投資家心理がやや悪化する流れ。米長期金利の上昇基調や、中国の緩和期待後退が引き続き重しとなっている。大型台風による経済活動の混乱も不安視。猛烈な勢力の台風18号(ラガサ)の接近を受け、広東省深セン市は23日午後から順次、「五停」(授業停止、工事停止、生産停止、運行停止、営業停止)措置を実施する方針だ。また、マカオのカジノ管理部門、博彩監察協調局(DICJ)はこのほど、台風警報「シグナル8」が発令された時点で、域内の全てのカジノを閉鎖することを決定。シティグループは最新リポートで、カジノ施設の一時閉鎖による影響を織り込み、マカオの9月カジノ売上高の予想値を195億パタカから185億パタカ(約3420億円)に下方修正した。香港国際空港では欠航が相次ぎ、香港証券取引所では紫金鉱業集団(2899/HK)傘下で海外金鉱山事業を手がける紫金黄金国際(2259/HK)の新規株式公開(IPO)が遅れる可能性も指摘されている。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が5.4%安、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が4.7%安、バイオ製薬・中医薬メーカーの中国生物製薬(1177/HK)が4.5%安と下げが目立った。
セクター別では、EV(電気自動車)関連が安い。蔚来集団(9866/HK)が5.9%、比亜迪(BYD:1211/HK)が3.1%、理想汽車(2015/HK)が2.4%ずつ下落した。そのほか、スマートドライブの関連銘柄も売られ、速騰聚創科技(2498/HK)が3.6%安、知行汽車科技(蘇州)(1274/HK)が2.1%安で取引を終えている。EVやネット関連などテック銘柄の下げが響き、ハンセン科技(テック)指数は1.5%安と他の主要指数をアンダーパフォームしている。
エアラインやツアー・チケット販売、カジノなどレジャー関連の銘柄群もさえない。中国南方航空(1055/HK)が3.9%安、中国東方航空(670/HK)が1.6%安、香港中旅国際投資(308/HK)が4.7%安、同程旅行HD(780/HK)が2.4%安、新濠国際発展(200/HK)が4.0%安、美高梅中国HD(2282/HK)が2.6%安と値を下げた。
半面、中国の銀行セクターは強含み。交通銀行(3328/HK)が0.9%、中国工商銀行(1398/HK)と中国建設銀行(939/HK)がそろって0.7%、招商銀行(3968/HK)が0.6%ずつ上昇した。
本土マーケットは反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.18%安の3821.83ポイントで取引を終了した。ハイテクが安い。医薬、不動産、運輸、素材、消費関連、自動車、インフラ関連、証券なども売られた。半面、銀行は高い。公益、エネルギーも買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)