大手ポータルサイト捜狐が運営するブログサイトに、中国人男性による「日本の男女混浴温泉」の体験記が掲載された。中国で言われるような「変態じみた」ものではなく、大自然のなかで年配の女性との会話を、のんびりと楽しめたという。


関連写真:そのほかの温泉に関する写真

■AVの影響で、日本の温泉への誤解が横行

 日本のアダルト・ビデオ(AV)の扇情的な男女混浴のシーンが知られていることもあり、中国人はよく、温泉での混浴を楽しむ日本人を「変態」などとして、罵倒することがある。しかし筆者は実際に体験した結果、混浴は好色性や変態性を示すものではなく、日本人が古くから続く習慣を守っているだけのことであることが分かったという。

 筆者が初めて経験した温泉は、北海道登別市洞爺湖の天翔温泉。男女混浴ではなかったが、脱衣所に40代と思えるの女性2人が入ってきたことに驚いたという。彼女らは、筆者に向かい「いらっしゃいませ!」と言った。ホテルの従業員だった。

 中国では、たとえ従業員による清掃とはいえ、異性が使用中の脱衣場に入ることは、考えられない。筆者はうろたえたが、周りの客は平然としていた。そこで、「何を恐れることがあるか」と衣服を脱ぎ、浴場に入った。

■清潔さに感心、客のマナーも確立されていた

 筆者がまず感心したのは、日本の温泉が清潔であることだ。湯船に入る前には蛇口やシャワーを使って、必ず体を洗う。湯船に歩みよったところで、もういちど体に湯をかける。
浴場の大きなガラスの窓からは、洞爺湖のすばらしい夜景を見渡すことができた。

 初めて混浴の湯に入ったのは、箱根温泉だった。「日本人の若い女性の入浴姿は、どんなものだろう」との空想を禁じえなかったという。「湯船で、見知らぬ異性と一緒になったら、どんな気持ちがするのだろう。自分の体に“生理的変化”が発生したら、どうすればよいのだ」とも思った。

 脱衣場から浴場に入り湯船を見ると、女性客がいた。思い切って、自分も湯船に入った。すると、声をかけられた。「こんにちは」――。

 その時初めて、相手の様子を見ることができた。年配の女性、数人のグループだった。正直に言って「ちょっとガッカリした」という。
同時に、“生理的反応”に関する心配は杞憂に終わり、苦笑い。

■滋味溢れる混浴温泉、事前の妄想に自分で苦笑

 温泉につかりながらの、見知らぬ異性とのおしゃべりは、「滋味溢れる」ものだっという。衣服を脱ぎ去り、人と自然、人と人が近づく感覚は、実に素朴さを感じた。女性らは京都から来たとのことで、筆者の稚拙な日本語にも付き合ってくれた。

 混浴を経験したのは約20分間。短い時間でもあり、中国で「神話」になっている、日本での「温泉美女と遭遇」はなかった。しかし、筆者にとって一生涯の忘れられない思い出になったという。

 筆者は後になり、日本滞在が長い中国人に教えてもらった。「若い女性は普通、女性専用の『女湯』に入る。だから、混浴温泉で美女に出会うことは、まず考えられないね」と。

 混浴体験前の自分の「妄想」を思い出し、改めて苦笑せざるをえなかったという。

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 中国では南部の広東省を中心に2008年、温泉人気が高まった。
欧米式に「水着着用」の施設が一般的だが、日本のように「着衣なしの湯浴み」スタイルも受け入れられている。大自然のなかで開放感を味わいたいと願う都会人が増えたことと、航空運賃の値上がりで「近場のレジャー」が見直されたことが、背景にあるという。ただし「水着なし混浴」が受け入れられる可能性はないという。

 写真は福建省の温泉が2008年12月に開催したイベント「バラとワインの湯」。「日本方式を導入」などとして、客を集めた。たしかに、日本で同様のイベントがあったのかもしれないが……。異文化の本質部分の理解は、そう容易ではないようだ。(編集担当:如月隼人)

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