弱さに寄り添い、暗闇を優しく照らすことを音楽活動の主軸に据え、ライブに音源制作に配信番組出演にと精力的に活動を続け、2019年5月には1stミニアルバム『YUME UTSUTSU』をリリースした。 デビューから一周年の記念日に行われる節目のワンマンが行われる会場は、「挑戦」という言葉が使われるほどの規模の渋谷WWW。扉を開けフロアに入ると、大きなTENDERLAMPの看板が一際存在感を放つ。クラウドファンディングで支援を募り制作された看板は、サーカスのテントのような、富士山のような、みんなの期待と高揚感が山型で表現された希望のシンボルだ。
興奮を煽るようなBPMの高い曲ではなく、優しく包み込む選曲だ。そして午後6時、ステージ中央のカンテラに灯りがともされると、バンドメンバーが入場。主役のAMIが不在だが、ナレーションで「名古屋ワンマンの後、(いちごアンバサダーを務める)多度グリーンファームで寄り道している」と告知され、場内に笑いが起きる。”アミポンプライム”で大至急発送せよ…ということで、ステージに大きな段ボールが運ばれ…中からAMIが登場。 ミニアルバム1曲目に収録の「BURE-NIGHT-MAGIC」からライブはスタート。「オンドラムス、わたし!」ドラムスティックを手にするAMI、間奏で高速ドラムソロを披露し、早くも会場の熱気は最高潮。
続く「YUME UTSUTSU」でも軽快なドラムに2本のサックス、流麗なピアノが心を躍らす。観客も難度の高いリズムの手拍子にコール&レスポンスに、とバンドメンバーの一員として演奏に参加。見事な一体感を見せる。 サックスが快活な「脳内パラレルワールド」、AMIのドラムソロから入る「jealousy」と、序盤は観客と一体となった喜怒哀楽の共同作業が続く。間奏で観客をジャンプさせると、AMIは「もっとみんなと一緒に飛びたい」と無邪気に煽り、新曲を披露。力強い応援歌に、サビでは拳を高く上げジャンプする人があちこちに出現!
「わちゃわちゃしたのも好きだけど、一人の時間も好き。一人の時間に考えていることを具現化しようと思って…寂しかったり弱かったり、そんな人を照らす存在になりたい」とシリアスに語ったかと思うと、その次の瞬間には「私、意外と面白い人じゃない?」と不思議発言に笑いが起こる。どこまでもマイペースなAMIに翻弄されるこの感じが遊園地的で楽しい。 「もっとでっかくなって、もっと夢のある空間を作りたい。いつか大きいステージ…東京ドーム? に立って、メリーゴーランドを置いたり、観覧車を置いたり、夢の国のように」何やら壮大な夢が語られるが、どうも台本のあるような不自然な語り方…と思っていたら唐突に歌い出すAMI。ミュージカル調に「いつか、必ず、夢は叶うもの」と歌い上げる。
突然の”ショートミュージカル”から、即座にまた普通のMCに戻るが、歌唱力の高さに聞き入っていた客席からは、笑いと拍手が両方沸き起こる。 続く6曲目も新曲。伸びやかに、 優雅な大人のシティポップナンバーだ。曲が終わり暗転すると、静かにピアノがつなぐ。「綺麗で繊細なまあるいガラスを持った少年」「そのガラスは紛れもなく彼の宝物で、彼そのもの」…AMIの語りから始まった7曲目「まあるいガラス」。序盤は優しく繊細に歌うが、終盤にかけてその歌声は力強さを増していく。
さらに8曲目「MoonLight」もスローバラード。AMIはステージ中央に泰然と構え、真っ直ぐ歌い上げる。
「一年前にこの活動を始めて、わからないことだらけだったけど、やってみてわからなければ勉強すればいいし、できなければもっとやればいいと思ったのです。」そう語るAMI。「不器用かもしれないし、下手くそかもしれないけど、でも前を向いて私は自分の思う最高のエンターテインメントを作っていく」と決意表明すると、「私、きょうの景色本当に忘れません。本当にありがとう」と、集まった観客に謝意を伝える。いつも100点満点の笑顔を見せるAMIだが、この時ばかりは少しシリアスな表情になっていた。 最後はポップでキャッチーな「あなたいろ」でハッピーに締めくくり。ステージを縦横に駆け回り、全身全霊で「しあわせ」を振りまく。そんな陽のエネルギーで充満した会場、当然のようにアンコールが起こる。すると、ステージ手前にもう一台キーボードがセッティングされる。
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