中国高速鉄道の営業距離や営業速度が世界一であることなどを理由に、中国では「中国高速鉄道はもはや新幹線を全面的に超越した」などと豪語する声が聞かれるようになった。中国高速鉄道が短期間で大きな成果を挙げたのは事実だが、「新幹線を全面的に超越した」という主張は正しいのだろうか。


 中国メディアの新浪はこのほど、中国高速鉄道がこれまでに成し遂げたことを見れば、中国人の多くが誇りに思うのは当たり前だと指摘する一方、「果たして本当に全面的に新幹線を超越した」と言えるのだろうかと問いかける記事を掲載した。

 記事は、中国高速鉄道は今や中国の製造業を代表する「名刺」的な存在となったと指摘し、中国は製造強国への道を着実に歩んでいると主張した。一方、だからといって中国高速鉄道が新幹線を「全面的に超越したか」と問われれば、その答えは中国人にとって残酷なものであり、「完全なる超越はしていない」のが現状だと指摘した。

 たとえば、中国高速鉄道の総延長距離は確かに世界一であり、広大な国土に高速鉄道網を構築した経験によって、さまざまな地形、さまざまな気候の土地に高速鉄道を建設する技術力も世界一であると主張する一方、新幹線の方が優れている点も少なからず存在すると指摘。その1つが「運営面」であり、これにおいては日本の完勝であると主張、新幹線の駅は一般的に各都市の中心部にあるターミナル駅に乗り入れていて、利用客にとっては非常に利便性が高いと指摘する一方、中国高速鉄道の駅は都市の郊外にあることが多く、不便だと強調した。また、運行時間の正確さにおいても新幹線の圧勝であると論じた。

 また、災害への対応や災害発生後の復旧能力という点でも新幹線が中国高速鉄道を上回っているとし、日本は大きな地震がたびたび発生する自然災害の多い国が、災害が原因で大惨事が起きたことはないと指摘、これは災害への対応力の高さを物語っているとした。

 さらに記事は、乗客にとって重要な「食」の点でも新幹線の完勝であると強調。中国高速鉄道の車内販売の弁当は「まずいくせに高い」と悪名高いが、新幹線の弁当の特色ある美しさや美味しさは中国でも広く知られていることを伝え、こうしてみれば「中国高速鉄道が新幹線を全面的に超越していないことは明白」であることを紹介した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
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