中東地域の地政学リスクが重しとなる流れ。13日に始まったイスラエルとイランの軍事行動はエスカレートし、14日にはイスラエル軍のイランガス田攻撃で、ガス生産が一時停止に追い込まれた。イランによるホルムズ海峡封鎖の警戒感も高まり、原油供給が滞るとの不安もくすぶっている。ただ、下値は限定的。月次経済統計が総じて弱い内容となる中、当局は経済成長目標達成のため、追加の刺激策を打ち出すとの見方が広がった。取引時間中に国家統計局が公表した統計では、5月の小売は上振れたものの、同月の鉱工業生産や1~5月の固定資産投資が予想を下回り、1~5月の不動産開発投資は落ち込みが拡大している。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、医薬関連の下げが目立つ。薬明生物技術(2269/HK)が6.4%安、中国生物製薬(1177/HK)が3.8%安、石薬集団(1093/HK)が2.8%安で引けた。バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術については、筆頭株主のWuXi Biologics Holdingsが保有する同社株の一部をディスカウント価格で売り出す計画を明らかにし、これが売り材料視されている。
産金セクターも安い。霊宝黄金(3330/HK)が4.8%、招金鉱業(1818/HK)が3.0%、紫金鉱業集団(2899/HK)が2.4%、山東黄金鉱業(1787/HK)が2.1%ずつ下落した。金相場の上昇に勢いがなくなったことで、利益確定売りが優勢となっている。
空運セクターもさえない。中国東方航空(670/HK)が2.6%安、中国国際航空(753/HK)が2.4%安、中国南方航空(1055/HK)が1.3%安、国泰航空(293/HK)が1.2%安で前場取引を終えた。
半面、中国の不動産セクターは高い。広州富力地産(2777/HK)が10.2%、遠洋集団HD(3377/HK)が7.7%、世茂集団HD(813/HK)が6.8%、中国金茂HD(817/HK)が4.5%ずつ上昇した。広州富力地産が公表した5月の営業実績は、不動産成約額が13億7000万人民元(約275億円)となり、前年同月との比較で4割増加している。
非鉄・レアアース関連の一角もしっかり。希土類製品・耐火材大手の中国稀土HD(769/HK)が4.2%高、希土類磁石メーカー大手の江西金力永磁科技(6680/HK)が3.3%高、ニッケル大手の新疆新キン鉱業(3833/HK)が2.0%高、エネルギー・資源会社の中信資源HD(1205/HK)が1.2%高と値を上げた。
本土マーケットは小反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.05%高の3378.78ポイントで前場取引を終了した。不動産が高い。ハイテク、金融、素材なども買われた。半面、医薬は安い。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)