世界各国/地域の編集部が選ぶローリングストーン誌の「Future 25」。日本版が独自にピックアップした2026年の"日本代表"の一人、Meg Bonusのインタビューをお届けする。


2005年⽣まれの現在20歳、作詞・作曲・プロデュースのすべてを⾃ら⼿掛ける野本慶によるソロプロジェクト・Meg Bonus。国内外の良質な⾳楽を貪欲に吸収し、⾳楽をアートとして捉える独⾃の審美眼でアウトプットされた楽曲たちは、もはや「ポストジャンル」というラベリングも必要とせず、現代における⼤⽂字の「ポップ」としてグローバルに響く可能性を秘めている。2ndアルバム『TO THE YOU (ME) I MET BEFORE』のリリースを機に、これまでの歩みを語ってもらった。

ヨルシカとKing Gnu、ブラック・ミディから受けた衝撃

ー⾳楽の原体験はいつ、どんな出会いですか?

野本:⾃分が⾳楽をやるきっかけとしては、中学のときに聴いたヨルシカとKing Gnuが⼤きかったです。ヨルシカは⾃分にとってめっちゃ⻘春で、n-bunaさんが作る⾳楽はボカロの時代からすごくノスタルジアを感じる作り⽅で、夏の終わりの⼀⽇とか、過去の思い出に対して別れを歌うみたいな世界観が強くあって、そこにすごく影響を受けてます。あと曲⾃体はポップなんだけど、作品を出す形態に関してはオルタナティブな姿勢を持っていて、その反⾻精神からも影響を受けていて。n-buna名義で出した『⽉を歩いている』は初回限定盤にn-bunaさんが原作の童話が封⼊されてて、それに付随したボーナストラックが収録されてたり、ヨルシカの『幻燈』は画集になっていて、絵をQRコードで読み取ることで曲が聴けたり。どうやったら⾯⽩いことができるのか?を常に考えていて、そこにすごく惹かれます。

ーボカロPになろうとは考えなかった?

野本:もともとはボカロPになりたかったんです。でも⾼2のときにMacのM2のパソコンを買ったら、ソフトが対応してなくて、何も⾳が出なくて。あのときにWindowsを買ってたら、絶対ボカロPになってましたね。

Meg Bonusインタビュー 覚醒したポストジャンルの申し⼦、「驚き」よりも「美しさ」を求めて

Meg Bonus
2005年⽣まれの新世代シンガーソングライター&プロデューサー、野本慶によるソロプロジェクト。
全楽曲を野本⾃⾝が作詞・作曲・プロデュースまで担当しており、洋邦ジャンルを問わず様々な⾳楽を吸収した肥沃なバックグラウンドから、前衛的なトラックに乗せて普遍的かつポップなメロディを鳴らし、各⽅⾯より注⽬を浴びる。ライブではサポートミュージシャンを迎え、バンドセットで楽曲に息を吹き込む。

ーKing Gnuはどんな部分に惹かれたんですか?

野本:常⽥⼤希さんのギターヒーロー感ですね。常⽥さんはギタリストなんだけど、ボーカルでもあり、ど真ん中のヒーローで、それが衝撃だったし、⾃分もギターをやりたいと思いました。⾳楽的に何がすごいかは当時はまだわからなくて、ただただかっけえなって。

ーそれで⾼校で軽⾳部に⼊った?

野本:はい。⾼2くらいで「バンドを組んで、オリジナルの曲を作ろう」みたいになって、最初は楽しかったけど、もっとちゃんとやりたいと思うようになったんです。憧れの先輩についていくとか、部活としては別にいいと思うんですけど、⾃分はもっとちゃんと⾳楽をやりたかったから、軽⾳部は辞めて、⼀⼈で曲を作り始めました。そこからはとにかくもう⾳楽がやりたくて時間が⾜りなかった。普通の⼤学じゃなくて⾳⼤に⾏きたかったので、そのためには勉強時間を全部楽譜を書く時間に使わないと無理だなと思ったのもあります。その頃からサブスクで海外の⾳楽を聴き始めて。

ー資料には影響を受けたアーティストの名前がたくさん書いてあって、海外で⾔うと、タイラー・ザ・クリエイター、レディオヘッド、ブラック・ミディ、NewJeans、フライング・ロータス、フランク・オーシャンが挙がっています。


