中国北京市大興区で5日に発生した二酸化硫黄流出事故は、メーカーの管理不全が原因で、一般化学品である二酸化チオ尿素が、湿気により有毒ガスである二酸化硫黄に“変身”して、周囲に拡散したことが分かった。北京市当局は14日、事故原因を発表するとともに、夏季における危険化学品の安全管理について通達した。
北京日報が伝えた。

 北京市安全監督局の発表によれば、5日19時ごろ、大興区西紅門鎮にある北京翰波偉業科技発展有限公司の倉庫から白煙があがり、その後付近に強烈な刺激臭が立ち込めた。消防など関係部門がただちに現場にかけつけ、住民ら約50人を避難させ、けが人などはなかった。流出事故発生地点から半径30メートル以内のモニタリングを行ったところ、一酸化炭素、二酸化硫黄などの有害ガスの値は基準値以内だった。

 当時の北京市の天気は最高気温35℃、最大相対湿度80%。事故が発生した倉庫は通気が悪いうえ、高温多湿の環境に置かれたことで、保管してあった5トンの二酸化チオ尿素が分解され、二酸化硫黄ガスが発生したという。二酸化チオ尿素自体は粉末状の一般化学品で、製紙・漂白などに用いられるが、乾燥して通気の良い室温30℃以下の環境で管理する必要がある。

 この会社では2007年12月にも同様の事故が起きており、現在すでに営業停止処分となっている。汚染物質については現在無害化処理が行われている。

 北京市当局は、危険化学品及び分解・反応しやすい一般化学品の管理強化を求める通告を出した。近く、市内の危険化学品生産企業81社について、作業状況の検査を実施する予定という。(編集担当:中岡秀雄)

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