前日の軟調地合いを継ぐ流れ。月次の中国経済統計が週前半までにほぼ出揃う中、複数の指標が弱い内容だったことを不安視している。中でも、1~6月の不動産開発投資は落ち込みが拡大し、改善の兆しもみられなかった。「トランプ関税」の影響もあり、下半期(7~12月)の経済動向も厳しいものになるとの予測も散見されている。また、中国では今月下旬、下半期の政策方針を決定する中央政治局会議が開かれる予定。内容を見極めたいとするスタンスも買い手控え要因だ。
もっとも、下値は限定的。米インフレ鈍化を背景に、米利下げ期待が再び強まったことや、米中の貿易協議が進展するとの見方は支えとなった。ベッセント米財務長官は先ごろ、貿易問題を巡る米中協議は「非常に良好な状況」だと述べ、中国の何立峰副首相と近く会談したいとの意向を示している。一方、取引時間中にファウンドリー世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC:2330/TW)が4~6月期決算を発表。純利益が前年同期比で60.7%増加し、過去最高の更新を明らかにした。人工知能(AI)産業の拡大などで、7~9月も増収を達成すると予想している。
ハンセン指数の構成銘柄では、宝飾小売チェーン大手の周大福珠宝(1929/HK)が3.6%安、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が3.3%安、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が2.5%安と下げが目立っている。
セクター別では、中国の不動産が安い。旭輝HD(884/HK)が3.5%、融創中国HD(1918/HK)が3.0%、中国奥園集団(3883/HK)が2.3%、万科企業(2202/HK)が1.7%ずつ下落した。
中国の銀行セクターもさえない。中国農業銀行(1288/HK)が2.2%安、交通銀行(3328/HK)が1.6%安、中国工商銀行(1398/HK)と中国銀行(3988/HK)がそろって1.3%安で引けた。
半面、半導体や自動運転向けAI技術、ロボットなどの銘柄群は高い。中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)と華虹半導体(1347/HK)がそろって2.0%、知行汽車科技(蘇州)(1274/HK)が6.3%、地平線(9660/HK)が4.9%、深セン市優必選科技(9880/HK)が7.0%、深セン市越疆科技(2432/HK)が3.2%ずつ上昇した。テック銘柄に買いが広がる中、ハンセン科技(テック)指数は0.6%逆行高している。
医薬セクターも急伸。百済神州(6160/HK)が10.6%高、三生製薬(1530/HK)が9.5%高、中国生物製薬(1177/HK)が5.9%高、艾美疫苗(6660/HK)が4.7%高と値を上げた。
本土マーケットは3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.37%高の3516.83ポイントで取引を終了した。ハイテクが高い。医薬、消費関連、軍需産業、自動車、素材なども買われた。半面、不動産は安い。銀行、エネルギー、運輸、公益も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)