同調査によると、令和7(2025)年上半期は、政府機関や金融機関等の重要インフラ事業者等でDDoS攻撃とみられる被害や情報窃取を目的としたサイバー攻撃等が相次ぎ発生し、警察庁が設置したセンサーで検知した脆弱性探索行為等の不審なアクセス件数は、1日・1IP アドレス当たり9,085.4件(前年比7.5%減)と引き続き高水準で推移しており、その大部分が海外を送信元とするアクセスで占められていた。
令和7(2025)年上半期におけるランサムウェアの被害報告件数は116件で、半期の件数としては令和4(2022)年下半期と並び最多となった。組織規模別のランサムウェア被害件数は、2024年と同様に中小企業が狙われる状況が継続しており、77件で約3分の2を占めて件数・割合ともに過去最多となっている。同庁では、RaaSによる攻撃実行者の裾野の広がりが、対策が比較的手薄な中小企業の被害増加につながっていると指摘している。
ランサムウェアによる被害に遭った企業・団体等に実施したアンケート結果によると、2024年と比較してランサムウェアの被害による調査・復旧費用が高額化しており、1,000万円以上を要した組織の割合は50%から59%に増加している。中小企業の被害が増える中で費用負担が増加しており、被害組織の経営に与える影響は決して小さくないとしている。
令和7(2025)年上半期中の、特殊詐欺の被害額は約597億3,000万円(前年同期比162.1%増)と、過去最悪となった2024年の被害額を上回るペースで推移しており、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額についても約590億8,000万円(前年同期比10.7%減)と、引き続き高止まりしている状況となっている。
令和7(2025)年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は2,593件、被害総額は約42億2,400万円となっており、フィッシングがその手口の約9割を占めている。また2019年頃から、リアルタイム型フィッシングで二段階認証を突破する手口が横行している。
警察庁では令和6(2024)年度に、オンラインカジノの利用実態やサイトの情報を把握するために調査研究を行ったところ、国内におけるオンラインカジノサイトの利用経験者は推計 約337万人、年間賭額は推計 約1兆2,423億円であった。スマートフォン等からアクセスして賭博を行う「無店舗型」のオンラインカジノについては、アクセス数の増加と依存症への問題が強く指摘されている他、資産の海外流出やマネー・ローンダリングへの利用等が懸念されている。
令和7(2025)年上半期におけるサイバー犯罪の検挙件数は6,625件で、そのうち犯罪収益移転防止法の検挙件数は1,312件、さらに465件が匿名性の高い通信方法を用いた犯行としてサイバー事案にも該当し、2024年と比較していずれも増加している。