投資家のリスク回避スタンスがやや後退する流れ。貿易問題を巡る米中対立が懸念される中、米ホワイトハウスの報道官は2日、トランプ米大統領が週内に中国の習近平・国家主席と会談する可能性が高いと述べた。また、中国景況感の悪化が続いていることを背景に、当局は追加の景気対策を打ち出すとの観測も広がっている。取引時間中に発表された民間集計による5月の財新・中国製造業PMIは48.3に低下し、予想(50.7)外に景況判断の境目となる50を8カ月ぶりに割り込んだ。先週末に公表された5月の製造業PMI(国家統計局などによる)に関しても、節目の50を依然下回っている。ただ、米中協議の進ちょくを見極めたいとするムードもあり、上値は限定された。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が6.5%高、産金で中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)と本土最大手行の中国工商銀行(1398/HK)がそろって3.0%高と上げが目立った。
セクター別では、中国の銀行が高い。工商銀のほか、中国農業銀行(1288/HK)が3.0%、中国建設銀行(939/HK)と中国銀行(3988/HK)がそろって2.7%、招商銀行(3968/HK)が2.6%ずつ上昇した。中国で金利の先安感が強まる中、配当性向の高さが着目されている。
中国の保険・証券セクターもしっかり。中国人民財産保険(2328/HK)が3.3%高、新華人寿保険(1336/HK)が2.8%高、中国人民保険集団(1339/HK)が2.3%高、東方証券(3958/HK)が4.3%高、華泰証券(6886/HK)が3.9%高、国泰海通証券(2611/HK)が3.5%高で前場取引を終えた。
医薬セクターも物色される。四環医薬HD集団(460/HK)が9.6%高、緑葉製薬集団(2186/HK)が7.8%高、三生製薬(1530/HK)が4.1%高、康希諾生物(6185/HK)が3.4%高で引けた。
半面、前日に逆行高したマカオのカジノ銘柄はさえない。金沙中国(1928/HK)が1.7%、永利澳門(1128/HK)が1.5%、美高梅中国HD(2282/HK)が0.9%、澳門博彩HD(880/HK)が0.4%ずつ下落した。
本土マーケットも反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.48%高の3363.48ポイントで前場取引を終了した。金融が相場をけん引。医薬、素材、ハイテク、不動産、軍需産業、インフラ建設なども買われた。半面、公益は安い。エネルギー、運輸、消費関連、自動車も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)