中国の景気不安が投資家心理の重しとなる流れ。取引時間中に公表された中国の月次経済統計では、11月の小売売上高や鉱工業生産が予想を下回り、1~11月の固定資産投資や不動産投資は予想以上に減少率が拡大した。また、先週12日に報告された11月の金融統計では、人民元建て新規融資額などが市場予想を下回っている。そのほか、人工知能(AI)投資の不透明感で先週末の米ハイテク株が急落したことも逆風だ。
もっとも、下値を叩くような売りはみられない。当局が景気対策を強めるとの期待が支えとなっている。商務部など関連部局は14日、重点消費分野で金融支援を強化し、消費喚起を一段と促進するという内容を記した通知を発表した。また市場関係者からは、政策金利や預金準備率の引き下げが短期内に実施される可能性があるとの指摘もある。(亜州リサーチ編集部)
ハンセン指数の構成銘柄では、中枢神経疾患・がん治療薬主力の翰森製薬集団(3692/HK)が7.6%安、創薬ベンチャーの信達生物製薬(1801/HK)が4.9%安、中国インターネット検索最大手の百度集団(9888/HK)が4.2%安と下げが目立った。
セクター別では、半導体株が安い。英諾賽科(蘇州)科技(2577/HK)が6.7%、華虹半導体(1347/HK)が6.6%、ASMPT(522/HK)が3.6%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が2.7%ずつ下落した。
自動車セクターもさえない。
中国不動産セクターの一角も売られる。広州富力地産(2777/HK)と中国海外宏洋集団(81/HK)がそろって4.4%安、万科企業(2202/HK)が3.8%安、遠洋集団HD(3377/HK)が1.8%安で前場取引を終えた。万科については、債務繰り延べ集会が上手くいかず、デフォルト(債務不履行)が迫ったことも売り材料視されている。
半面、中国の保険セクターはしっかり。新華人寿保険(1336/HK)が3.8%高、中国太平洋保険集団(2601/HK)が2.8%高、中国平安保険(2318/HK)が2.4%高、中国人寿保険(2628/HK)と中国人民財産保険(2328/HK)がそろって1.2%高と値を上げた。
本土マーケットも反落。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.11%安の3884.94ポイントで前場の取引を終了した。ハイテクが安い。医薬、不動産、銀行、自動車なども売られた。半面、保険は高い。資源・素材、軍需産業、運輸、消費、公益も買われた。
(編集担当:亜州リサーチ=サーチナ)











