近年、日本のロックシーンにおいて着々と存在感を高めつつある2002年生まれのシンガーソングライター・Lavt。2000年代、2010年代の日本のギターロック&ボーカロイドを血肉化した上で、双方のエッセンスを抽出して独自のブレンドで再配合した音楽性。
容赦なく快楽中枢を刺激するダンスビート。そして、聴く者の心をダイレクトに震わせるエモーショナルな歌。そうしたピースから成るLavtの音楽は、言うまでもなく、ライブのステージ上でこそ真価を発揮する。2025年の夏に初のワンマンツアーを敢行した時のファイナルの舞台は、渋谷Spotify O-WEST。あれから約半年。2月6日に行われた2度目のワンマンツアーのファイナルの舞台は、さらにスケールアップした渋谷CLUB QUATTRO。本能の赴くままに全身全霊で駆け抜けた1時間強、全17曲。まさに、今の彼の破竹の勢いを表すような圧巻のツアーファイナル公演だった。以下、順を追って振り返っていきたい。

幻想的、かつ、スペーシーなSEが響く中、サポートメンバーの加藤綾太(G)、森夏彦(B)、吉田雄介(Dr)と共にステージインしたLavt。さっそく「Yeahーーー!!」とシャウトをかまし、1曲目の「モルト」からライブが幕を開ける。ツアーファイナルということもあってか、鉄壁のバンドメンバーたちと紡ぎ出すアンサンブルは、かつてないほどに極まっている。
濃厚なファンクフィーリングが会場全体を満たす中、Lavtは何度も跳びはねながら熱唱。そして、「東京、準備できてますか!」と呼びかけ、「有象無象」へ。手を上げながら何度もジャンプを繰り返す観客。それに対して、「ぜんぜん足んない、ぜんぜん足んない」と煽りまくるLavt。その煽りに対して、〈愛情表現を頂戴よ〉と歌って返す観客。互いに愛情を求め合う熱烈な応酬は、続く「アルコール」でさらに加速していく。Lavtは、沸々と沸き立つフロアの熱狂を受け、アウトロで渾身の超ロングフェイクをかましてみせた。圧巻のオープニングパートだった。

Lavtが見出した答え、自分を信じ本能赴くままに駆け抜けた、渋谷クアトロ公演

Photo by Goku Noguchi

Lavtは、この日が楽しみすぎて前日ぜんぜん眠れなくなり、また、急に新しい曲ができそうになってさらに眠れなくなり、深夜テンションで今回のステージに臨んでいることを明かした。そして、観客に対しても"擬似深夜テンション"を求め、「L4DY」からライブが再開。次々とばっちりハンズクラップをきめていく観客。〈四つ打ちに身を任せた僕ら〉の一体感が際限なく高まり続け、そして、ここでなんと2月18日リリース予定の新曲「パラソムニア」が披露される。
不穏なグルーヴが会場に充満する中、遺憾無くエモーションを昂らせていくLavt。次に、「都会病」によって観客の心をじわじわと沸き立たせていき、ここから、彼のシンガーとして、また、メロディーメイカーとしての真髄を凝縮した3曲「雨に打たれて」「オレンジ」「カゲロウ」を立て続けて披露。逆光で表情こそ見えないものの、各曲のメロディと歌声を通して彼の切実な想いがありありと伝わってくる。また、もはやライブハウスの規模に収まりきらない各曲のスケール感に改めて驚かされた。

「こっから盛り上げていくんですけど、準備できてるー?」というアジテーションを合図に、「感情的侵略」から怒涛の後半戦へ突入。吉田が轟かせる高速4つ打ち。森が懸命にルートを刻み、その上に加藤が奏でる熾烈なギターリフが響く。そして、Lavtも観客も、まるでリミッターがぶっ壊れてしまったかの如き勢いで、己の感情を解き放ち合っていく。その熱量は「ユウウツダンスフロア」へと引き継がれ、観客は手に持つタオルをめいっぱい回しまくる。次の「JOOOOKE」では、Lavtは、観客を信頼して次々と歌を託し、観客は彼の想いに応え熱唱を重ねていく。あまりの狂騒っぷりに、Lavtは、ここで一度、観客に水分補給するよう促し、温かく親密なフィーリングが煌めく「デイジー」からライブが再開。続いて、「HOLD ME」へ。
一気に加速する快活なエイトビートに合わせて、会場全体に晴れやかな高揚感が満ちてゆく。「飛行船」では、加藤と森がお互い向き合いながらステップを刻んだり、Lavtの後ろに一列に並んで「Choo Choo TRAIN」をしたりしながらプレイ。2人のあまりの自由さに、思わず笑い出してしまうLavt。とにかくバンドが楽しい!という彼らのテンションが存分に伝わってくる一幕だった。

Lavtが見出した答え、自分を信じ本能赴くままに駆け抜けた、渋谷クアトロ公演

Photo by Goku Noguchi

MCパートでは、Lavtは、昨年11月にリリースしたアルバム『glauben』(ドイツ語で「信じる」)のタイトルに込めた想いを語った。大きな飛躍の一年となった2025年。楽曲へのリアクション、ライブへのリアクションが、データやSNSを介してダイレクトに跳ね返ってくる中で、彼は、「自分の曲・ライブはこのままでいいのかな」「誰かのためになってるかな」と思い悩むことが増えたという。頭の中がぐちゃぐちゃになってしまった時期もあったが、最終的に辿り着いた答えは、結局、自分を信じるしかない、ということ。誰かに相談することはあっても、結局、最後に決めるのは自分。時には、理屈では説明できないような本能に身を任せることも大切。その結果として、自分にとって良い道が開かれてゆく。昨年の自身の心境の変化を伝えたLavtは、そうした体験を踏まえた上で、「皆さんの明日が、よりよい一日になるように」と願い、「また絶対会おうね」と約束を結んだ。


Lavtが見出した答え、自分を信じ本能赴くままに駆け抜けた、渋谷クアトロ公演

Photo by Goku Noguchi

そして、「いくぞーーー!」と呼びかけ、「涙のスイマー」を披露。突き上がる無数の拳。重なる大合唱。まさに、〈大気圏を抜け出して〉いくかのような並々ならぬ勢いだ。ラストは、『glauben』制作期のモードを最も雄弁に体現する痛快なロックンロールチューン「欠片」。サビで、光量マックスのライトが一人ひとりの観客を照らす中、Lavtは、力強く「大丈夫だ!」と叫んだ。その頼もしい響きが深く胸を打つ。最後は、この日何度も更新されてきたはずの最大を再び上回るような大合唱が会場全体から巻き起こり、この日の公演、および、自身2度目のワンマンツアーは万感の終幕を迎えた。早くも決定している3度目のツアーのファイナルの舞台は、渋谷CLUB QUATTROよりもさらに大きな恵比寿LIQUIDROOM。とどまることを知らない彼の快進撃を、これからも全力で追いかけていきたい。

Lavtが見出した答え、自分を信じ本能赴くままに駆け抜けた、渋谷クアトロ公演

Photo by Goku Noguchi

セットリスト
1. モルト
2. 有象無象
3. アルコール
4. L4DY
5. パラソムニア
6. 都会病
7. 雨に打たれて
8. オレンジ
9. カゲロウ
10. 感情的侵略
11. ユウウツダンスフロア
12. JOOOOKE
13. デイジー
14. HOLD ME
15. 飛行船
16. 涙のスイマー
17. 欠片
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