投資家のリスク選好がやや強まる流れ。米中貿易交渉の進展期待が相場を支えている。トランプ米大統領は6日、英国ロンドンで9日に米中の閣僚級会議が開かれると自身のSNSに投稿した。会議では中国のレアアース(希土類)輸出規制強化もテーマのひとつになるとみられている。一方、外電が報じたところによると、米自動車大手3社にレアアースを供給している業者に対し、中国当局は一時的な輸出ライセンスを付与したもようだ。
一方、きょう午前に報告された5月中国経済統計では、米ドル建て輸出が予想以上に減速し、輸入は予想以上に減少した。また、消費者物価指数(CPI)が前年同月比でマイナス0.1%、生産者物価指数(PPI)がマイナス3.3%とデフレ傾向が続いている。景気懸念はくすぶるものの、当局が景気対策を強めるとの見方もあり、特段の売り材料とはならなかった。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、ショート動画投稿アプリの快手科技(1024/HK)が5.6%高、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(2269/HK)が5.5%高、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.1%高と上げが目立った。ほか、ドローン配送の拡大期待が強まり、フードデリバリー事業の美団(3690/HK)が4.7%高。ドローン配送はこれまで本土だけで実施していたが、香港でも6日から開始。
そのほか、きょう付けでハンセン指数の構成銘柄に新規採用された美的集団(マイディア・グループ:300/HK)は0.1%安、中通快逓(開曼)(ZTOエクスプレス・ケイマン:2057/HK)は4.2%高で取引を終えている。除外銘柄はなかったため、ハンセン指数の構成銘柄は83→85に増加した。
セクター別では、半導体やクラウド、AI(人工知能)技術などハイテク関連が高い。SMICのほか、華虹半導体(1347/HK)が2.5%、金蝶国際軟件集団(268/HK)が11.8%、金山雲HD(3896/HK)が8.0%、北京第四範式智能技術(6682/HK)が9.8%、商湯集団(センスタイム:20/HK)が5.0%ずつ上昇した。
他の個別株動向では、希土類製品・耐火材大手の中国稀土HD(チャイナ・レア・アース:769/HK)が60.0%高。中国当局が米向けに、レアアースの一時的な輸出ライセンスを付与したもようと伝わったことが刺激材料だ。
半面、産金セクターは安い。山東黄金鉱業(1787/HK)が4.0%、招金鉱業(1818/HK)が3.9%、霊宝黄金(3330/HK)が2.9%、紫金鉱業集団(2899/HK)が1.6%ずつ下落した。
本土マーケットは5日続伸。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.43%高の3399.77ポイントで取引を終了した。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)