週明け29日前場の香港マーケットは、主要88銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比365.91ポイント(1.40%)高の26494.11ポイントと3日ぶりに反発している。本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)も98.03ポイント(1.05%)高の9401.13ポイントと反発した。
売買代金は1599億8940万香港ドルとなっている(26日前場は1654億9170万香港ドル)。
 投資家心理がやや上向く流れ。米利下げサイクルの期待が高まったことや、中国企業の業績改善が材料視されている。8月の米個人消費支出(PCE)物価指数が26日公表され、上昇率は予想に一致。インフレ圧力が想定の範囲内におさまったとの見方が広がり、米連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利下げをするとの観測が維持された。また、中国の国家統計局は27日、8月の工業企業利益は同月比で20.4%増加し、7月の1.5%減から一転して大幅に増加したことを明らかにしている。ただ、上値は限定的。中国の大型連休を前に様子見ムードも漂っている。中国では今週、国慶節・中秋節の大型連休がスタート。本土市場は1~8日まで、香港市場は1日と7日が休場だ。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、マカオ・カジノの金沙中国(1928/HK)が5.7%高、民営教育サービス事業者の新東方教育科技集団(9901/HK)が5.5%高、医療サービス企業の阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス:241/HK)が4.2%高と上げが目立った。
 セクター別では、カジノが高い。
金沙中国のほか、新濠国際発展(200/HK)が9.3%、澳門博彩HD(880/HK)が5.8%、銀河娯楽集団(27/HK)が3.7%ずつ上昇した。今週始まる中国の連休では、およそ23億人が国内外に移動すると予測されている。レジャー関連の支出も増加すると期待された。
 クラウドや半導体の銘柄群もしっかり。微盟集団(2013/HK)が3.4%高、金蝶国際軟件集団(268/HK)が2.5%高、万国数拠HD(9698/HK)が1.7%高、晶門半導体(2878/HK)が7.1%高、華虹半導体(1347/HK)が3.8%高で引けた。
 中国の証券セクターも物色される。中信証券(6030/HK)が7.2%高、広発証券(1776/HK)が6.6%高、華泰証券(6886/HK)が6.5%高、国聯証券(1456/HK)が5.4%高で前場取引を終えた。中国金融当局が26日、外国人投資家の債券取引など本土市場アクセスを拡大すると通達。収益増につながると期待された。
 半面、新興EV(電気自動車)関連はさえない。浙江零ホウ科技(9863/HK)と小米集団(1810/HK)がそろって2.1%、小鵬汽車(9868/HK)が1.9%、蔚来集団(9866/HK)が1.5%ずつ下落した。産業統制の動きが懸念されている。
中国商務部は26日、来年1月1日から電気自動車(EV)輸出に免許取得を義務付けると発表。輸出に許可が必要となり、自動車市場の統制が厳格化される。浙江零ホウについては、「業務上の契約トラブルに絡み強制執行を受けた」と一部メディアが報じたことを引き続き嫌気した。
 本土マーケットは3日ぶりに反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.13%高の3832.90ポイントで前場の取引を終了した。証券が高い。素材、消費関連、不動産、インフラ関連、ハイテクの一角なども買われた。半面、銀行は安い。エネルギー、医薬、公益も売られた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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