内外環境の不透明感が重しとなる流れ。米インフレ懸念が再燃し、米利下げペースが鈍化するとの見方が強まった。14日に公表された7月の米卸売物価指数(PPI)は前月比で0.9%上昇し、市場予想(0.2%)を大幅に上回っている。「トランプ関税」のコストを価格に転嫁していると分析され、今後も上昇傾向が続くと懸念された。香港は金融政策で米国に追随するため、域内金利の低下期待も後退している。中国景気の先行きも不安視。取引時間中に公表された中国指標では、7月の小売売上高や鉱工業生産、1~7月の固定資産投資などが予想以上に前回から伸びが縮小した。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、香港不動産が安い。新鴻基地産発展(16/HK)が5.4%、九龍倉置業地産投資(1997/HK)と恒基兆業地産(12/HK)がそろって4.6%ずつ下落した。そのほか、電子商取引(Eコマース)中国大手の京東集団(JDドットコム:9618/HK)が3.4%安。同社の4~6月期決算は調整後利益が5割減とさえず、投資家の失望売りが広がっている。
中国の銀行セクターも下げが目立つ。
消費セクターも売られる。食肉加工の神冠HD(829/HK)が17.7%安、豆乳飲料の維他ナイ国際集団(345/HK)が4.2%安、即席麺・飲料の康師傅HD(322/HK)が2.6%安、組み立てキャラクター玩具の布魯可集団(325/HK)が2.5%安、飲料の農夫山泉(9633/HK)が2.3%安と値を下げた。
半面、中国の不動産セクターは高い。中国海外宏洋集団(81/HK)が4.9%、建発国際投資集団(1908/HK)が4.6%、越秀地産(123/HK)が3.9%、龍湖集団HD(960/HK)が2.8%ずつ上昇した。政策支援の動きが追い風。経営難の不動産デベロッパーを支援するため、中国政府は国有企業や中国信達資産管理などの国有資産管理会社(AMC)を動員し、売れ残り住宅の買い上げを進めるもよう――と伝わった。
中国の保険・証券セクターも物色される。中国人寿保険(2628/HK)が3.1%高、中国人民保険集団(1339/HK)が2.9%高、新華人寿保険(1336/HK)が2.8%高、中信建投証券(6066/HK)が11.0%高、中国国際金融(3908/HK)が8.5%高、中信証券(6030/HK)が7.3%高と値を上げた。
他の個別株動向では、オンライン医療の京東健康(6618/HK)が11.7%高。中間決算の27%増益が好感された。同業各社にも買いが波及している。
本土マーケットは反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.83%高の3696.77ポイントで取引を終了した。不動産が高い。ハイテク、素材、インフラ建設、消費関連、自動車、医薬なども買われた。半面、銀行は安い。エネルギーの一角も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)