「ネット詐欺リポート」は毎月調査・収集した詐欺サイトを分析し、傾向をまとめたリポート。
同リポートによると、数ヶ月にわたり猛威を振るっている証券系のフィッシングサイトは、前月同様ターゲットを変更しつつばらまかれている可能性があり、7月は野村証券のフィッシングサイトが前月比約5倍に増加している。また直近ではマネックス証券、SMBC日興証券なども増加傾向となっている。
警視庁や検察などを騙る偽サイトも登場しており、SNSなどで「あなたに逮捕状が出ている」などと偽サイトに誘導し、「逮捕状検索」等の本来存在しないコンテンツで偽の逮捕状を表示させ、金銭詐取をする手口が確認されている。
7月度のフィッシングサイトブランドランキングは、先月より2倍に増加したSBI証券が33.30%を占め1位となり、Appleが12.26%で2位に、前月比3倍以上に増加したJAバンクが5.90%で3位と続いている。
7月度のフィッシングサイトカテゴリ別構成比は、SBI証券のフィッシングサイトが2倍以上増加したことが要因で証券系カテゴリの構成比が20ポイント以上増加、実数でも60%以上増加している。WebサービスカテゴリはAppleの収集数が減少したことで構成比が前月の48.51%から20.93%に減少している。銀行カテゴリはJAバンクのフィッシングサイトが3倍以上増加してことで構成比が前月の5.65%から9.52%に増加している。
早稲田大学 理工学術院 教授の森達哉氏は「7月度のネット詐欺レポートでは、証券系サービスを装うフィッシング攻撃が一層深刻化していることが明らかになりました。SBI証券が引き続き首位を占める中、野村証券へのフィッシングサイトが前月比5倍と急増しました。さらにマネックス証券、SMBC日興証券も標的となっており、攻撃者が意図的に証券会社をローテーションしながら攻撃を仕掛けている状況が見て取れます。これは6月に観測された大和証券への攻撃急増と同様のパターンであり、攻撃者が各社のセキュリティ対策や利用者の警戒心を回避するため、戦略的にターゲットを切り替えていることを示唆しています。」とコメントしている。