野本:衝撃度で⾔うと、ブラック・ミディはヨルシカとKing Gnu以上かもしれない。電⾞の中で初めてブラック・ミディを聴いて、「すごい! 何これ!」と思って、快速急⾏を4駅ぐらい乗り過ごした思い出があります。で、ちょうどそのちょっと後に来⽇して、O-EASTの追加公演のチケットがギリ余ってたから⾏けて、もう「うわぁ!」ってなって。海外のロックバンドを観るのが⼈⽣で初めてだったんですよ。初めて観た海外のアーティストはブルーノ・マーズで、その次がブラック・ミディだったんです。

ー⼣⽅と夜で⼆公演やった⽇ですよね(2022年12⽉4⽇)。

野本:そうです。僕が⾏ったのは夜だったんですけど、夜だけ「John L」をやったんですよ。それがもうやばかった。そのころはまだジョーディー・グリープが好きなタンゴの感じとかよくわからなかったから、そういう曲はちょっと退屈だと思ってたんです。でも最後に「John L」をやって、あれには吹っ⾶ばされましたね。

ー最初に触った楽器はギターで、⼀⼈でやるようになってDTMを始めた?

野本:最初はiPhoneのガレバン(GarageBand)から始めて、パソコンを買ってからも最初はガレバンで、『18PERSONAL』はほぼガレバンで作りました。
普通にLogicを買うお⾦が出せなかったんですけど、でもuamiさんがiPhoneのガレバンで録ってる、みたいな話を聞いて、「え、これを?」と思ったのはすごく覚えてます。DTMにどんどんハマって、めっちゃ独学ですけど、もう楽しくて仕⽅なくて。当時はショートカットキーが嫌いというか、そこにたどり着くまでにできたバグが⾯⽩かったりするじゃないですか。その感覚は未だにすごく⼤切にしています。どの⾳が鳴ってるかを頭の中で整理することよりも、ゼロイチのアイデアをどれだけ逃さないかの⽅が重要だと思うんですよね。

ー結局、⾳⼤には⾏けたんですか?

野本:⾳⼤を⽬指したのも、King Gnuの井⼝理さんが(東京藝⼤に)⾏っていたから、僕も⾳⼤に⼊れば何か⾒つかるんじゃないかと思ったのがきっかけだったんです。で、藝⼤ではなく別の⼤学の声楽科に⼊ったんですけど、「思っていたのとは違うな」って。クラシック以外の⾳楽を聴く⼈にあまり出会えなくて。

ーヨルシカ、常田さん、ブラック・ミディのように、「ロックはこうあるべき、バンドはこうあるべき」という考え方に疑問を持って、独自のアプローチをしているような人と出会いたかった?

野本:その⼈たちは全員、まず⾳楽フリークじゃないですか。ジョーディー・グリープはあの⾳楽性でフェイバリットがキース・ジャレットだったりしますよね。アートとは何かを考える上での⼀個の表現⽅法としてバンドを使ってるイメージで、ただバンドをやってるだけの⼈とは出てくるものが全然違う。それはリスナーとしての⾃分にとっても感覚的にわかる話、⾔葉にせずともわかるような感じだなって、すごく思いますね。


Meg Bonus始動後の葛藤と試⾏錯誤

ー⾼校時代に出会ったドラムの⼯藤⼋雲くんとMeg Bonusを結成して、2024年に『18PERSONAL』を発表。コラージュ的な感覚が印象的な作品だと感じました。

野本:その辺りは、君島⼤空さんからの影響がすごく大きいです。最初は⾃分にとって新鮮すぎてよくわからなかったんですけど、明確に覚えてるのはフジロックのROOKIE A GO-GOに出たときのライブ(2019年)をYouTubeで⾒て、「遠視のコントラルト」の途中でグリッチが⼊ったときに「何これ?」と思って。その後にWWW Xでやった「散瞳」の動画(2020年)を⾒て、完全にやられました。

ーそれで⾃分でもコラージュ的なものを作るようになった?

野本:ほぼ君島さんに影響を受けた曲を半年ぐらい作り続けて、でも今思えばすごく重要な時期だったと思います。君島さんの『no public sounds』で初めて「サンプル」という概念を知って、Splice(サンプル⾳源サービス)とかを知って、ちょうどそのときにウ⼭あまねさんもサンプルを無料で配布していて。フライング・ロータスみたいな曲を作りたいと思っても、どう作ればいいかわからなかったけど、サンプル選びが重要なんだと知って。だから、コラージュの概念を教えてくれたのが君島さんかもしれない。

ーネットの⾳楽カルチャー、サンクラ(SoundCloud)のカルチャーの影響も⼤きい?

野本:⼤きいと思います。サンクラの⼈たちの「全員敵だし、でも好きなやつは全員味⽅」みたいな考え⽅にはすごく影響を受けてますね。

Meg Bonusインタビュー 覚醒したポストジャンルの申し⼦、「驚き」よりも「美しさ」を求めて

Photo by Mitsuru Nishimura

ー2024年の1st EP『18PERSONAL』は、今振り返るとどんな作品だったと思いますか?

