毎週土曜日深夜にフジテレビ系で放映されている「オトナの土ドラ さくらの親子丼 第3シリーズ」(10月17日~、 出演:真矢ミキ、 新川優愛、 山崎静代、 名取裕子、 鶴見辰吾ほか)の第三回放送(10月31日)で、 「ケーキの切れない非行少年たち」(新潮新書)が取り上げられた。 同書は昨年7月の発売以来、 新書のベストセラーランキング上位に食い込み続け、 すでに60万部を突破した作品。
ドラマに登場する子供の行動原理を読み解く上で、 この本が重要な役割を果たしている。」 ドラマ『さくらの親子丼』(東海テレビ・フジテレビ系土曜23:40~)は、 現在放送中のものが3シーズン目となる人気シリーズ。 主人公は真矢ミキさん演じる、 子どもシェルター「はちどりの家」のスタッフ、 さくら。 子どもシェルターとは、 親による虐待やネグレクトなどによって家庭にいられなくなった子どもたちを一時的に預かる民間施設。10月31日に放送された第3話で取り上げたのは、 「境界知能」の問題。 「境界知能」とは、 知的障害とまでは言えないが現代社会で生活していく上ではさまざまな困難に直面する可能性が高い、 IQで言えば「70~84」相当の人を指す(いわゆる「知的障害」はIQ69以下)。 「はちどりの家」の住人・隼人は、 粗暴でキレやすく、 少年院にいたこともある少年です。 第3話の中で隼人は、 少年院上がりの子でも雇ってくれる会社に面接に出かけたものの、 その会社の人たちとケンカをしてしまい、 就職の機会を逃してしまうことになる。真矢ミキさん演じる主人公さくらは、 隼人が粗暴でキレやすいのは境界知能が原因にあるのでは、 と思い至り、 その考えを「はちどりの家」のホーム長、 山崎静代さん演じる多喜に伝える。 少年院で診察した精神科医によれば、 隼人は「明らかに字を書いたり、 計算したりする能力が劣っている」。 知的障害とまではいかないけれどもそれに近いレベル、 すなわち境界知能だというのだ。 このドラマの第二話では、 「はちどりの家」の入居者全員で餃子を皮から手作りするシーンが描かれていますが、 その際、 餃子の皮のタネを10等分して、 と言われた隼人は、 おそろしく不均等に切ってしまった。 さくらはその場面を思い返して、 「あれも境界知能ゆえだったのではないか」と考える。
この説明をするにあたって、 さくらが多喜に示したのが、 新潮新書『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治・著)です。 昨年7月に刊行された同書は、 現在60万部のベストセラーとなっている。
真矢ミキ主演のドラマでも注目! 「ケーキの切れない非行少年たち」60万部突破のベストセラー!
「この本に出てくる境界知能の子に、 ケーキを三等分にするように言ったんだけど、 うまく切れないらしいの。 こんな感じ」さくらはそう言って、 カバーにある不思議な“三等分”の図を多喜に見せる。 その図は、 三つには切り分けられてはいますが、 とても「三等分」とは言えないもの。 三等分よりもだいぶレベルの上がる十等分を隼人ができなくても無理はない。 そして、 さくらはこう言う。「今まで隼人のことバカとかアタマ悪いとかで片付けちゃったけど、 そうじゃなくて、 あたしたちは隼人が生まれつき持っている障害を受け入れてあげるべきじゃないかって」「ケーキの切れない非行少年」によれば、 「境界知能」は人口の14%程度いる、 とされる。 つまり、 日本人の7人に1人は境界知能ということだ。 いじめ、 あおり運転、 幼児に対する性非行、 ネグレクト、 無計画な暴行や殺人など、 世の中には「なんでそんなことをするのか分からない」ような困りごとがたくさんありますが、 そうしたことの背景にも、 この「境界知能」が関係していると考えられる。 本書は、 テレビを含めた各メディアでたくさんの紹介をされてきましたが、 テレビドラマでの言及はおそらく初めてだろう。本書をベースに、 著者本人の脚本によるコミック連載も進行中。
ぜひチェックしよう。
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