「ちゃくら全国侵略大作戦 -第三幕-」完全決着。10月から約2カ月をかけて全国8都市を巡ってきたちゃくらが、最後に辿り着いたツアーファイナルの舞台は、Zepp Shinjuku。
猪突猛進ガールズロックバンドが、ついに初のZeppワンマンを実現。その事実を思うだけでも胸がいっぱいになるが、実際のライブは、さらに何倍もエモーショナルだった。この記事では、12月10日に行われたツアーファイナル公演の模様をレポートしていく。

【画像】ちゃくら、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演(全8枚)

「GIRLS BAND NEVER DIE」という言葉が鮮烈に響く新しいSEが流れる中、サクラ(Vo・G)、まお(G)、ワキタルル(B・Cho)、葉弥(Dr・Key)がステージイン。4人で手を繋いで横一列に並んでお辞儀をすると、フロアから盛大な拍手が送られ、そして「もういいよ、おやすみ」からライブがスタート。ワキタの「ガールズロックバンド・ちゃくら、始めます!」「一緒に始めよう」という呼びかけに応えるように、観客は、拳を高く突き上げながら彼女たちのライブパフォーマンスを熱く彩り、サクラの「Zepp、歌おう!」という呼びかけを受けて大合唱を重ねてゆく。そうしたライブハウスだからこその美しい光景を前にしたサクラが「始まったね、もっといこう!」と叫び、続けて「君の一番になれない私より」へ。続けて、「ねぇ、ちゃんとついてきてる? Zepp!」と問いかけ、「ウソノハナシ」へ。観客の熱量に刺激されるようにして、4人のバンドサウンドも熱く激ってゆく。まるで激流の如く流れだす轟音から「ユスリカ」へと繋いでみせた展開も圧巻だった。

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

サクラ(Photo by エドソウタ)

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

ワキタルル(Photo by エドソウタ)

最初のMCパートでは、サクラが「Zepp Shinjuku!」と改めて叫び(その後、「たぶんこの後5回くらい叫ぶ」と呟いていた)、ワキタが「ここまで連れてきてくれて本当にありがとう」と感謝を告げる。まおは、ここまでの8公演を振り返りつつ、「考えながら、悩みながら、自分の正解を見つけられた、すごい濃いツアーだった」と振り返り、葉弥は、たくさんの人が集まったフロアを前に「拳をくれて、私たちに力をくれて、本当にありがとうございます」と感謝を伝える。
まだまだライブは始まったばかりだが、4人とも既に感極まっていることがありありと伝わってくる。そして、ファンクのテイスト&歌謡的なメロディを新たに打ち出した最新曲「嫌気」からライブが再開。続いて、サクラが「ベースヒーロー、ワキタ!」と叫ぶと、ワキタが下手の台に上がり渾身のベースプレイを炸裂させ、その勢いのまま「一、人」へ。他の曲もしかりだが、4人が鳴らすサウンドは、緩急と柔剛を兼ね備えながら頼もしく響いていて、Zepp Shinkukuに至るまでの8公演を通してバンドとしてさらに進化を果たしていることが伝わってくる。

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

まお(Photo by エドソウタ)

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

葉弥(Photo by エドソウタ)

「アイビー」の後、しばしの沈黙を経て、サクラが清廉なファルセットを交えつつ「劇場と負けヒロイン」の一節を歌い、「まるで負けヒロインだった劇場もここで終幕」と告げ、「終幕」へ。あまりにもドラマチックな一幕だった。そして、深く深く海の底へ潜ってゆくような深淵な展開を経て、サクラが「君と私たちが出会えた歌」と告げ、「海月」へ。間奏におけるワキタのグルーヴィーなソロ、まおの淡い煌めきを放つソロからラストサビへ突入。その勢いは、そのまま「未春」へと引き継がれ、サクラの「Zepp Shinjuku! 全員、拳貸して!」という呼びかけを受け、観客が天高く拳を突き上げて応える。「どうか」における特大コールと鮮やかなクラップも最高に熱かった。