野本:この前ひさしぶりに聴いたら、すごく不思議な作品で、今はもう絶対作れないと思いました。
それこそあれはめっちゃサンプルで作ってて、そのキモさが出てるんですよね。サンプルだから楽器とかの⾳はめちゃいいけど、声はハイがやばいし、全部リヴァーブで隠してて、すごい不思議な質感の作品になってて。あれはもう完全にロストテクノロジーの権化みたいな作品で、素晴らしいなと思います。

ーその後にMeg Bonusがソロプロジェクトになって、2025年に1stアルバムの『New,man』を発表。10代の集⼤成的な作品だった印象です。

野本:『New,man』は、「クレバーな若者に⾒られたい」みたいな、よこしまな思いあったのかもしれないなって、この前聴き返したときに感じて。だから『New,man』は作品としてのまとまりが⾜りなくて、今思えばちょっと後悔が残ってる、みたいなアルバムですね。

ーインディR&B的な要素、NewJeansやピンクパンサレス的な要素があり、シンガーソングライターでありトラックメーカーであるMeg Bonusらしさを感じる作品でした。

野本:僕の中で楽器が上⼿くないことは全然いいんですけど、周りからは「楽器も上⼿くなった⽅がいいよ」とか「やっぱフィジカルがね」みたいなことも⾔われて、そこに対しての対抗意識もあったんですよ。「トラックが上⼿く作れたら楽器は上⼿くなくてもいいじゃん」みたいな。「楽譜を読めないとかありえない」みたいなことも⾔われたけど、「僕はトラックで対抗するから」って。でもそれは芸術外の話なんですよね。
びっくりするような⾳を⼊れて、「ここオルタナティブだからいいと思いませんか?」みたいな、そういうことをやりたいわけじゃなかった。今思うとちょっと中⼆病というか、そういうものを感じる。

ー2025年の11⽉に出たEP『LOSS』は、バンドメンバーとの録⾳が新機軸でした。

野本:『LOSS』はもう楽しい!って感じでしたね。それまでバンドの録⾳はほぼやったことがなかったから、⼀旦そっちのスキルも上げたかったし、(演奏の)ディレクションをすることも⼈⽣で初めてで、それも含めて⼀度実験として、好きな作品を作ってみた。だから『LOSS』はすごく重要作という感じではないけど、個⼈的にはすごく楽しくて、『TO THE YOU (ME) I MET BEFORE』は『LOSS』があったからこその作品だと思います。

夢をアートに、進化を遂げた最新作

ー『TO THE YOU (ME) I MET BEFORE』は世界観が強くあって、物語性があり、コンセプトアルバム的な趣がある作品ですね。

野本:『New,man』は⼀曲⼀曲作ったものを並べたアルバムだったので、今回は最初からコンセプトアルバムを作ろうと思ってました。テーマになったのはフロイトの精神分析で、鬱の患者とかに話を聞き続けることで、本当は⾔いたくなかった無意識の感情が出てきて、それでトラウマを克服するという療法。その無意識下にあるものが⼀番出る瞬間が夢なんです。夢は⾃分でコントロールできないから、本⼼が出やすいらしくて、「これは素晴らしいかも」と思って。⾃分もこれまでの⼈⽣が全然上⼿くいってないし、それで夢の中に少年が潜っていって、孤独や寂しさを⾃覚していく、みたいな流れにしようと思ったんです。だから最後はアラームで起きるんですけど。

ーある種のカウンセリングであり、箱庭療法にも近いかもしれないですね。⾃分の箱庭を作っていく感覚に近いというか。

野本:そういう作り⽅は⾃分⾃⾝のセラピーにもなるし、『18PERSONAL』を作り始めた頃はそういう感覚もあったから、それをまたやってみようかなって。で、もともとタイトル曲の「TO THE YOU (ME) I MET BEFORE」はできていて、作った頃がちょうど夏前くらいで、⾃分の⼈⽣で⼀番ハッピーな時期だったから、この曲を物語が展開するポイントにしようと思ったんです。映画でも「明確にここで場⾯が切り替わる」みたいなポイントがあるじゃないですか。だからその後に、⾃分が⾼2のときに初めて作った曲で、いつかちゃんと形にしたいと思っていた「LOVE」を⼊れて。〈撃ち落とされた⾶⾏船〉っていう歌詞はメロディと⼀緒に出てきて、これが何なのかは⾃分でもわかってなかったけど、これ以上にハマる⾔葉がなくて。じゃあこれを孤独な⾃分⾃⾝のメタファーだとして、最後にそれが撃ち落とされて、そういう⾃分を受け⼊れて、少し優しくなっている⾃分を⾃覚して、それで夢から起きる、みたいな展開にしたら⾯⽩いんじゃないかと思って、そこから逆算して作っていきました。

