個人情報保護委員会は5月16日、名簿販売の事業を営む有限会社ビジネスプランニングへの行政指導について発表した。

 同会では警察から「特殊詐欺グループの被疑者が、ビジネスプランニング名義の銀行口座等へ送金していた事実が確認された。」旨の情報提供を受け、ビジネスプランニングに対し4月18日に、個人情報の保護に関する法律 第146条第1項の規定による立入検査を実施したところ、ビジネスプランニングにおける個人情報の取扱いについて、下記の個人情報の保護に関する法律 第19条の規定違反及び個人の重大な権利利益を害する事実が認められたとのこと。


1.ビジネスプランニングは2023年5月から2024年10月にかけて、名簿の販売先が違法な行為に及ぶ者である可能性を認識していたにもかかわらず、個人情報を提供した。

2.ビジネスプランニングが上記1.で提供した個人情報は、個人情報に係る本人の重大な財産的被害等を及ぼす特殊詐欺グループに提供された

3.ビジネスプランニング代表取締役の説明によれば、同社における他の名簿販売に関しても「個人名からの入金であり、法に違反するような行為に名簿を利用すると思われる者に対する名簿の提供である。」との認識を持ちながら個人情報を提供していたが、前記1.を含むこれらの行為は個人情報の保護に関する法律 第19条の規定(不適正な利用の禁止)に違反する

4.ビジネスプランニングは、提供先が違法な行為に及ぶ者である可能性を認識しながら個人情報の提供を行っており、提供された個人情報に係る本人は、特殊詐欺グループからの連絡の可能性にさらされることで平穏な生活を送る権利利益が侵害され、このような権利利益の侵害が、同社の反復継続的な個人情報の提供行為により拡大され続けている中、今後も含め、本人への特殊詐欺による財産的被害につながりかねない状況である

 同会では、ビジネスプランニングに対し、個人情報の保護に関する法律 第148条第3項の規定により、下記のとおり違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命じている。

1.個人情報の保護に関する法律 第19条(不適正な利用の禁止)の規定に違反する個人情報の提供を直ちに中止すること。

2.個人情報の保護に関する法律 第19条の規定に違反する個人情報の提供を一切行わないよう、2025年5月30日までに、例えば個人情報の提供先について、法人登記で実在を確認し利用目的を特定するなどの方法で、違法又は不当な行為に及ぶ者ではないことを確認することを会社規程に盛り込み、個人情報の取扱状況について定期的に監査を実施するなど、確実な体制整備を行うこと。

 同会では、「ビジネスプランニングが提供した個人データが特殊詐欺等の違法行為に利用され、個人データに係る本人の重大な権利利益が侵害される事態である上、意図的に法違反が繰り返されていたものであって、法令違反の重大性が極めて悪質な事案であ」るとし、今後も犯罪者グループ等に名簿を提供する悪質な「名簿屋」に対し、不断の監視を行うとともに、必要な調査を行い、厳正に対処するとのこと。

 なお、ビジネスプランニングでは5月19日現在、同社サイトで個人情報保護委員会から行政指導を受けた旨について触れていない。

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