11月8日、国立代々木競技場第一体育館。aespaの『2025 aespa LIVE TOUR – SYNK : aeXIS LINE – in JAPAN』は、その美しさと圧倒的なパフォーマンス力で観客を飲み込みながら、ステージ全体で”自分を貫くための意思の強さ”を語っていた。
幕間のショートフィルムでは「型にはまらない」「自分を閉じ込めない」というモチーフが繰り返し提示される。

【ライブ写真】2025 aespa LIVE TOUR – SYNK : aeXIS LINE – in JAPAN

そのメッセージは、後に続く楽曲や4人の身体表現と絶妙に呼応していく。aespaはただ美しいだけではなく、自分の力で立とうとする”強さ”を観客に投げかけていた。

白い幕にツアータイトルが浮かび上がり、光が世界観を形づくる。幕が落ちた瞬間に始まる「Armageddon」の衝撃。赤と黒のレザーを基調とした衣装に、揃ったブラックのロングヘア。人間離れした美しいシルエットが炎の演出とともにステージを支配する。続く「Set The Tone」「Drift」「Dirty Work」では、無機質な表情を崩さずに軽やかに踊り、高い歌唱力で観客を圧倒する。そこには、”美しさ”と”強さ”を両立させるaespaという存在の本質が象徴されていた。

ソロステージでは、まだリリースされていない4人のソロ曲が披露された。カリナの「GOOD STUFF」はヒップホップ要素の強いリズミカルなトラックに、鋭いダンスブレイクが光る一曲。制服にジャージを重ねたスタイルは、”いい子でいること”へのささやかな抵抗を思わせる。
MCでは「制服のスタイリングは公演ごとにアレンジしている」と語り、この日はカチューシャを合わせた優等生風の姿で登場した。

ニンニンの「Ketchup And Lemonade」は、UKガラージの軽やかなビートと透明感のあるボーカルが美しく溶け合う。「私のヒーリングソングで、自分のエモーションによく合う」と語り、ビートスイッチ部分の振り付けを自ら手がけたことも明かした。

ジゼルの「Tornado」は、ピンクのトップスにもこもこブーツというスタイルで登場。優しいダンスホールトラックに乗せた柔らかな表情は、これまでのクールなジゼル像を少し緩め、自然体な魅力を見せた。

ウィンターの「BLUE」は部分的に日本語詞が用いられ、背後のスクリーンにはリリックが映し出される。スタンドマイクを握り、凛とした姿で歌い上げる姿が印象的だった。「バンドサウンドのジャンルが好き。私の伝えたいメッセージが歌詞に込められている」と語るように、4人のソロはいずれも幕間映像と響き合いながら、「美しさの先にある意志」を明確に描き出していた。

その後の「Hot Mess」や「Trick or Trick」で会場の熱気が再び高まり、「Lucid Dream」「Thirsty」「Angel #48」など穏やかな楽曲で一度トーンを落とす。バンドアレンジが加えられた楽曲は、音源との違いも楽しめる仕上がりだった。

ライブ後半は「ZOOM ZOOM」で再び熱が爆発した。
続く映像では、大量の札束を運ぶ4人の姿が映し出され、「I AM A RICH MAN」の文字が現れる。ピラミッド状に積まれた札束の前で、ブラック×ゴールドの衣装を纏った4人が踊る。”豪奢さ”すら皮肉として扱いながら、「自分の価値は他人に測らせない」というメッセージを体現したステージだった。

その流れで「Kill It」「Dark Arts」と重層的な盛り上がりを見せたあと、MCでは”東京でやりたいこと”の話題に。カリナは「つるとんたんに久しぶりに行きました。デビューして初めて日本に来た時、4人で行って器の大きさに驚いた。昨日はそれ以来。懐かしかった」と笑顔で語り、ウィンターは「コンビニのおにぎりが食べたい」、カリナは「ガリガリ君が食べたい」と食トークで会場を和ませた。

そして終盤、「Next Level」「Supernova」「Whiplash」と怒涛の流れ。客席のコールが響き渡り、「Whiplash」では”スーパージゼル・タイム”とも呼べる圧巻の瞬間が訪れる。「Girls / Drama Mashup Ver.」の花火が上がる中、本編は熱狂のまま幕を閉じた。

アンコールではトロッコに乗り、柔らかい表情でファンに手を振る4人。
ステージ上での完璧な強さと、ここで見せる素顔の温かさ。その対比が彼女たちの魅力をより際立たせる。そしてサプライズ発表された2026年のドームツアー決定に、会場の歓声は最高潮に達した。

この日のaespaは、単に美しく、巧みに完成された存在ではなかった。もっと根源的な意味で、「自分を貫くために強くある」という姿勢を観客に示していた。その強さは押しつけではなく、”あなたも自分の線の外側へ出ていい”とそっと背中を押すような優しさを含んでいる。圧倒的な美しさは、時に強さへと変わる。ライブが終わったあと、観客が少し胸を張って歩けるようになる。そんな感情を残した夜だった。

aespaが代々木で放った、“静かなる反逆”の気配

Photo by 田中聖太郎
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