人工知能(AI)ソリューションサービスの雲知声智能科技(ユニサウンドAIテクノロジー:9678/HK)が30日、香港メインボードに新規上場する。27日のグレーマーケット(上場前の相対取引)では、公募価格比2.44%安の200.00香港ドルで取引を終えた。
高値は204.00香港ドル、安値は175.00香港ドル。
 25日に締め切られたIPO公募では、香港一般投資家の申込倍率が91.66倍に達した。このため、一般向けの割当比率は全体の10→40%に引き上げられている。海外割当分(グローバル・オファリング)も規定枠を上回った。
 売買単位は20株。公募価格は仮条件(165.00~205.00香港ドル)上限の205.00香港ドルに決まった。H株156万980株を公開し、手数料などを除く手取り概算で2億640万香港ドル(約38億円)を調達している。うち45.6%を研究開発能力の向上(Atlas AIインフラ向け投資および雲知大脳のアップグレードを含む)、47%を新興ビジネス投資、残りを運転資金などに充当する。
 同社は北京市を拠点とするAIソリューション企業。日常生活および医療関連アプリケーションを中心に、対話型AI製品およびソリューションの提供に注力している。ユーザーのニーズに対応したAIソリューションを通じて、幅広い産業分野で業務効率の向上、意思決定の高度化、成果の最大化を支援。各種ソリューションは独自の中核技術プラットフォーム「雲知大脳(クラウドブレイン)」を基盤として構築されている。
スマートカスタマーサービスや医療診断、多言語対話アシスタントなど多様な用途に対応。600億パラメーターを備えた大規模言語モデル「山海大モデル」を2023年に公開した。多言語・マルチモーダルの生成機能に加え、動的推論とクロスモーダル処理を実装している。基盤インフラ「Atlas AI」の支援により、モデル学習や展開の効率性を確保し、改良と最適化を継続している。
 フロスト&サリバンによれば、同社は過去数年にわたり、売上高ベースで中国第4位のAIソリューション・プロバイダー(市場シェアは0.6%)。24年末時点で、日常生活向けAIでは国内第3位、医療AIでは第4位にランキングされている。直近3期の売上高は22年12月期が6億61万人民元、23年12月期が7億2731万人民元、24年12月期が4億5236万人民元。純損益は3期連続の赤字(3億6601万人民元、3億7546万人民元、4億5236万人民元)だった。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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