投資家心理がやや悪化する流れ。米金融政策の不透明感や、中国景況感の悪化が重しとなっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り5会合連続で政策金利の据え置きを決定。その後の会見でパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、「関税引き上げにより、一部で物価上昇の圧力が高まっている」とした上で、次回会合(9月)での利下げにも慎重な見方を示した。金融政策で米国に追随する香港でも、中央銀行に相当する香港金融管理局(HKMA)が31日に政策金利を据え置いており、域内金利の低下期待も後退している。中国で寄り付き直後に公表された7月の製造業PMIは49.3と市場予想(49.7)に届かず、景況判断の境目となる50を4カ月連続で下回った。非製造業PMIは予想(50.2)をやや下回る50.1で着地している。
前日に開催された中国共産党の中央政治局会議に関しては、2025年下半期の基本的な政策スタンスとして、「より積極的な」財政政策と「適度に緩和的な」金融政策を実施する方針が示されたが、従来方針を改めて確認したにとどまり、市場ではポジティブサプライズがなかったとの見方が支配的となっている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国中堅デベロッパーの龍湖集団HD(960/HK)が5.7%安、産金で中国最大手の紫金鉱業集団(2899/HK)が4.9%安、ガラス生産の信義玻璃HD(868/HK)が4.6%安と下げが目立った。
セクター別では、中国の不動産が安い。龍湖集団のほか、万科企業(2202/HK)が6.3%、建発国際投資集団(1908/HK)が5.1%、融創中国HD(1918/HK)が4.8%、中国海外発展(688/HK)が4.1%ずつ下落した。政治局会議で市場が期待していた新たな不動産安定化策が打ち出されず、失望売りが広がっている。
非鉄やセメント、鉄鋼など素材セクターもさえない。江西銅業(358/HK)が4.2%安、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が4.0%安、中国建材(3323/HK)が3.7%安、安徽海螺水泥(914/HK)が3.0%安、鞍鋼(347/HK)が4.5%安、馬鞍山鋼鉄(323/HK)が3.4%安で引けた。
半面、クラウドや人工知能(AI)技術、半導体の銘柄は高い。金蝶国際軟件集団(268/HK)が11.7%、金山雲(3896/HK)が10.1%、北京第四範式智能技術(6682/HK)が6.3%、商湯集団(センスタイム・グループ:20/HK)が1.9%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が2.0%、華虹半導体(1347/HK)が1.8%ずつ上昇した。新興ハイテクなどが物色される中、ハンセン科技(テック)指数は0.3%逆行高している。
本土マーケットは4日ぶりに反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.68%安の3591.26ポイントで前場取引を終了した。不動産が安い。資源・素材、公益、消費、自動車、運輸、インフラ関連、金融なども売られた。半面、ハイテクは高い。医薬も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)