small indies tableに所属するレーベルメイトとして互いに切磋琢磨し合いながら、自分たちが信じる道をそれぞれ邁進し続けているFOMAREとKOTORI。2組は、11月から12月にかけて、韓国、台湾を含む計4都市を巡るアジアツアー「small indies table asia tour 2025」に挑戦した。
前回のレーベルツアーは2021年で、その時は、small indies tableのレーベルの先輩にあたるyonige(現在はレーベルを卒業)を含む3マンでの開催だった。あれから4年が経ち、FOMAREとKOTORIは、2組の力だけでアジアツアーを成立させられるほど大きく成長した。そして彼らは、12月8日、ツアーファイナルの舞台、Zepp Hanedaに辿り着いた。驚くべきことに、この日、シークレットゲストとしてyonigeが出演を果たした。FOMAREのメンバーもKOTORIのメンバーも、当日までyonigeが出演することを知らなかったそう。この記事では、3組の物語が再び重なった奇跡的な一夜の模様をレポートしていく。

【画像】「small indies table asia tour 2025」の様子(全40枚)

先攻は、FOMAREか、KOTORIか。熱い期待が会場全体に満ちる中、スクリーンに、small indies tableのボスであるKTR(鈴木健太郎)が、とあるバンドの楽屋に突撃する映像が中継で映し出される。その楽屋にいたのは、なんと、最初のsmall indies table所属バンドであるyonigeだった。どよめきが収まらない中、「リボルバー」から彼女たちのステージが幕を開ける。スクリーンに映し出されるsmall indies tableのロゴ。彼女たちが、再びこのロゴを背負ってステージに立つ日が来るとは。


FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

yonige(Photo by 小杉歩)

牛丸ありさ(Vo・G)が、「元small indies table所属、yonigeです、よろしく!」と告げると、並々ならぬ歓声が沸き起こり、続けて「アボカド」へ。勘のいい人はこのあたりで気付いたかもしれないが、この日彼女たちは、small indies tableに在籍していた時期の楽曲を束ねたセットリストを組んでこのステージに臨んだ。「女の子の日」の途中、牛丸が「めっちゃ歌詞忘れた」と溢すシーンもあったが、それはつまり、同曲を披露するのが相当久々だったということの表れだ。ごっきん(B・Cho)は、「なんで出てんねんって思ってますよね」と観客に問いかけたが、すかさずフロアから「思ってないよ」という温かい声が飛び交う。「うちら、あの2組の"自認お姉ちゃん"なので」という言葉にも、熱い拍手が送られた。そして牛丸が「small indies tableに入ってから抜けるまでの走馬灯のようなセトリを組んできたので、最後までよろしくお願いします」と告げ、「our time city」「センチメンタルシスター」「沙希」を立て続けて披露。あまりにもエモーショナルな展開だ。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

牛丸ありさ(Photo by 小杉歩)

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

ごっきん(Photo by 小杉歩)

ここで牛丸が、一言ずつ噛み締めるように胸の内の想いを語り始めた。バンドを始めて右も左も分からなかった時に最初に所属した事務所がsmall indies tableで、その中でしか育ってこなかったからこそ、自分たちの現在地が分からなくなってしまい、事務所を抜ける決断をした。ただ、独立して、自分たちだけで活動してみたことで、KTRの愛情が身に染みて分かった。そう振り返った牛丸は、「KTR、本当にありがとうございます」「みんなも、small indies table好きですよね。small indies table、最高ですよね。
私も最高だと心から思ってます」「最後に2曲、KTRに捧げます」と告げ、まず「さよならプリズナー」を披露し、「yonigeがsmall indies tableに所属するきっかけになった曲をやって終わります」と前置きして、「さよならバイバイ」でフィニッシュ。最後に牛丸は、「small indies table、最高!」と叫び、ステージを去っていった。

転換の時間の後、まず、FOMAREとKOTORIのコラボ曲「Youth」が轟く中、今回のアジアツアーのダイジェスト映像がスクリーンに映し出される。続けて、KOTORIが「Grey」のカバーを、FOMAREが「Masterpiece」のカバーをする映像が流れ、驚きと歓喜の声がフロアから巻き起こる(それぞれのバンド名が、相手のバンドロゴのフォントで表示される、というこだわりにも胸が熱くなった)。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

FOMARE(Photo by 小杉歩)

いよいよ、FOMAREのステージへ。9月から使用している新しいSEが爆音で響く中、アマダシンスケ(Vo・B)が「ファイナル! 始めてもいいですか!」「たりねえよ!」と呼びかけ、1曲目の「君の涙が乾く頃」へと繋ぐ。歌い出しから巻き起こる大合唱。突き上がる無数の拳。次々と続出するダイバー。アマダは、「どうだ、どうだ、どうだ、Zepp!」「ライブキッズ、手上げろ。任せたぞ!」と託すように呼びかけ、続けて「Grey」へ。そして、先ほどyonigeが走馬灯みたいなセトリを用意してきたことについて触れた上で、「俺たち、走馬灯みたいなフロアにしたいんですけど、どうですか!」と容赦なく煽り、「Frozen」へ。
アウトロでは、カマタリョウガ(G・Cho)が中央の台に繰り出し、両脇から大量のスモークが吹き出る中、渾身のギターソロを炸裂させてみせる。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

