代表曲「Say So」の世界累計ストリーミング再生回数が14億回を超え、常にSNSを沸かせ、自分のスタイルを貫くポップ・ラップ・クイーン=ドージャ・キャット(Doja Cat)が12/15(月)にKアリーナ横浜にて行った。6年ぶりとなる来日公演の模様を辰巳JUNKがレポート。


「深夜ドライブ向きの80年代サウンド」に例えられたドージャ・キャットの5thアルバム『Vie』だが、ライブ版は完全に別次元。大音量のボーカル、強烈なラップ、鬼気迫る寸劇まで、フルスピードで爆進するグラム・ロック・ショウのようだった。

贅沢なサックスが鳴り響き、フルバンド演奏のもと登場したドージャ・キャットは、スターらしくその佇まいだけですべての目線を奪った。赤を基調にした色鮮やかなグラム・パンク風のボリュームヘアとメイク、少しアニメ風味なオレンジ色の片目。「Ma Vie World Tour」では公演ごとにさまざまな衣装を披露していっているが、コラボレイターのSZAをふくめた海外SNSファンのあいだでも「日本公演がベストルック!」と評判だった。

早々に人気曲「Kiss Me More」に移って驚かされたのは、曲から曲へと途切れることなく展開していくシームレスな構成。かつての特別な夜番組のように、すべてファンキーな世界観で統一されたひとつのショーになっていた。MCも少なめ……というか、観衆に向けて「ダンス!」とチャントして盛りあげていくなど、ファンとのかけ合いすらもショーの一部になっていた。

ドージャ・キャット来日公演「芸術としてのポップコンサート」を知らしめた一夜


ドージャ・キャット来日公演「芸術としてのポップコンサート」を知らしめた一夜

Photo by Kazumichi Kokei

会場もあたたまってきたところでバラードタイム。R&B名曲「Agora Hills」で一気にファンを浸らせた。ポップラッパーとして歌唱に自信がなかったと明かしていたドージャが、そこから猛特訓を積んで挑んだのが今回のツアー。秋のMTV VMAsではアリアナ・グランデやレディー・ガガも拍手喝采させる高音を披露してみせたが、今回の「All Mine」のファルセットはあれ以上だったかもしれない。


ダークラップ「Paint The Town Red」では、80年代風の格好をしたバックボーカルの人々も全身で踊り、アリーナ全体がダンスパーティーの狂乱へ。第一幕のしめくくりは、なんと「Need To Know」での重厚なギターソロ。ポップやラップファンのみならず、ロックリスナーまで大満足させたことだろう。

第二幕では、さらにボルテージが上昇。ダンサー育ちの本領発揮とばかりに、ヒールで180度開脚し、四つん這いで床を這いながら歌ってその場を圧倒してみせた。「Demons」では悪霊に取り憑かれたような表情でマイクスタンドを舐めあげ、最後は寝転がってマイクケーブルでがんじがらめに。ドージャにとってはケーブルすら芸術の道具なのだ! つづく「AAAHH MEN!」に入ると突如爆笑しはじめ、そのままラップにつなげた。『Vie』のミューズたるキャバレーパンクの女王、ニーナ・ハーゲンへのトリビュートを感じさせつつ、唯一無二のドージャ・ワールド宣言のようなパフォーマンスだった。

日本でもバズった高速ラップ「Boss Bitch」で会場を揺らしたあとは『Vie』のテーマ「愛」を体現するフィナーレへ。待望の代表曲「Say So」から新曲「Stranger」まで、ロマンチックな冒険心がきらめいた。最後には、通常のアンコール形式は行わず。看板シングル「Jealous Type」で踊ったあともステージに残り、バンドメンバーとリプライズ演奏しながらファンに薔薇を投げ与え、お辞儀しておわかれへ。
伝説的なテレビ番組のエンディングのごとき余韻ふくめて、ドージャ・ワールドを一貫させたと言えよう。「芸術としてのポップコンサート」とは何なのか、知らしめた一夜だった。

ドージャ・キャット来日公演「芸術としてのポップコンサート」を知らしめた一夜

ドージャ・キャット来日公演セトリプレイリスト
https://bio.to/DojaCatMaVieTourSetlistWL

ドージャ・キャット来日公演「芸術としてのポップコンサート」を知らしめた一夜

Doja Cat |ドージャ・キャット
『Vie | ヴィー』
再生・購入:https://bio.to/DojaCatVieRS
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