、今後の活動にポジティブな形で繋がっていくと思います。
横山:単純に、自分の自信になります。
―アマダさんは、2025年のKOTORIの躍進、または、進化や変化を、どのように見ていましたか?
アマダ:やっぱ日に日に、KOTORIがやばいっていう声がめっちゃ入ってくるし。KOTORIは、この1年ぐらいで、大きな言い方すると、すごいビッグバンドになってるというか。さっきも話したオーバーとアンダーをちゃんと両方取り込みつつ、今のシーンの中で完全にKOTORIの立ち位置を確立したと思っています。ほんとすごいなと思いました。
―今のお話は、それこそ先ほど横山さんが話してくださった「TORI ROCK」のラインナップのお話にも通じるように思いました。
横山:基本もう「TORI ROCK」はいっぱい出したいんです。僕の夢は、とんでもない数のバンドでフェスをやることで、そのバンドを知らなくても超踊る、盛り上がる、みたいなのが理想っすね。とりあえず「TORI ROCK」行っとけば楽しい、みたいな。KOTORIがやるフェスだから行こうっていう感じで成立したら、一番最高すね。今は、「TORI ROCK」自体、まだぜんぜん名前が知られてないと思ってるんで、「TORI ROCK」に行ったら間違いないって状況をここ数年で作っていきたい。で、あとは、野外でやりたいですね。その理由は1個だけで、花火を上げたい。
―ヘッドライナーのライブが終わった後に上がる花火ですか?
横山:いや、ライブ中ですね。1バンド1発、花火を用意するので、みんなにも好きなとこで。
―新しいですね。
横山:僕、曲作ってる時に、「これ、ラスサビ、花火上がるな」ってイメージして作ってるんで、それを叶えたい(笑)。
―他の人が主催するフェスだと、そんなわがままはできないですもんね。
横山:ですね。でも、やりたいことはもうそんぐらいです。明確な目標を決めちゃうと、僕らはね、燃え尽き症候群でね、何もできなくなっちゃうんで。地道にやっていきたいなと。
Photo by kawado
―FOMAREも、群馬で「FOMARE大陸」というフェスを開催していますが、アマダさんは、今の横山さんのお話を受けていかがですか?
アマダ:いつかはね、「FOMARE大陸」と「TORI ROCK」にお互いが出演する年があったら面白いな。でも、それこそ今回のsitツアーじゃないけど、そんな簡単にやんないほうが面白いと思うんで。
横山:そうね。出しどころがね。
アマダ:それは、いつかやりたいな。あと、そうですね、群馬のでかいイベントが最近増えてきましたけど、そこに群馬のバンドがもっともっと出演する世界線が見えてきたらいいなと思ってます。いつか「FOMARE大陸」を群馬のバンドだけで成立させたいなっていうのがあるんですよ。それは夢ですね。群馬のバンドだけであそこを埋めきったらすごい。そうなると、もっとローカルな色が付くと思うんで。ローカル色って、付けば付くほどかっこいいし、足かせになるものじゃないと思ってるので。もっと田舎臭くしていきたいと思ってます。
<ライブ情報>
アジアツアー「small indies table asia tour 2025」
11月6日(木)大阪・Yogibo META VALLEY ※SOLD OUT
11月14日(金)台湾・SUB Live House
11月29日(土)韓国・Rollinghall(Seoul)
12月8日(月)東京・Zepp Haneda(TOKYO)※SOLD OUT
出演:FOMARE / KOTORI
チケット
【韓国】︎DOMESTIC in KOREAhttps://ticket.melon.com/performance/index.htm?prodId=212057
︎OVERSEA inKOREAhttps://tkglobal.melon.com/performance/index.htm?langCd=EN&prodId=212057【台湾】https://www.indievox.com/activity/detail/25_iv03718d0
small indies table オフィシャルX https://x.com/sit__small
FOMARE オフィシャルサイト https://fomare.com/
KOTORI オフィシャルサイト https://kotori-band.com/


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