広東省深セン市内の蓮花公園で市民が「生き物を憐れむために」との宗教的動機で放したハト数十羽を、公園の警備スタッフが捕まえて食べた可能性が濃厚になった。南都訊が報じた。


 市民らは4日、買い求めたハト約200羽を蓮花公園で放した。ハトは飛ぶことに慣れていない様子だったので、5日にも公園に足を運び、居合わせた警備スタッフに「大切にしてやってください」などと声をかけた。スタッフが「しっかり見守りますよ」と答えたのでうれしくなり、世話をかけると思い50元(約620円)を渡したという。

 6日になり、公園職員が放したハトを捕まえているとの情報が入ったので、ハトを放したうちの1人が驚いて駆けつけた。公園にハトは見当たらなかった。警備スタッフの宿泊所をのぞくと、調理場にすでに殺されたハトがいた。床には羽毛が散乱していた。殺されたハトは少なくとも25羽と確認したという。生きているハトもいたので、用意したかごに入れて持ち帰り、市内の弘法寺で放した。

 ハトなど生き物を放す行為「放生」と呼ばれる。中国では仏教信者が増えており、「生き物を憐れむために」との理由で、「放生」を行う人も増加した。しかし、自然の生態系を破壊するなどの批判も高まっており、大量に蛇を放すなどで、トラブルになることもある。


 蓮花公園管理所は、「公園内での放生は認めていない。人に育てられた小動物は捕食能力が低く、自然の状態では長く生きられない、「鳥インフルエンザの懸念もある」と説明した。

 警備スタッフがハトを食べた件については「外部の会社に派遣を依頼した職員。一部に、程度の低い行為があった可能性は排除できない」と認め、「今後はスタッフの教育を徹底する」、「ハトを食べたスタッフがいた場合には、勤務を辞退してもらう場合もある」との考えを示した。(編集担当:如月隼人)

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