投資家の慎重スタンスが強まる流れ。中東地域の地政学リスクが再燃したほか、米雇用統計の発表も気がかり材料となった。中東情勢を巡っては、イランが2日、米軍が同国の核施設を攻撃したことを受け、国際原子力機関(IAEA)との協力を一時停止する法律を施行。イラン革命防衛隊は同日、「攻撃がまだ続くようなら、ペルシャ湾に安定したエネルギー取引市場はなくなる」などとする声明を発表した。米国で今夜(日本時間21時30分ごろ)公表される6月の雇用統計は、米金融政策の判断材料となる。金融政策で米国に追随する香港にも影響が及ぶため、結果を見極めたいとするスタンスも買い手控えにつながった。
ただ、下値を叩くような売りはみられない。中国景況感の改善や、中国経済対策の期待感が引き続き支えとなっている。前日発表された6月の財新・中国製造業PMIは50.4と上振れし、2カ月ぶりに景況判断の境目となる50を上回った。この日の取引時間中に報告された6月の財新・中国サービス業PMIは50.6となり予想(50.9)を下回ったが、節目の50は30カ月連続で上回っている。中国当局がデフレ圧力の解消に向けた方針を示したほか、消費刺激に向けた動きが続いていることも支援材料だ。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、モバイル端末・自動車メーカーの小米集団(1810/HK)が4.4%安、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が3.8%安、電子商取引(EC)大手の阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)が3.6%安と下げが目立った。
セクター別では、前日に急伸した鉄鋼が安い。重慶鋼鉄(1053/HK)が14.0%、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が5.9%、鞍鋼(347/HK)が3.8%、中国東方集団HD(581/HK)が2.1%ずつ下落している。前日は、国有企業の唐山鋼鉄が減産を継続していると伝わり、鋼材価格の安定化期待で買われていた。
医療サービスの銘柄群もさえない。阿里健康信息技術(241/HK)が3.4%安、平安健康医療科技(1833/HK)が2.2%安、訊飛医療科技(2506/HK)が2.1%安、京東健康(6618/HK)が1.8%安で前場取引を終えた。
半面、自動車セクターの一角はしっかり。浙江零ホウ科技(9863/HK)が3.5%高、長城汽車(2333/HK)が2.1%高、広州汽車集団(2238/HK)が2.0%高、東風汽車集団(489/HK)が1.7%高で引けた。
本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.07%高の3457.36ポイントで前場取引を終了した。医薬が高い。ハイテク、消費、自動車、不動産、証券、海運なども買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)