23日の香港マーケットは、主要85銘柄で構成されるハンセン指数が前日比408.04ポイント(1.62%)高の25538.07ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が165.60ポイント(1.82%)高の9241.20ポイントと4日続伸した。売買代金は3330億6660万香港ドル(約6兆2250億円)に拡大している(22日は2660億7340万香港ドル)。

 投資家のリスク選好が強まる流れ。米中通商協議の進展期待が相場を押し上げた。ベッセント米財務長官は22日、スウェーデン・ストックホルムで中国側と来週会談し、8月12日に期限を迎える関税停止措置の延長について話し合う可能性に言及している。また、トランプ米大統領は22日、中国の習近平・国家主席から中国への招待を受けているとし、それほど遠くない未来に訪問する予定だと述べた。米政権はこのところ、中国に対しては柔軟な対応をみせている。一方、中国当局は22日、米デュポンへの独禁法違反調査を一時停止すると発表。貿易協議を前に対話環境の整備を図ったとの見方が出ている。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、テック関連の上げが目立つ。ショート動画投稿アプリの快手科技(1024/HK)が7.1%高、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が6.1%高、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が4.9%高で引けた。ハンセン科技(テック)指数は2.5%高と他の主要指数をアウトパフォームしている。快手科技については、世界的な人気YouTuber「MrBeast(ミスタービースト)」の中国向け独占ライブ配信(初回は26日)を行うと発表したことが材料視された。ユーザー数や広告収入の増加が意識されている。

 医薬品開発受託機関(CRO)など創薬支援関連も高い。薬明合聯生物技術(2268/HK)が8.6%、康龍化成(北京)新薬技術(3759/HK)が7.7%、薬明生物技術(2269/HK)が2.7%、来凱医薬(2105/HK)が2.1%ずつ上昇する。CRO各社は米国でも事業展開しているため、米中関係の改善がプラス材料だ。
 中国の金融セクターも物色される。招商銀行(3968/HK)が2.9%高、中信銀行(998/HK)が2.1%高、中国人寿保険(2628/HK)が3.3%高、新華人寿保険(1336/HK)が2.5%高、国聯証券(1456/HK)が5.5%高、中信証券(6030/HK)が3.8%高で取引を終えた。
 半面、電力設備やゼネコン、素材(セメント・鉄鋼)などインフラ建設関連はさえない。東方電気(1072/HK)が10.4%安、ハルビン電気(1133/HK)が5.3%安、中国鉄建(1186/HK)が3.0%安、中国交通建設(1800/HK)が2.5%安、安徽海螺水泥(914/HK)が4.2%安、中国西部水泥(2233/HK)が3.7%安、鞍鋼(347/HK)が4.5%安、重慶鋼鉄(1053/HK)が3.0%安と値を下げている。同セクターはこのところ、世界最大級の大規模水力発電ダム着工を手がかりに、連日で急伸していた。利益確定売りに押されている。
 本土マーケットは小幅ながら5日続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.01%高の3582.30ポイントで取引を終了した。金融が高い。
発電設備、消費関連、運輸、半導体の一角なども買われた。半面、軍需産業は安い。発電、エネルギー、医薬、不動産も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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