学歴社会の中国では受験戦争が激化しており、都市部の子どもたちのほとんどが塾漬けになっている。その結果、学習塾産業が巨大化して教育費が家計を圧迫するようになり、中国政府は少子化対策として、2021年の夏休みを前に学習塾産業への規制を明らかにしたほどだ。
では、中国にとっての近隣諸国である日本と韓国の大学入試事情はどうなのだろうか。中国メディアの捜狐網は21日、日本と韓国の学習塾や入試事情を紹介し、中国が参考にできる点を分析する記事を掲載した。
記事はまず、「韓国の受験戦争は地獄のようだ」と紹介した。壮絶な受験戦争をテーマにした韓国ドラマを例にとり、受験のためには何でもする恐ろしい韓国と比べれば「中国はまだ普通だ」と感じたと伝えている。韓国では受験には社会体験や特技なども評価されるため、受験対策として勉強以外の塾も流行する結果となり、塾が一大産業になると同時に、「経済力による教育格差をいっそう拡大させている」と問題視した。
それに対して「日本の受験事情は比較的落ち着いてきている」という。日本の教育は、塾が流行した高度経済成長期からゆとり教育に、その後さらに脱ゆとりへと段階的に変わってきた。記事は「日本では大学入試を受ける権利は学生が平等に持つものであり、学生の家庭事情や家の経済事情などは問われない」とし、また大学側が独自の基準で学生を募集できるのも中国とは違う点だと強調。それによりAO入試のように中国とは違う「試験の多様化」が生まれ、推薦入試で大学に入る生徒も多く、結果的に「人材の多様化」につながっていると指摘した。
記事は、大学側が独自の基準で学生を募集できない中国の大学入試事情における問題は、「権力が一部に集中してしまう」ことにあり、同時に「人材の多様化」に応えられないことも問題だと強調。以前の中国では大学入試と大学入学は限られた人だけに開かれた門戸だったが、近年は大学に進学するのはもはや珍しいことではなくなったとし、中国の大学入試も時代に合わせて変化していくことが必要なのではないかと論じた。
中国や韓国の入試やその後の社会の仕組みでは、受験対策に大金をつぎ込める一部の富裕層が有利になってしまい、不平等感が否めないのは確かだろう。