マイクロソフト元会長のビル・ゲイツと妻メリンダによって2000年に創設された慈善基金団体であるビル&メリンダ・ゲイツ財団は12月4日、「Goalkeepers 2025 Report」を発表した。

 「Goalkeepers」は、持続可能な開発目標(SDGs/グローバル・ゴールズ)の達成に向けた進展を加速させるために、同財団が展開するプロジェクトで、毎年のレポートを通じて、SDGsに関連するストーリーやデータを発信することで、進捗への理解を深め、リーダーへの説明責任を促し、目標達成に向けて行動を起こす「次世代のリーダー=ゴールキーパー」を世界中で育むことを目指している。


 同レポートによると、5歳未満で命を落とす子どもの数が、21世紀に入って初めて増加に転じる見通しで、2024年は460万人の子どもが5歳の誕生日を迎える前に死亡し、2025年はさらに20万以上増加し約480万人に達する見込みで、これまで数十年にわたり積み上げてきた世界的な進歩が逆戻りする可能性が明らかになったとしている。

 同レポートでは、世界の保健医療への資金削減が続けば、2045年までにさらに最大1,600万人の子どもが死亡する可能性があると警告すると同時に、実証済みのソリューションや次世代のイノベーションに対する戦略的投資が、限られた予算環境の中でも進歩の後退を防ぎ、数百万人の命を救う道筋となり得ることを示している。

 ゲイツ財団の議長で、レポート執筆者であるビル・ゲイツ氏は「私たちは人類史上最も先進的な科学やイノベーションを手にした世代でありながら、それを命を救うために活用する資金を確保できなかった世代となってしまうかもしれません。適切な優先順位とコミットメントと共に、高効果のソリューションに投資すれば、子どもの死亡数増加という重大な逆転を食い止めることができ、2045年により多くの子どもたちが生きている世界を実現できると確信しています。」と述べている。

 同レポートでは、子どもの命を救う上で最も効果が大きい投資分野として、プライマリーヘルスケア、定期予防接種、より優れたワクチン、データ活用といった介入を強化し、一つひとつのリソースの効果を最大化することを提唱している。

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