業績見極めが投資家の慎重スタンスを強める流れ。香港で主要企業の通期決算報告が佳境入りする中、減益や予想下振れの銘柄群が売られ、全体相場の重しとなっている。また、24日の外国為替市場で、対米ドルの人民元安が進んでいることも懸念された。もっとも、下値は限定的。「トランプ関税」の警戒感がやや薄れたことや、中国の政策に対する期待感が支えだ。貿易相手国に同水準の関税を課す「相互関税」の発動を4月2日に予定する中、トランプ米大統領は21日、「関税には柔軟性がある」との認識を示している。大統領は、中国の習近平・国家主席と関税について協議する計画だとも述べた。中国の政策を巡っては、李強・首相が23日、経済安定のため、「必要なら新たな政策を打ち出す」と発言している。指数はプラス圏で推移する場面もあった。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が3.9%安、薬品卸で中国最大手の国薬HD(1099/HK)と石油・化学大手の中国石油化工(サイノペック:386/HK)がそろって3.3%安と下げが目立った。国薬の通期は22%減益、中国石油化工の決算は16%減益。それぞれ、配当の減額方針が示されている。
セクター別では、建材が安い。安徽海螺水泥(914/HK)が4.0%、中国建材(3323/HK)と中国西部水泥(2233/HK)がそろって2.0%、華新水泥(6655/HK)が1.0%ずつ下落した。
他の個別株動向では、新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来集団(NIO:9866/HK)が4.7%安。通期の純損失が2023年の211億4696万人民元から24年の226億5769万人民元に拡大したことなどが売り材料視されている。
半面、家電セクターは高い。TCL電子HD(1070/HK)が9.4%、海爾智家(6690/HK)が4.5%、海信家電集団(921/HK)が3.9%、美的集団(300/HK)が2.7%ずつ上昇した。TCL電子の通期業績は137%増益。期末配当の増額方針も好感された。
そのほか、業績動向を手がかりにした物色では、64%増益の洛陽モリブデン集団(3993/HK)が9.6%高、106%増益の中遠海運HD(1919/HK)が5.5%高、52%増益の紫金鉱業集団(2899/HK)が4.9%高と値を上げている。
本土マーケットは4日続落。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)