投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中国のデフレが警戒されたほか、米中貿易戦争のエスカレートも不安視された。9日に公表された2月の中国物価統計では、消費者物価指数(CPI)が前年同月比でマイナス0.7%となり、昨年1月以来のマイナスに転じている。生産者物価指数(PPI)のマイナスも続いた。一部のアナリストは、内需は依然として弱く、中国のデフレ圧力はこれからも続くとの見方を示している。米中の通商問題を巡っては、中国政府が10日付で、米国から輸入する大豆やトウモロコシなどに最大15%の追加関税を課した。米国が4日、対中追加関税を20%に引き上げたことに対する報復措置となるが、トランプ米政権は対中関税を更に引き上げる構えもみせている。中国経済対策の期待感などで指数はプラス圏に浮上する場面がみられたものの、上昇の勢いは続かず、前引けにかけて下げ幅を拡大した。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国スポーツ用品大手の李寧(リーニン:2331/HK)が5.8%安、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)と中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)がそろって5.6%安と下げが目立った。
セクター別では、消費関連が安い。李寧や申洲国際のほか、茶飲料の奈雪的茶HD(2150/HK)と酒場の海倫司国際HD(9869/HK)がそろって22.0%、フィギュア・玩具の泡泡瑪特国際集団(ポップ・マート:9992/HK)が4.4%、自動車ディーラーの中升集団HD(881/HK)が4.3%、ハイパーマーケットの高キン零售(6808/HK)が4.2%、飲料水の農夫山泉(9633/HK)が3.9%ずつ下落した。
半導体やAI(人工知能)技術、クラウド関連も急落。
半面、レアメタル・非鉄の一角は高い。ニッケル・コバルトの生産で世界大手の金川集団国際資源(2362/HK)が9.0%、希土類磁石メーカー大手の江西金力永磁科技(6680/HK)が7.8%、モリブデン中国最大手の洛陽モリブデン集団(3993/HK)が6.1%、ニッケル大手の新疆新キン鉱業(3833/HK)が4.2%ずつ上昇した。
一方、本土マーケットも続落。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.59%安の3352.59ポイントで前場取引を終了した。金融が下げ主導。消費関連、ハイテク、通信、不動産なども売られた。半面、軍需産業は高い。非鉄など素材の一角も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)