ーサウンド⾯で⾔うと、アルバム全体でフィーチャーされたストリングスが特徴ですね。

野本:アルバム前半は50~60年代のアメリカンポップスがやりたくて。オーティス・レディング、テンプテーションズ、エルヴィス・プレスリーフランク・シナトラとかがすごくいいいなと思ったんですよね。サンプリング⽤のサイトがあって、そこにあの時代の曲を集めたプレイリストがあって、すごい好きかも、と思って。タイラー・ザ・クリエイターの『IGOR』の最後に⼊ってる「ARE WE STILL FRIENDS?」がすごく好きなんですけど、あれはアル・グリーンの曲をサンプリングしてて。全部繋がってるんだなと思って、僕もあの時代の⽢美なポップスをイメージしながらやりたいと思ったんです。

ー前半の曲に、ビートがほぼ⼊っていないのも⼤胆な構成ですよね。

野本:夢がテーマだから、序盤はビートレスにして、ビートが⼊ることで地に⾜がつく感覚を表現できたらいいなと思って、5曲⽬の「HICCUP」に初めてビートを⼊れたんです。それは⾳楽的にもずっとやりたかったことで、ジェイムス・ブレイクやボン・イヴェールがビートに対してものすごく引き算をして、「あ、これずっとベース⼊ってなかったんだ」みたいになる、あの感じにしたくて。それを⾃分はアルバム単位まで引き伸ばして、5曲⽬のビートが⼊ってくる瞬間に5曲分のカタルシスを持ってこようと思ったんです。

ーアルバム後半にはどんなイメージがありましたか?

野本:前半の雰囲気も残しつつ、後半はビートが⼊ってくるから、⾼⽊正勝さんとか、Botanicaの流れですね。phritzさんとか素晴らしいし、ああいうのをやりたくて。だからこのアルバムを作る上でずっとこびりついてたのはポーター・ロビンソンの『Nurture』で、 あれがずっとあって、その上でいろいろ話が進んでいった感じです。

ーストリングスという意味では、去年で⾔うとロザリアの『LUX』が印象的で、インスピレーション源になってるのかなと思いました。

野本:ストリングスの使い⽅で⾔うと、クアデカ(Quadeca)の⽅が近いかもしれないです。クアデカはピチカートの使い⽅が素晴らしくて。フランク・オーシャンの『Blonde』で、エレキギターをパッて⼿で⽌める⾳がよく出てくるじゃないですか。「Self Control」とか「White Ferrari」とか、あれでリズムをなんとなく提⽰してたんですけど、もう10年前の作品だし、⼩袋成彬さんとかも割とそういうことをやっていて。だから別のやり⽅で、クアデカのピチカートの感じでノレるリズムを作れたらなって。

ー「HORIZON」と「MERMAID」のヴァイオリンが吉⽥篤貴さん、他の曲は吉⽥宇宙さんのチームが、アレンジと演奏でクレジットされています。

野本:もともと吉⽥篤貴さんに「MERMAID」をお願いして、15分ぐらいの素材をもらったんです。「ピチカートとかトレモロで弾いてください」みたいな。それをまず⾃分が全部サンプリングして、デモを作って、それを投げて、ほぼ完璧に弾いてもらって、ちょっと和⾳を⾜したりして。だから今までのSpliceのストリングスの⼊れ⽅と似てるっちゃ似てる。吉⽥さんとちゃんと話したのは、レコーディングに⼊ってからですね。⾃分はまだ⾔語化が上⼿くないから、まずは感覚的に⾳で作ることが必要で、それはやれてよかったです。

―前半をビートレスにするうえでは、帯域などについてどう考えましたか?

野本:あまり聴こえないレベルでノイズをいっぱい⼊れてるんです。ノイズをエコーさせて、トレモロさせたりして、サッサッサッサッサッサッサッサッていうのが⼊ってるから、どこかに⼀定のリズムはある。あとパパパパパパパパッてなるシンセは、打ち込むとグリッドされた⾳が出るじゃないですか。テンポが80だとしたら、勝⼿に倍テンでとってくれたテンポが出たりするから、意外とビートがなくても⼤丈夫で、あとはメロをしっかり⽴てれば、っていう感じでした。

ーメロディもしっかり⽴っていて、ポップスとしても素晴らしいと思います。先鋭的な、実験的なだけの作品にならないことも重要だった?

