投資家のリスク回避スタンスが強まる流れ。中東地域の地政学リスクが逆風だ。イスラエル軍は13日、核関連施設を含むイラン各地の軍事施設を数十カ所空爆したと発表。イラン軍報道官は同日、イスラエルへの反撃は確実に行われると声明した。米長期金利の低下基調などを手がかりに、ハンセン指数は一時プラス圏に浮上したものの、上昇は続かず、前引けにかけて下げ幅をやや広げている。また、中国で週明け16日、5月の小売売上高や鉱工業生産などが公表されることも買い手控え要因として意識された。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、医薬・医療関連の下げが目立つ。中国生物製薬(1177/HK)が4.9%安、石薬集団(1093/HK)が4.2%安、阿里健康信息技術(241/HK)が4.0%安で引けた。そのほか、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が4.0%安。5月のスマートフォン用レンズ出荷数が前年同月比で5.2%減少し、2カ月ぶりにマイナス成長となったことが売り材料視されている。
自動車セクターも安い。小鵬汽車(9868/HK)が5.4%、比亜迪(BYD:1211/HK)と蔚来集団(9866/HK)がそろって4.1%、広州汽車集団(2238/HK)が3.1%ずつ下落した。
半導体セクターもさえない。晶門半導体(2878/HK)が3.3%安、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が2.1%安、華虹半導体(1347/HK)が1.7%安で前場取引を終えた。EV(電気自動車)や半導体などに売りが先行する中、ハンセン科技(テック)指数は2.1%安と他の主要指数をアンダーパフォームしている(構成銘柄30のうち下落29)。
半面、石油や産金の銘柄群は高い。中海油田服務(2883/HK)が5.5%、中国海洋石油(883/HK)が2.2%、中国石油天然気(857/HK)が1.9%、赤峰吉隆黄金鉱業(6693/HK)が13.5%、霊宝黄金(3330/HK)が7.7%、山東黄金鉱業(1787/HK)が5.2%ずつ上昇した。市況高が追い風。地政学リスクの高まりを受け、時間外取引のNY原油先物は一時10%超上昇し、金のスポット価格は史上最高値を更新した。
本土マーケットは3日ぶりに反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.72%安の3378.01ポイントで前場取引を終了した。医薬が安い。消費関連、自動車、不動産、ハイテク、金融なども売られた。半面、石油石炭や産金は高い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)