エアロスミスとヤングブラッドのコラボレーションなんて誰が予想しただろうか……この巨大なプロジェクトは今をときめくカリスマ:ヤングブラッドが、自身の新作『Idols』(2025年6月発売)の曲作りをエアロスミスの伝説的ギタリスト:ジョー・ペリーと行ったことから始まっている。
ヤングブラッドは幅広い音楽ジャンルを横断する、自由度の高い楽曲群を武器にするソロアーティスト。2018年にメジャーデビューして以降、2ndアルバム『Weird!』(2020年)から最新作『Idols』までの3作が連続で全英1位を獲得しているほか、メイクやファッションにおいてもジェンダーの壁を破壊。自国の政治をはじめ銃規制や女性に対する暴力、メンタルヘルスなどの社会問題においても積極的に発言しており、こうしたテーマを取り入れた楽曲に共感したリスナーと連帯感を高めるなどして、現在の高い地位を手に入れた。
エアロスミスに関しては、今更説明はいらないだろう。スティーヴン・タイラー(Vo)やジョー・ペリーを中心とした5人組バンドは1973年のデビュー以降、さまざまなヒット作を輩出。一時期はドラッグ問題でメンバーの脱退も経験したが、80年代半ばにオリジナル編成が復活して以降、第二の黄金期に突入。ここ数年はフェアウェルツアーを計画していたが、スティーヴンの声帯損傷を理由に昨年夏にツアー引退を発表した。
話を2024年に戻す。ヤングブラッドとジョーの邂逅は大きな結果こそ生まれなかったものの、別の可能性へ導くこととなる。ヤングブラッドという若き才能との出会いに興奮したジョーは、すぐさまスティーヴンに「あいつはホンモノだ」と連絡を入れ、翌2025年5月の秘密裏による3者のスタジオ入りへと繋がる。
多くの音楽ファンがエアロスミスとヤングブラッドの繋がりを実感した最初のタイミングは、今年7月5日、イギリス・バーミンガムで行われたオジー・オズボーンとブラック・サバスのフェアウェルコンサート「Back to the Beginning」でのこと。ヤングブラッドはサバスのピアノバラード「Changes」でロック史に残る名演を繰り広げ、スティーヴンはシークレットゲストとしてセッションパートに登場。ライブへの復帰が不安視されていたところ、まったく衰えを感じさせないシャウトや歌声を轟かせ、音楽ファンを歓喜させた。
バーミンガムでは2組が同じステージに揃うことこそなかったものの、同年9月7日にニューヨークで開催された「2025 MTV Video Music Awards」にヤングブラッドが出演した際には、スティーヴン&ジョーがステージに飛び入り。オジーのヒット曲「Mama, I'm Coming Home」でのコラボが実現した。世代を超えたカリスマたちのこの共演に、興奮を隠せない者が続出した。
その後、2組のコラボ楽曲「My Only Angel」が公開されたほか新作EP『One More Time』の11月21日発売が解禁。昨年から今年にかけての2組のエピソードが、ついに明かされることとなる。
『One More Time』の化学反応
EPのオープニングを飾るリードトラック「My Only Angel」は、80年代以降のエアロスミスが武器にしてきた「メロウでポップ、ダイナミックながらも整合感の強いロックサウンド」と、ヤングブラッドが最新作『Idols』で見せた「クラシックロックへの敬意と、それを昇華させ異次元へと導く爆発的なサウンドメイク」がバランスよくミックスされ、ボーカルにおいてはスティーヴンとヤングブラッドが交互に歌い強い存在感を放っている。もともと似た声質というのもあるのだろうが、こうして聴くと両者の共演は必然だったと頷けるものがある。
ジョーのギタープレイも実に彼らしい、柔軟で味わい深いものがあり、2人のカリスマフロントマンにも負けない存在感を放っている。なお、この曲でドラムをプレイしているのは元ガンズ・アンド・ローゼズ/元ヴェルヴェット・リヴォルヴァーのマット・ソーラム。
2曲目「Problems」は本プロジェクトから最初に生まれた、パワフルなロックチューン。ある意味では今回のコラボの道標となった、重要な一曲とも言える。適度なサイケデリック感も、この2組ならではといえるものがある。「Wild Woman」はセッション後、FaceTime越しでのやり取りで生まれた、アーシーなミディアムナンバー。効果的に取り入れられたストリングスの味付けも含め、エアロスミス第2期黄金期のヒットチューンと印象が重なる。また、「A Thousand Days」はエアロスミスとヤングブラッドがそれぞれ持ち合わせるスウィートさやセンチメンタルさが強く打ち出されており、前曲「Wild Woman」よりも濃厚かつムーディーなスローバラードに仕上がっている。
EPのラストを飾るのは、エアロスミス1976年のヒットアルバム『Rocks』の冒頭を飾る「Back In The Saddle」の、リミックス&リビルドバージョン。モダンでヘヴィなビートとヤングブラッドの艶やかなシャウトが加わったことで、原曲よりもブライトな輝きを放つほどの進化を確認することができる。
エアロスミスにとっては2012年のアルバム『Music from Another Dimension!』以来、実に13年ぶりの新作となった本作はすでに全米9位という好記録を樹立しており、ロック低迷が囁かれる現代においても彼らが渇望されている事実を証明してみせた。と同時に、このヒットがヤングブラッドのアメリカでのブレイクの足がかりになる可能性も高く、今後の動向が気になるところだ。
今回のコラボが両者にどんな未来をもたらすのか、今は誰にもわからない。
※12月25日発売の『Rolling Stone Japan Vol.33』に、エアロスミス&ヤングブラッドの最新インタビューを掲載。
エアロスミス&ヤングブラッド
『One More Time』
再生・購入:https://umj.lnk.to/OMT_JAPAN
エアロスミス
アルバム20タイトルCD復刻
購入:https://umj.lnk.to/aerosmith_k2025
ライブ・フィルム『エアロスミス ロックス・ドニントン 2014』再々上映
2025年12月5日(金)~1週間上映
109シネマズプレミアム新宿
※坂本龍一氏音響監修の「SAION -SR EDITION-」にて上映
詳細・チケット購入:https://109cinemas.net/premiumshinjuku/


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