ここでサクラが、バンドを代表して、目の前の一人ひとりの観客に向けた想いを語り始める。「うまく笑えなくてもいいよ。
誰かのこと、自分のこと、許せなくてもいいよ。私がそうだから。ちゃくらがそうだから」「君の痛み、悔しさ、全部忘れなかったからここにいる」「忘れないで、生きてくれてありがとう」「君を見つけられてよかった」。そして、「今私生きている様だ」へ。サクラが、「今"私たち"生きている様だ!」と、ライブを通して"君"と互いに確かめ合った生の実感を高らかに叫び上げたシーンには特に胸を打たれた。展開を重ねるたびにさらに極まってゆく4人のバンドサウンド、エモーショナルな昂りを増してゆくサクラの歌。サクラの「手を離さないでね」という言葉を添えて届けられた「いびつな愛ですが」も、あまりにも感動的な響きだ。次に、ワキタが語り始める。「私さ、すごく根暗だからさ、こんなに愛をもらってもいつまで続くか、ちゃくらの音楽の寿命あとどれぐらいだろうか、考えてしまう」「でもさ、私はずっとバンドがしたい。サクラと、まおと、葉弥と、君と、ちゃくらがしたいです」「初めて3人のこと、君のこと、ちゃくらのことを書いた新曲を持ってきました」「私の覚悟の歌、ちゃくらの覚悟の歌」。そしてここで、未リリースの新曲「ガールズバンドは死なない」が放たれる。激烈なロックバイブスが滾る全身全霊のバンドサウンド、勇壮な響きを放つサクラの歌を通して共有される、〈ガールズバンドは死なない〉という揺るぎなく輝かしい確信。
圧巻だった。間違いなく、今後、ちゃくらの新しい代表曲の一つになっていくと思う。

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

Photo by エドソウタ

間髪入れず、「生きる価値ないし」「万人様」へ。そして、ワキタが「最後に一言だけ、出会ってくれてありがとう」と感謝を告げ、本編ラストの曲「まるで駄目な女子高生はバンドマンになった」へ。最後の歌詞〈言葉が君と生きる〉を歌い上げたサクラが、もう一度深く噛み締めるように「君と生きる」と告げた一幕が忘れられない。「君と泣いて、君と生きていくガールズバンド、ちゃくらでした」というサクラの言葉をもって本編が幕を閉じ、「ちゃくら緊急会見」の映像からアンコールへ突入。この映像の中で、バンド結成4周年となる2026年6月にユニバーサルシグマからメジャーデビューすることを発表。いつまでも鳴り止まない歓声と拍手。そんな温かなフロアの光景を見たワキタは、「やりたい曲できちゃったかも」と呟き、急遽4人でドラムの前に集まり緊急会議。そして、ワキタが「この曲をやらなきゃ終わらない」と告げ、当初予定になかった「19才」を、さらに、この日2度目となる「いびつな愛ですが」を披露。一人ひとりの"君"とともにつくりあげた、熱く温かな大団円だった。「ちゃくら全国侵略大作戦 ー第三幕ー」を完遂した彼女たちの猪突猛進は、来年以降さらに加速していくはず。
たとえこの先、どのような新たな困難が待っていようとも、ガールズバンドは死なない。メジャーデビューを契機としたさらなる躍進を期待しながら、これからも4人の歩みを追いかけ続けていきたい。

ちゃくら、一人ひとりの"君"とつくりあげた、ツアーファイナルZepp Shinjuku公演

Photo by エドソウタ

セットリスト

1. もういいよ、おやすみ
2. 君の一番になれない私より
3. ウソノハナシ
4. ユスリカ
5. 嫌気
6. 一、人
7. アイビー
8. 終幕
9. 海月
10. 未春
11. どうか
12. 今私生きている様だ
13. いびつな愛ですが
14. ガールズバンドは死なない(新曲)
15. 生きる価値ないし
16. 万人様
17. まるで駄目な女子高生はバンドマンになった
EN1. 19才
EN2. いびつな愛ですが
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