ドリーム・シアター(DREAM THEATER)が2026年2月から3月にかけて「AN EVENING WITH DREAM THEATER: 40TH ANNIVERSARY TOUR 2026」日本公演を行う。

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壮大でプログレッシブな世界観と超絶テクニックをフィーチュアしたメタル・サウンドで絶大な支持を得てきた彼ら。
ドラマーのマイク・ポートノイが復帰、最新スタジオ・アルバム『パラソムニア/Parasomnia』とライブBlu-ray/CD『キャランティエム~ライブ・イン・パリ/Quarantieme~Live a Paris』を引っ提げての来日ステージは、キーボード奏者のジョーダン・ルーデスが「歴代で最大のスケール」と語るライブ・スペクタクルであり、2026年において最も期待されるハード・ロック/メタル・イベントのひとつだ。

ジョーダンにドリーム・シアターの現在と日本公演への展望、そして向かっていく未来について訊いた。

ー2023年10月にマイク・ポートノイが復帰してからドリーム・シアターは大規模なツアーを行い、アルバム『パラソムニア』を発表してきました。バンドはどのような状況ですか?

うん、まったく問題ないよ。マイクは大人しくしている、今のところはね(笑)。バンドに自然に溶け込んで、13年間不在だったなんて思えないぐらいだった。かつてドリーム・シアターにおいて占めていた役割を、今でも担っているよ。マイクはただの”バンドのドラマー”ではいられない。いつだってバンドの心臓部にいる存在なんだ。

ーライブ作『キャランティエム~ライブ・イン・パリ』はバンド結成40周年ツアーのオールタイム・ベスト選曲であるのに対し、2025年秋の北米ツアーは『パラソムニア』全曲演奏セット・リストでしたが、2026年2月~3月の日本公演はどうなるでしょうか?

まだ詳細は決めていないし、いくつかサプライズも用意しておくから、楽しみにして欲しいね。40周年ツアーの一環でもあるし、『パラソムニア』からの曲もプレイしたい。だからけっこう長いショーだけど、途中で飽きることがなく、バランスの取れたセット・リストでみんなに楽しんでもらうようにするよ。


ー北米ツアーでは大曲「A Change of Seasons」をプレイしましたが、日本のファンも期待できるでしょうか?

うーん、まだ話し合っていないけど、「やる」と言ってやらなかったら、ガッカリするファンがいるだろう?だから安請け負いはしないでおくよ。私たちはとにかく最高にエキサイティングなパフォーマンスを提供するだけだ。それを楽しんでもらえたら、これ以上嬉しいことはないね。

ーこれまでドリーム・シアターのライブを見たことがないファンに、どのように説明しますか?

バンドの新旧の音楽を最高の演奏、そしてスクリーン映像やライティング、レーザーなどのプロダクションが盛り上げるマルチメディア・エクスペリエンスだ。我々のショーを初めて見るファンも、何度も見たことがあるファン歴の長い人たちにとっても、スペシャルな経験になるだろう。過去最大級のスケールのショーだと断言できる。

ドリーム・シアター、40周年ツアーで来日へ「歴代で最大のスケール」

Photo by Wolfe Eliot

ーあなたがバンドに加入してから25年が経ちましたが、現在でも『イメージズ・アンド・ワーズ/Images & Words』(1992年)など初期作品からのナンバーをライブでプレイしています。そのとき、あなたなりのアレンジを加えていますか?

初期の、私が加入する前の曲でもオリジナルを尊重して、あまりアレンジを変えたりはしないんだ。最近あまりやっていないけど、『ホエン・ドリーム・アンド・デイ・ユナイト/When Dream and Day Unite』(1989年)からの曲をやるときもかなり忠実に再現している。ファンが愛して、ライブで聴きたいであろうヴァージョンに近いプレイを志しているよ。ただもちろん、自分なりのヒネリは入れているし、1990年代の機材をそのまま使っているわけではない。テクノロジーの進歩は目覚ましいからね。
新しいシンセやプラグインを使うことで、より容易に当時のサウンドを再現することができるんだ。

ードリーム・シアターはツアーごとにセット・リストを変えて、フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」のような”お約束”の曲はありませんが、しばらくやっていない、あるいはやったことがない曲で、ライブ演奏したい曲はありますか?