野本:今回の作品では実はそういうことは全然気にしてなくて。「オルタナティブなことをやりたいのにポップスをやってて偉いね」とか⾔われて、その⼈に悪意がないのはわかるけど、⾃分はそういう感覚ではやってなくて、「ただ楽しいからやりたいのにな」と思うと、すげえ落ち込んじゃって。なので、今回はそういうのを気にせずに作ってみようと思ったんです。結局⾳楽で会話したいから世に出そうと思うわけじゃないですか。だから奥底にあるポップスだったり、⾃分が好きな綺麗なメロディは勝⼿に出てくるから、そこのバランスは全然気にしなくてもいいと思うんですよね。途中で⾔ったように、「難しいメロディを作って驚かせてやろう」みたいな気持ちはもうないから。シンプルに⾃分が作りたいもの、美しいと思うものを作ったら、⾃然とそういうものになっていく。ボン・イヴェールとかフランク・オーシャンも絶対そんなこと考えてないはずで、⾃分もそういう⾔語じゃない話をしなきゃいけないなって、すごく思いました。

ー『New,man』での野本くんの中での後悔を消化したうえで、今回の作品は作られている。

野本:そう思います。だから途中でシンプルにノイズを⼊れたいなと思ったら、それを純粋にやるだけ。実際ものすごくいいハーシュノイズを作れたと思うし。

ーサウンドメイクで⾔うと、「STRESS」の後半の展開も痺れました。

野本:去年キャロラインの『caroline 2』をすごく聴いてて、「Total euphoria」でバーッてなる瞬間、あのカタルシスをやりたいなと思って。で、「STRESS」でドラムの窪⽥⼤志さんはイントロとアウトロを聴いてなくて、「適当にエイトビートを叩いて、遅くしたり速くしたりしてください」って頼んだんです。だから窪⽥さんは何をやっているかわからない状況で録ってたんですけど、何回もやったら奇跡的に尺があって、それがすごく素晴らしくて。キャロラインがどうやったかはわからないけど、⾃分が思うあの「ズレてるけどずっと⼼地いい」みたいな感じを⽬指して、いろいろ試しました。

ー「Total Euphoria」では3つの異なるリズムが並⾏していて、あのアルバムで起きている同時多発的な状態は、確かに今作とも通じるものがありますね。

野本:たぶんキャロラインも時間を超かけてやってるだろうし、⾃分もそうだったんですけど、これはできて嬉しかったです。途中のスネアの増えていく感じとか、別に何か尖ったことをやろうと思ったわけじゃなくて、シンプルに作ってるうちに、後期のボアダムスみたいになって、それがすごく気持ちよくて。僕は後期のボアダムスより、前期の⽅がかっこいいと思ってるんですけど、瞬間的にはかっこいいんですよね。あのドラムを100⼈とかで叩いてるやつの、かっこいい部分だけを抽出できた感じがします。

ー最後に今後の活動について教えてください。海外に対する展望も持っていますか?

野本:とにかく⾃分の内を突き詰めていくうちに、外に広がっていくかなっていう感じはして。⽇本の⼈たちが考える海外に向けたアプローチは、表⾯的なものが多いし、⽇本⼈コンプレックスみたいなものも感じて、僕はそれがすごく嫌だから、⾃分はとにかく内を突き詰めて、それが最終的に評価されたら嬉しいです。⽇本のアンビエントやノイズが(海外で)評価されてるのも、結局そういう話な気がして。だから全然無理はしなくていいかなと思ってます。

Meg Bonusインタビュー 覚醒したポストジャンルの申し⼦、「驚き」よりも「美しさ」を求めて

2025年12月21日に東京・新宿MARZで開催された1stワンマンライブ「Lossy」より(Photo by Shingo Tamai)

Meg Bonusインタビュー 覚醒したポストジャンルの申し⼦、「驚き」よりも「美しさ」を求めて

Meg Bonus
『TO THE YOU (ME) I MET BEFORE』
発売中
再生・購入:https://megbonus.lnk.to/TOTHEYOU_ME_IMETBEFORE

Meg Bonusインタビュー 覚醒したポストジャンルの申し⼦、「驚き」よりも「美しさ」を求めて

Meg Bonus LIVE
”TO THE YOU (ME) I MET BEFORE”
2026年4⽉29⽇(⽔・祝)東京・⼤⼿町三井ホール
開場 16:30 / 開演 17:30
全席指定 6,500円(税込/ドリンク代別途)
チケット購入:https://eplus.jp/megbonus/
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