10日前場の香港マーケットは、主要88銘柄で構成されるハンセン指数が前日比304.73ポイント(1.14%)安の26447.86ポイントと5日続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が114.40ポイント(1.20%)安の9415.73ポイントと反落した。売買代金は1803億2640万香港ドルとなっている(9日前場は2073億8040万香港ドル)。

 内外環境の不透明感が重しとなる流れ。米国では10月1日に新会計年度が始まったが、つなぎ予算案が依然成立せず、米政府機関の一部閉鎖は続いたままだ。実体経済に対する影響が不安視されている。内部的には、中国指標の発表が気がかりだ。来週は9月の重要経済指標の発表が相次ぐ。13日に貿易統計、15日に物価統計、金融統計も15日までに予定されている。そのほか、米中協議の先行きも不透明だ。トランプ米大統領と中国の習近平・国家主席が今月末、韓国で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で対面で会談する見通しだが、ここにきて両国の応酬が激しくなっている。
 もっとも、下値を叩くような売りはみられない。米追加利下げや中国の政策に対する期待感が相場を支えている。中国共産党は今月20~23日に第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)を開き、来年から始まる第15次5カ年計画(2026~30年)について議論する予定だ。(亜州リサーチ編集部)
 ハンセン指数の構成銘柄では、ICファウンドリー中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.7%安、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が5.4%安、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(2269/HK)が4.7%安と下げが目立った。

 セクター別では、半導体が安い。SMICのほか、上海復旦微電子集団(1385/HK)が4.5%、華虹半導体(1347/HK)が4.0%、英諾賽科(蘇州)科技(2577/HK)が3.9%ずつ下落した。ハンセン科技(テック)指数は2.5%安と他の主要指数をアンダーパフォームしている。
 リチウム関連の銘柄も急落。中創新航科技(CALB:3931/HK)が8.6%安、江西カン鋒リ業集団(1772/HK)が8.2%安、寧徳時代新能源科技(CATL:3750/HK)が7.2%安、天斉リ業(9696/HK)が6.9%安と値を下げた。中国の商務部と海関総署(税関)は9日、一部のリチウムイオン電池(LIB)の輸出を規制すると発表。海外販売に影響が及ぶと懸念されている。
 自動車セクターもさえない。蔚来集団(9866/HK)が4.0%安、小鵬汽車(9868/HK)が3.5%安、吉利汽車HD(175/HK)と浙江零ホウ科技(9863/HK)がそろって2.7%安で引けた。
 半面、中国の保険セクターはしっかり。中国太平洋保険集団(2601/HK)が3.1%、中国人寿保険(2628/HK)が2.5%、新華人寿保険(1336/HK)が1.4%、中国平安保険(2318/HK)が1.2%ずつ上昇した。
 本土マーケットは4日ぶりに反落。
主要指標の上海総合指数は、前日比1.24%安の3931.07ポイントで前場の取引を終了した。ハイテクが安い。医薬、素材、発電設備、通信、空運なども売られた。半面、エネルギーは高い。公益、金融、消費、自動車、不動産、海運も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)
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