ハハハ、そのあたりはマイク・ポートノイが得意なんだ。「あの曲はずっとやっていないな。今度のツアーでやろうよ!」と提案してくるのは大抵彼だよ。私個人としては『シックス・ディグリーズ・オブ・インナー・タービュランス/Six Degrees Of Inner Turbulence』(2002年)から幾つかプレイしたい曲がある。「Blind Faith」とか、いつか復活させたいね。

ドリーム・シアター、40周年ツアーで来日へ「歴代で最大のスケール」

ジョーダン・ルーデス

グラミー賞ノミネートとマイク・ポートノイ復帰について

ー『キャランティエム~ライブ・イン・パリ』の1曲目は「Metropolis, Part 1」で、あなたがバンドに加入して最初にプレイしたアルバムは『メトロポリス・パート2:シーンズ・フロム・ア・メモリー/Metropolis Pt. 2: Scenes from a Memory)』(1999年)ですが、”メトロポリス”シリーズはバンドにとって大きな意味を持つテーマでしょうか?今後『メトロポリス・パート3』の可能性はあるでしょうか?

うん、必ずしもタイトルに冠していなくても、”メトロポリス”のモチーフ、リフ、アイディア、そして精神性はドリーム・シアターの音楽の核に存在してきたし、重要なテーマのひとつだよ。それはファンにとっても同様で、『メトロポリス・パート3』について訊かれることがよくあるんだ。「いつ作るんですか?」ってね。もう25年経つのにまだ続編を待ってくれるなんて、本当に感謝している。ただ現時点では『パート3』の予定はないんだ。特に理由はなく、誰も言い出していないからだよ。
もしジョン・ペトルーシかマイク・ポートノイが次のバンド・ミーティングで提案してきたら、全員でその可能性を探ってみるだろう。でも今はその段階ではないし、日本を含む極東ツアーのことで頭がいっぱいなんだ。

ー「Night Terror」のグラミー賞「ベスト・メタル・パフォーマンス」部門ノミネート、受賞を祈っています。2022年にも「The Alien」で受賞歴がありますが、あなたにとってグラミー賞はどのような意味を持つものですか?

長年グラミー賞のことはまったく頭になかったんだ。ドリーム・シアターは「そういう」バンドではないと思っていたからね。音楽ビジネスから無視されていると考えていたし、初めてノミネートされたときは驚いたよ(2012年の「On the Backs of Angels」)。正直、嬉しかったよ。自分たちの存在が認識されて、高く評価されているのは誰だって悪い気分はしないだろう。それにノミネートされたことで、より多くの音楽リスナーに触れることができた。「The Alien」で受賞したとき、自分のこれからの人生にインパクトを与えることだと思った。これから一生、自分のバイオグラフィーに”ジョーダン・ルーデス:グラミー受賞者”と記されるようになったんだ。とても名誉に感じたよ。


ー「The Alien」でグラミー賞を獲得したとき、マイク・ポートノイはバンドに不在でした。一方、マイクもワイナリー・ドッグスやサンズ・オブ・アポロなどで成功を収めており、ドリーム・シアターに復帰せずとも生活に困ることはなかったと思われます。なぜ彼が戻ってくる必然性があったのですか?

すごく自然な流れだったんだ。マイク・ポートノイの後任として加入したマイク・マンジーニは世界最高のドラマーの1人で、バンドをさらなる進歩と成功へと導いてくれた。その一方でポートノイはジョン・ペトルーシ、ジョン・マイアングと一緒にドリーム・シアターを結成したメンバーで、音楽の方向性や個性の確立にも関わってきた。彼は映画監督のような役割を担うこともあったし、何よりも友達だったんだ。だから彼は脱退後もサイド・プロジェクトなどで共演してきたしその結果、また一緒にやることになった。マンジーニは凄いドラマーで、不満がある筈がなかったけど、ポートノイはドリーム・シアターに欠くことのできない一部だったんだ。

ドリーム・シアター、40周年ツアーで来日へ「歴代で最大のスケール」

マイク・ポートノイ(Photo by Wolfe Eliot)

ー『パラソムニア』を作るにあたって、まずジョン・ペトルーシが”parasomnia 睡眠時随伴症”という言葉から得るイメージをメンバー全員で持ち寄ったそうですが、アルバムであなたが持ってきた曲やフレーズを挙げることはできますか?

いや、具体的なフレーズやパターンではなく、あくまでイメージで、それを全員で仕上げていったんだ。だから”どの曲”ではなくアルバム全曲に関わっているよ。それは私だけではなく、バンド全員について言えることだ。曲の原型はジョン・ペトルーシと私で書くことが多いけど、5人の共同作業なんだ。


ーマイク・ポートノイがバンドに復帰してまだ2年しか経っていないのに『パラソムニア』と『キャランティエム~ライブ・イン・パリ』を発表して40周年ツアーで世界を回るなど精力的に活動していますが、そんなハイペースだと次のスタジオ・アルバムにも近いうちに着手できるのでは?