FOMARE(Photo by 小杉歩)

ここでアマダは、久々に家族が集合したかのような楽屋の雰囲気を振り返りつつ、「3バンドいる中でZepp Haneda一番やってるのFOMAREなんですよ。アットホームに一番できるのFOMAREなんですよ!」と負けん気を示し、大量の火花が湧き出る中「風」を、猛々しくレーザーが飛び交う中「Continue」を、そして「宝物」を立て続けて披露。そして、以前、KOTORIの「トーキョーナイトダイブ」をカバーしたことを振り返った上で、「FOMAREの大事な新曲として成長させていきたいと思いますんで」と前置きし、ここでKOTORIの「Masterpiece」のカバーを披露。間奏では、カマタが、まるで「Frozen」のイントロのフレーズをマッシュアップしたような重厚なギターを奏で、並々ならぬ歓声が上がった。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

FOMARE(Photo by 小杉歩)

「タバコ」に次ぐMCパートでは、アマダは、今回のツアーを通して、信じられる人たちと一緒にバンドができていることを改めて誇りに思うことができたと語った上で、「ずっとずっと初期衝動を忘れないでやってくんで」と力強く宣誓。ラストは、「新しい歌」、そして、「愛する人」で幕締め。観客が肩を組んで大合唱することで生まれた熱烈な一体感と高揚感が会場を満たす中、バトンはKOTORIへと託された。

「SKY」から幕を開けたKOTORIのステージ。鮮やかなレーザーによって彩られた会場に、盛大なハンズクラップ、壮大なシンガロングが巻き起こる。1曲目にもかかわらず、まるでクライマックスのような感動的な光景だ。続いて、つい先ほどFOMAREが大合唱を巻き起こした光景が記憶に新しい「Masterpiece」を、そして、横山優也(Vo・G)が「FOMAREに愛を込めて」と告げた上で「Grey」のカバーを披露。
こちらも、つい先ほどもフロアを熱狂させていたナンバーだが、大地を力強く踏みしめながら勇壮に一歩ずつ進んでいくような響きは、まさにKOTORIならではのもの。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

KOTORI(Photo by 小杉歩)

この日だからこその熱い展開はさらに加速していく。横山の「この最高なツアーのファイナル、涙なしでは無理でしょ」という言葉から「涙があふれそう」を、「smallと俺たちの出会いの曲を」という前置きから「19歳」を披露。そして、「踊れる人、どんくらいいますか」「遊ぼう」という呼びかけの後に披露された「unity」では、特大シンガロングが巻き起こる。ここで横山は、今回のツアーについて「修学旅行みたいだった」と振り返りつつ、この日出演してくれたyonigeに感謝を告げる。その語り口から、非常に感極まっていることが伝わってくる。そして、「やるしかないんで、最後までよろしくお願いします!」と改めて覚悟を深め、「RED」「Dive into your Dreams」「素晴らしい世界」を立て続けて披露していく。とめどなく続出するダイバー。際限なく高まり続けるシンガロング。ライブハウスだからこその美しい光景を前に、横山は、「もうマジでヤバすぎ」「俺の夢を叶えてくれてありがとうございます」と告げた。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

KOTORI(Photo by 小杉歩)

そしてここで、small indies tableについて「人間味溢れる事務所」と語りつつ、「本当に、small indies tableに、鈴木さんに、会ってくれた全ての人に感謝してます」「まだまだ夢を見ていこう」と告げ、ラスト2曲「We Are The Future」「YELLOW」へ。壮絶な轟音が鳴り渡り続ける中、最後に全員で一撃をかました瞬間、スクリーンにKOTORIのバンドロゴが大々的に映し出される。
あまりにも鮮烈な幕締めだった。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

KOTORI(Photo by 小杉歩)

アンコールでは、まず、FOMAREの「風」のカバーを披露。そして、ドラムセットとギターアンプがステージに運び込まれる中、FOMAREがステージに呼び込まれる。この時点で、誰もが確信したはず。そう、今回の公演、および、ツアーを締め括る最後の曲は、双方のサポートドラマーを含めた計7人で披露したコラボ曲「Youth」だった。大量の火花、レーザー、スモーク。そして、観客の壮絶な大合唱。2組の、そして、small indies tableの〈未来〉は間違いなく明るいことを確信させてくれる、圧巻の大団円だった。

FOMARE×KOTORI×yonige―small indies tableが結んだ、奇跡のツアーファイナル

Photo by 小杉歩

セットリスト

yonige
1. リボルバー
2. アボカド
3. 女の子の日
4. our time city
5. センチメンタルシスター
6. 沙希
7. さよならプリズナー
8. さよならバイバイ

FOMARE
1. 君の涙が乾く頃
2. Grey
3. Frozen
4. 風
5. Continue
6. 宝物
7. Masterpiece(KOTORI カバー)
8. タバコ
9. 新しい歌
10. 愛する人

KOTORI
1. SKY
2. Masterpiece
3. Grey (FOMARE カバー)
4. 涙があふれそう
5. 19歳
6. unity
7. RED
8. Dive into your Dreams
9. 素晴らしい世界
10. We Are The Future
11. YELLOW
EN1. 風(FOMARE カバー)
EN2. Youth(with FOMARE)
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