憧れの名車の祭典!“コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン”とは?

クラシックカーをはじめ、スーパーカー、ハイパーカーも含む特別なモデルが集結する“コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン”。このイベントが世界遺産である奈良の薬師寺にて今年3月に開催された。

エントリーされたクルマは約60台。日本はもちろん世界中から自慢の愛車をともないオーナーたちが集合した。

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今回は、前回の開催地でもあった世界遺産、京都・二条城から奈良・薬師寺に場所を変えて開催。いったんコロナ禍で中断していて、今回6年ぶりの復活となる。主催者である木村英智氏は「伝統的な日本の姿がある薬師寺は、いにしえからの空気感が残されている類稀なる神聖な場所。そこでこういったイベントが行われることに意味があります」と語る。

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薬師寺の東塔の前で。〈ケーニグセグ〉レゲーラ

木村英智氏は、様々なイベントの主催やプロデュース、またデザイナーとしてマルチに活躍。知るところでは一世を風靡した展覧会“アートアクアリウム”の創始者でもあり、また海外セレブが訪れる日本橋の隠れ家レストラン&バー“水戯庵(すいぎあん)”のオーナーでもある。ここはレストラン内に能舞台があることでも有名なので、ご存じの人も多いかもしれない。そんな木村さんと“コンコルソ・デレガンツァ“との出合いは、まさに偶然にして運命的なものだった。

そもそもこのイベントの元となっているのが、美しいクルマが集まることで知られる世界最高峰のイベント“コンコルソ デレガンツァ ヴィラ デステ”。
これは毎年5月後半に開催される歴史あるイベントで、クラシックカー、ヴィンテージカーをはじめ、名車が集まることで有名。イタリア北部のコモ湖の西岸、チェルノッビオにある“ヴィラ デステ ホテル”を会場とし開催されている。そして、今から15年以上前にたまたまその前日にこのホテルに宿泊していたという木村さんは、全くイベントのことを知らなかったという。
「偶然ヴィラ デステ ホテルに宿泊していたのですが、突然コンコルソへ前乗りしてきたクラシックカーがたくさんやってきて、面白そうなので延泊しようと。そうしたら、もう予約でいっぱいだと追い出されてしまいました(笑)。それがこのイベントを知ったきっかけです」

その後も木村さんと“コンコルソ デレガンツァ”の不思議な縁は続く。
「ヴィラ デステ ホテルの出合いのあと帰国すると、すぐに導かれるように、なぜか友人がコンクール デレガンス(コンコルソ デレガンツァ)を開催するので手伝うことになったんです。そしてそのまま、様々ななりゆきで実質的な主催者になってしまった(笑)。僕は当時六本木ヒルズで様々な企画を開催していました。その経験を生かし、東京らしさを存分に打ち出した、おそらく今でも世界で一番高い場所となる、52階(海抜250m)の天空の“コンクール デレガンス”をプロデュースしました。

そして、そこにやってきたのが有名な工業デザイナーであるレオナルド・フィオラバンティ氏です。審査員として招いたのですが、彼がこのイベントにいたく感激してくれて、あなたは絶対に日本でこういった活動を続けるべきだと言ってくれたんです。
そして、世界最高峰のコンクール デレガンスを見て勉強しなさいと、あの全てのきっかけとなった“コンコルソ デレガンツァ ヴィラ デステ”に招待してくれたのです」

レオナルド・フィオラバンティ氏といえば、〈フェラーリ〉ディーノをはじめ、512BB、288GTO、F40をデザインしたレジェンド。そんな彼のバックアップを受けて木村氏はすぐに日本橋架橋100周年を祝うメインイベント“ジャパン・クラシック・オートモービル2011”を主催。このときは22台のヴィンテージカーのパレードも行われた。こうしてヴィンテージカーの世界と関わりながら、世界水準のコンクール デレガンスを開催する機会を窺っていた。

そこから準備期間を経て、2016年12月に満を持して世界遺産である京都・二条城で“コンコルソ・デレガ ンツァ・ジャパン”を開催。それを皮切りに開催は2018年、19年と続くことに。そして今回は薬師寺にて、コロナ禍により6年ぶりの開催となったが、京都から引き続き国際最高水準レベルでの開催となった。

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2日間にわたり約60台の車が展示された

今までの出展車両は主に欧米からのエントリーがメインだったが、今回は開催決定がやや遅れたことで海外からの輸送上の都合も生じ、日本からのエントリーがメインに。1921年の〈フィアット〉501SSテスタシルバーニをはじめとした戦前モデルだけでも14台が出展。ほかに5台しか製造されなかった〈アストン マーティン〉Cタイプ、トヨタ博物館から〈トヨタ〉2000GT(ボンド・カー)など、ここでしか見られないようなレアなヴィンテージカーが集合した。

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左:〈アストン マーティン〉Cタイプ 1940年 右:〈トヨタ〉2000GT(ボンド・カー)1966年 

そして、今回注目を集めたのは、なんといっても“ストラトス・ゼロ”(エントリー名は〈ランチア〉ストラトスHFゼロ)。1970年のトリノ・ショーでデビューしたストラトス・ゼロは、マルチェロ・ガンディーニ氏による未来的なデザインに実用性も備えたクルマで、アメリカから参加した世界的なコレクターの出品。

見事コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025のウィナーとなった。

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ベスト・オブ・ショーに選ばれた〈ランチア〉ストラトス HF ゼロ、1970年。写真はオーナーのフィリップ・サロフィム氏と主催者の木村英智氏

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授賞式では宝生流の能も奉納された

初日の午後から雨になってしまったといえ、ため息が出るほど美しく、そしてかわいらしいクラシックカーを眺めているのは、なんとも幸せな気分になる。そして、これらのクルマのほとんどがただ飾られているだけのクルマでなく、実際に走ることが可能だということも魅力だ。コモ湖で行われる“コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ”でも、実走が評価項目に挙げられているそうだ。

このような国際コンクールが日本で行われることは、まさに日本人の誇り。そして来年も同じ時期にこのイベントは行われる予定だ。



INFORMATION

●コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン
URL:https://concorsodeleganza.jp/jp
Instagram:@concorsodeleganza_japan


●公式 Instagram(@safarimagazine_official)はコチラ

文=大嶋慧子 text:Keiko Oshima

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