前日までの好地合いを継ぐ流れ。9月の米利下げ観測や、中国の政策に対する期待感が引き続き支えとなっている。中国景気の過度な減速懸念が後退したこともプラス。HSBCは最新リポートで、2025年の中国GDP成長率予想を従来の4.5%から4.9%に引き上げた。追加の支援策が打ち出される可能性が高いと分析している。それより先、国際通貨基金(IMF)も7月下旬、中国の25年成長率見通しを上方修正した。ただ、上値は限定的。「トランプ関税」の警戒感がくすぶっている。トランプ米大統領は5日、米CNBCの番組に出演し、「医薬品と半導体に対する分野別関税を1週間以内に発表する」と述べた。また、今週は7日に7月の中国貿易統計、9日に中国物価統計が公表されるほか、香港に上場する主要企業の決算発表も始まっている。これらが買い手控え要因として意識された。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、電子機器受託製造サービス(EMS)の比亜迪電子(BYDエレクトロニック:285/HK)が6.3%高、石炭最大手の中国神華能源(1088/HK)が3.6%高、中国電子商取引(EC)大手の阿里巴巴集団HD(アリババ:9988/HK)が2.1%高と上げが目立った。
セクター別では、石炭・石油が高い。中国神華能源のほか、エン鉱能源集団(1171/HK)が4.1%、中国中煤能源(1898/HK)が3.3%、中国石油天然気(857/HK)が1.5%、中国石油化工(386/HK)が1.4%ずつ上昇した。
ロボットやスマートドライブなどの銘柄群もしっかり。深セン市優必選科技(9880/HK)が2.5%高、深セン市越疆科技(2432/HK)が2.4%高、速騰聚創科技(2498/HK)が4.4%高、地平線(9660/HK)が2.8%高と値を上げた。
鉄鋼や紙・パルプ関連も物色される。馬鞍山鋼鉄(323/HK)が4.3%高、中国東方集団HD(581/HK)が3.8%高、鞍鋼(347/HK)が2.2%高、玖龍紙業(2689/HK)が11.4%高、山東晨鳴紙業集団(1812/HK)が9.7%高、理文造紙(2314/HK)が3.3%高とそろって続伸した。鉄鋼業界は減産など、紙・パルプ業界は値上げなどを通じ、「内巻」(不毛な過当競争)からの脱却を目指している。
半面、医薬セクターはさえない。緑葉製薬集団(2186/HK)が4.6%安、三生製薬(1530/HK)が4.3%安、百済神州(6160/HK)が2.1%安、北京同仁堂科技発展(1666/HK)が1.3%安で引けた。
他の個別動向では、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が3.9%安。主力車の実質値引きが嫌気されている。同社は純電動SUV「理想i8」の販売戦略を見直し、オプション料金が必要だった上位仕様「i8 Max」を全グレードの基本モデルとして採用すると発表した。
本土マーケットは3日続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比0.27%高の3627.54ポイントで前場取引を終了した。軍需産業が高い。資源・素材、自動車、ハイテク、銀行なども買われた。半面、医薬は安い。不動産、公益、空運も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)