論説は、日本が2005年10月に閣議決定した「原子力政策大綱」や、同大綱の実現方策とされた「原子力立国計画」(2006年策定)などを、「私利のために、世界の海洋環境と他国の安全をないがしろにしたもの」と主張。放射性物質が含まれた水を直接海に流し込むことに至ったのは「自然災害など不可抗力が生み出した損害とはまったく別のことであり、両者を同一に論じることはできない」と批判した。
論説は、国連海洋条約による「海洋汚染とは、人類が直接・間接に海洋環境や河口・湾に対して生物資源や海洋生物、人類の健康を損なう物質やエネルギーを排出すること」との定義を示し、東京電力は放射性物質を含む水を故意に海に流したことで、沿海漁業資源と海洋全体の生物の多様性と海水の質に損害を与えたと指摘した。
日本も、海洋汚染を防止するためのロンドン条約を批准していると指摘した上で、東京電力の行為は同条約に違反しており、日本は「国連加盟国の義務と全世界の生存のための利益を無視した」と非難した。
さらに、1992年のリオデジャネイロ宣言でも「各国は、環境に有害な影響を与える自然災害やその他の突発的事態は、他国に通報する」ことが盛り込まれていると指摘。「日本は放射性物質で汚染された水を海に排出する前に、世界に通知することも、誠実に他国と協議することもしなかった」と批判した。
論説は「国連海洋条約」には、自国の管轄範囲を超えて他国に汚染による損害を与えた場合には「国際法にもとづき責任を負担する」との定めがあると指摘。「沿海国と内陸国は、自国に損害が生じた場合、科学的測定にもとづき、日本に汚染と生態への被害に対する損害賠償を請求する権利を保有している」との考えを示した。(編集担当:如月隼人)
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