なかなかそういうわけにはいかないよ(苦笑)。極東ツアーの後、5月まで南米をサーキットするから、それから少しオフを取って、新曲について考えるのはその後の話だ。

AIを使ったミュージック・コンセプトの開発に関わっている

ードリーム・シアター以外のバンド/プロジェクトでの活動は予定していますか?

うん、私について言えば、まずニュージャージーの”ハンガーソン”チャリティ・イベントでディキシー・ドレッグスのライブをやるんだ(2025年12月14日)。スティーヴ・モースと一緒にやるのは久しぶりだし、楽しみにしているよ。それから2026年6月にはドイツのライプツィヒで開催されるイベント「バッハフェスト」で「バッハ・リイマジンド」と題してピアノとシンセのソロ・パフォーマンスをする。ドリーム・シアターのツアーが終わったらすぐだし、編曲や練習などに早めに手を付けねばならないんだ。ジョン・ペインやダービー・トッドを迎えたソロ・アルバム『パーミッション・トゥ・フライ/Permission To Fly』(2024年)の続編も作りたいと考えている。

ー相変わらずお忙しいですね。

それと去年からMIT(マサチューセッツ工科大学)メディア・ラボの客員アーティスト・プログラムで、jam_botというAIを使ったミュージック・コンセプトの開発に関わっているんだ。私の演奏にAIがインタラクティブに反応して、共演することが可能になる試みだよ。Ph.D.(博士号)を持った研究者たちと作業するのは自分にとっても学ぶことが多いね。その反動もあって、ソロ・ピアノ・アルバムも作りたい。
テクノロジーが進歩するほど、生のピアノ・パフォーマンスに深みと魅力を感じるんだ。

ーそうなると、我々がドリーム・シアターの次のアルバムを聴くことができるのはかなり先でしょうか?

そんなに急かさないでくれよ(笑)。ツアーの後、それぞれの活動もあるし、新しいアルバムの曲を書き始めるのは2026年の秋あたりかな?それまで日本公演を楽しんで、『パラソムニア』と『キャランティエム~ライブ・イン・パリ』をじっくり聴き込んで欲しいね。

ー2025年北米ツアーは3部構成で、第2部のイントロとしてロッシーニの「泥棒かささぎ/La gazza ladra」が使われていましたが、メンバーにオペラのファンがいるのでしょうか?それとも映画『時計じかけのオレンジ』で使われていたのがきっかけでしょうか?あるいは初期マリリオンのライブで使われていたから?

「泥棒かささぎ」を使ったのはマイク・ポートノイのアイディアだよ。彼は『時計じかけのオレンジ』の大ファンなんだ。日本公演で使うかまだ決めていないけど、ドリーム・シアターのショーにはちょっとしたディテールへのこだわりがあるんだ。きっと新しい発見があるし、それをライブ会場まで見つけに来て欲しい。

ドリーム・シアター、40周年ツアーで来日へ「歴代で最大のスケール」

Photo by Wolfe Eliot

AN EVENING WITH DREAM THEATER
40TH ANNIVERSARY TOUR 2026

2月25日(水)日本武道館
■OPEN 18:00 / START 19:00
■TICKETS:GOLD指定席¥37,000・一般指定席¥17,500 (各税込/全席指定)
クリエイティブマン 03-3499-6669

2月28日(土)アイプラザ豊橋
■OPEN 17:00 / START 18:00
■TICKETS:GOLD指定席¥37,000・一般指定席¥17,500 (各税込/全席指定)
キョードー東海:052-972-7466

3月2日(月)フェスティバルホール
■OPEN 18:00 / START 19:00
■TICKETS:GOLD指定席¥37,000・一般指定席¥17,500 (各税込/全席指定)
キョードーインフォメーション 0570-200-888

3月3日(火)岡山芸術創造劇場 ハレノワ大劇場
■OPEN 18:00 / START 19:00
■TICKETS:GOLD指定席¥37,000・一般指定席¥17,500・着席指定席¥17,500(各税込/全席指定)
※着席指定席は会場の構造上、常時着席でのご観覧となります。
YUMEBANCHI(岡山):086-231-3531

企画・制作:クリエイティブマンプロダクション 
協力:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

※公演の延期、中止以外での払い戻しはいたしません。※未就学児(6歳未満)のご入場はお断りいたします。

公演サイト:https://www.creativeman.co.jp/artist/2026/02dreamtheater/

ドリーム・シアター、40周年ツアーで来日へ「歴代で最大のスケール」

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