中国の政策に対する期待感が相場を支える流れ。中国経済の鈍化が懸念される中、当局は景気対策を強めるとの見方が広がっている。取引時間中に公表された中国の経済指標では、8月の小売売上高や鉱工業生産が市場予想を下回り、1~8月の不動産開発投資は縮小率が拡大した。米利下げ観測も追い風。米連邦準備理事会(FRB)は米経済の落ち込みを防ぐため、17~18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げ再開を決定する見通しだ。
ただ、上値は限定的。米中協議の進ちょくが気がかりだ。閣僚級の米中協議は14日にスペインで開始し、15日も続く予定。初日(14日)の協議は約6時間にわたったが、進展の兆しはみられなかったと伝わった。協議に先立っては、米中がそれぞれ通商上の圧力をかけている。指数はマイナス圏で推移する場面もあった。
ハンセン指数の構成銘柄では、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(2269/HK)が6.5%高、新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(2015/HK)が4.6%高、中国ミネラルウォーター最大手の農夫山泉(9633/HK)が4.1%高と上げが目立った。
セクター別では、EV関連が高い。理想汽車のほか、蔚来集団(9866/HK)が3.5%、比亜迪(BYD:1211/HK)が3.4%、浙江零ホウ科技(9863/HK)が2.1%、小鵬汽車(9868/HK)が1.6%ずつ上昇した。中国の工業情報化部など関連8部門は12日、自動車業界の発展に向けた数値目標を発表。うち新エネルギー自動車(NEV)の販売台数について、約20%増の1500万台前後とする方針を明らかにしている。そのほか、広州市が自動車購入補助金の支給を決めたと報じられたこともプラスだ。新興EVの大幅上昇を受け、ハンセン科技(テック)指数は0.9%高と他の主要指数をアウトパフォームしている。
そのほか、リチウムや動力電池の関連銘柄も物色され、寧徳時代新能源科技(CATL:3750/HK)が7.4%高、江西カン鋒リ業集団(1772/HK)が2.5%高、中創新航科技(CALB:3931/HK)が2.4%高と値を上げた。
医薬セクターもしっかり。薬明生物のほか、上海復星医薬集団(2196/HK)が5.6%高、山東新華製薬(719/HK)が4.2%高、永泰生物製薬(6978/HK)が3.2%高で引けた。
半面、中国の不動産セクターは安い。世茂集団HD(813/HK)が4.7%、碧桂園HD(2007/HK)が4.5%、合景泰富地産HD(1813/HK)が3.4%、融創中国HD(1918/HK)が3.2%ずつ下落した。
本土マーケットは続落。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.26%安の3860.50ポイントで取引を終了した。不動産が安い。金融、軍需産業、素材なども売られた。半面、自動車は高い。半導体、エネルギー、医薬も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)