これは同社の元従業員が、他社が運営する仕事依頼サービスサイトを介して、同社を発注者とし、当該元従業員を受注者とした架空の業務発注で、同社から業務委託費として支払われた金員の大部分を着服していたこと等(被害総額 約2億4,600万円)を確認したというもの。また、当該元従業員がある取引先に対し、業務の実態がないにもかかわらず業務委託費を不正に支払うことで同社の資金を流出させた事実(被害総額 約1億円)も確認している。
同社では、独立社外監査役2名を中心とする社内調査チームを組成し、外部の法律事務所及び会計事務所のフォレンジックチームの支援を得て、当該元従業員を含む関係者からのヒアリング、当該元従業員が使用する端末のデジタルフォレンジック等による詳細な事実関係の調査、類似事案の有無の調査、原因分析及び再発防止策の立案を進めていた。
社内調査チームによる調査の結果、当該元従業員による単独の不正行為であって組織性がないことを確認している。
また本件不正行為は、裁量と権限を有する幹部級職員であった当該元従業員が悪意をもって単独で行った不正で、発覚を避けるための隠蔽工作を行うなど、同社での検知が著しく困難であったとのこと。
同社では7月24日付で当該元従業員を懲戒解雇するとともに、捜査機関への相談及び刑事告訴に向けた協議を重ね、当該従業員に対する告訴受理に向けた具体的協議を進めている。また同社では既に、被害金の回収に着手している。
同社では、本件の経営責任を明確にするため、指名・報酬委員会での審議結果を踏まえ、取締役5名の役員報酬の減額を行っている。
代表取締役社長:2025年8月から月額基本報酬の30%を3ヶ月間減額
業務執行取締役:2025年8月から月額基本報酬の10%を3ヶ月間減額
同社では再発防止策として、下記を実施するとのこと。
1.コンプライアンス教育・研修の拡充
2.外部業者との取引発注・支払承認の稟議プロセスにおける内部統制の改善
3.内部監査によるモニタリングの強化