今でこそ、 男性の料理研究家は、 女性に比べて少ないとはいえ、 決して珍しい存在ではなくなった。 でもひと昔前、 テレビや雑誌でレシピを紹介してくれる男性のほとんどは、 店で料理をつくっているプロの料理人だった。
その意味で、 この『サメジマ式シニアごはん』(NHK出版、 8月20日発売)の著者・鮫島正樹さんは、 かなり希少な存在だった。 1951年生まれの68歳。 若い頃に世に出て、 今なお料理を紹介し続けている同世代の男性料理家は、 ほとんどいないと言ってよいだろう。 しかも「元祖イケメン料理研究家」と呼ばれる、 その風貌。 モデルとしても活動し、 ファッション誌や車やベッドのテレビCMでの活躍を見たことがある人は、 決して少なくないはずだ。しかし鮫島さんは、 何よりも料理に真摯に向き合ってきた。
実は知らなかった「元祖イケメン料理家」の無理ないリアルな食生活! 鮫島正樹『サメジマ式シニアごはん』発売!
欧風家庭料理と伝統菓子を故・入江麻木氏に学び、 独立したこともあって、 テレビや雑誌は彼に、 もっぱら洋風の料理とお菓子をリクエストしてきた。 一方で食品会社のメニュー開発等に軸足を置いていた時期もあり、 マスコミへの登場回数がさほど多くなかったこともあり、 鮫島さんのつくる料理が実は幅が広く、 懐が深いということは、 今までほどんど紹介されることがなかったのだ。 本書は、 そんな彼のリアルな食生活、 ふだん食べている料理のレシピの一端と、 その考え方をまとめた一冊。2年後に古希を迎える年齢ですが、 持病もナシの健康体。 そして、 見事な体形を今なお保っている。 そのいちばんの理由を鮫島さんは「食べたいもの、 食べるべきものが自分でつくれるからね」と話します。
さらには「いま料理がつくれて、 本当によかったと思う」と言う。外で食べてもよし、 買ってきてもよし。 自分で料理をつくれなくても、 いろいろな選択肢がある世の中になった。 この傾向は、 ますます進んでいくだろう。
実は知らなかった「元祖イケメン料理家」の無理ないリアルな食生活! 鮫島正樹『サメジマ式シニアごはん』発売!
その一方で、 「新型コロナウイルス」が外食や外出ばかりできない環境というものを、 あっという間につくってしまった。活動が制限される中、 自身の心身の健康を快適に保つために「料理をつくる」ということが、 どれだけ大事なことになっていくか。 本書にはそのことを痛感させられる。 鮫島さんの料理は、 決して難しくない。 ゆるやかに節制して、 無理せず健康を維持することがきちんと考えられている。シニアはもちろん、 サスティナブルな食生活を探している「シニア以前」の方にも、 ぜひ手にとっていただきたい一冊。
実は知らなかった「元祖イケメン料理家」の無理ないリアルな食生活! 鮫島正樹『サメジマ式シニアごはん』発売!
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